水氣道稽古データ解析:2018年5月19日

水氣道(半稽古)

土曜日ハイジア会場 

 

参加者フィットネスデータを報告します。

 

 

参加者総数24名、

有効データ数22件、

不完全記入2件

 

毎回のデータが大切です。

 

遅れて到着したり、帰りを急いだりする場合でも、可能な限り基本データのチェックを省略しないようにお願いいたします。

 

 

 

統計学的な処理方法:

 

<対応のあるt 検定>により関連のある2群の差の検定を行いました。

 

1基本データ

 

1)稽古前データのまとめ

 

収縮期血圧

平均値126.2±19.4 mmHg

最高184、最低101

 

拡張期血圧

平均値79.9±13.8 mmHg

最高124、最低64

 

脈拍数

平均値 82.1±15.2

最高110、最低63

 

 

参加者全体の稽古前の収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍数の平均値は、正常域血圧のうち、正常血圧の分類に該当します。

 

基準がより厳しい家庭血圧の目標値(若年、中年、前期高齢患者)

 

収縮期血圧/拡張期血圧(135/85mmHg)と比較しても良好な成績でした。

 

今回の稽古参加者は、全体的に良好なコンディションでした。

 

なお、参加者のうちで最高の高血圧者は高血圧(Ⅲ度高血圧)に該当し、

 

一方、最低血圧者は正常血圧(至適血圧)に該当しました。

 

 

成人における血圧値の分類  

血圧

 

 

2)稽古後データのまとめ

 

収縮期血圧

平均値123.5±13.0 mmHg

最高151、最低105

 

拡張期血圧

平均値77.5±11.8 mmHg

 最高102、最低59

 

脈拍数

平均値 78.7±15.4

最高112、最低46

 

 

参加者全体の稽古前の収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍数の平均値は、正常域血圧のうち、正常血圧の分類に該当します。

 

なお、参加者のうちで最高の高血圧者は高血圧(Ⅱ度高血圧)に該当し、一方、最低血圧者は正常血圧(至適血圧)に該当しました。

 

 

3) 稽古介入による変化

 

収縮期血圧

平均値の差 ⁻2.7 mmHg

P値(両側確率)0.28>0.05

 

拡張期血圧 

平均値の差 -2.5 mmHg

P値(両側確率)0.09>0.05

 

脈拍数

平均値の差 -3.4 収縮/分

P値(両側確率)0.12>0.05

 

 

水氣道の稽古によって、参加者全体の収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍数の平均値は、それぞれ、若干減少していますが、統計学的に意味のあるほどの低下はみられませんでした。

 

 

考察

稽古前のデータから、今回の参加者は全体的に、血圧の管理が良好に行われていることが示されました。

 

しかし、中には最重度である第Ⅲ度の高血圧者が含まれていました。

 

一方で、収縮期血圧100mmHg以下の参加者はありませんでした。

 

水氣道の稽古の前後で統計学的に意味のある変化が見られなかったのは、全体的に血圧の管理が良好に行われている集団であったためであることが推定されます。

 

 

そこで、高血圧傾向(収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上)

 

または頻脈傾向(脈拍数85/分以上)を抽出して解析してみました。

 

 

 

2.抽出データ

 

1)稽古前データのまとめ

 

収縮期血圧

平均値(データ数8)

146.3±16.4 mmHg  

最高184

 

拡張期血圧 

平均値(データ数7)

89.9±12.4 mmHg

最高124

 

脈拍数

平均値(データ数10)

96.7±9.0 

最高110

 

 

2)稽古後データのまとめ

収縮期血圧

平均値(データ数8)

134.9±12.2 mmHg

最高151

 

拡張期血圧

平均値(データ数7)

85.6±10.1 mmHg

 最高102

 

脈拍数

平均値(データ数10)

89.5±10.8

最高112

 

 

3) 稽古介入による変化

 

収縮期血圧

平均値の差(データ数8)

-11.4 mmHg

P値(両側確率)0.04<0.05

 

拡張期血圧

平均値の差(データ数7)

-4.3 mmHg 

P値(両側確率)0.88>0.05

 

脈拍数

平均値の差(データ数10) 

-7.2 収縮/分 

P値(両側確率)0.03<0.05

 

 

 

結果:

 

高血圧傾向および頻脈傾向に該当するデータを抽出して解析したところ、稽古後には、収縮期血圧はマイナス11.4mmHg, 脈拍数はマイナス7.2、いずれも統計学的に優位な低下が見られました。

 

拡張期血圧に関しても平均でマイナス4.3低下しましたが、統計学的な意味は認められませんでした。

 

 

 

考察:

土曜日のハイジアでの水氣道は半稽古(45分程度)参加者全体の稽古前の収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍数の平均値は、126.2 / 79.9mmHg、82.1/分でした。

 

これは家庭血圧の目標値(若年、中年、前期高齢患者)収縮期血圧/拡張期血圧(135 / 85mmHg)と比較しても十分良好な成績でした。

 

土曜日の参加者の中には、元来、多数の高血圧患者が含まれていましたが、全体的には極めて優秀な健康管理水準を達成している集団であると評価することができるでしょう。

 

 

高血圧傾向者の収縮期血圧をマイナス11mmHg以上、および頻脈者の脈拍数を7以上、それぞれ統計学的に優位に低下させる効果があることが実証されました。

 

一方、参加者の中には稽古の前後で、いずれにおいても低血圧者や極端な徐脈者はいませんでした。

 

水氣道は、薬物療法とは異なり、高血圧傾向者の降圧効果や頻脈傾向者の脈拍数安定作用があるばかりでなく、正常血圧者および正常脈拍数者にとっても安全に実施できるエクササイズであることの一端が示されました。

 

なお、収縮期高血圧の血圧降下作用と頻脈の脈拍数正常化作用は、疲労状態や不安・緊張等の状態にある方に対する水氣道によるリラクゼーション効果であると解釈することも可能かもしれません。

 

 

展望:

土曜日のハイジアでの半稽古は、水氣道の発展・改良のために有益なデータを収集できる可能性が十分あります。

 

そのため、今後は、体温、動脈血中酸素分圧濃度、自覚的疲労度など、参加者の皆様の負担を考慮して測定項目を追加する予定です。

 

 

 

推奨:

コース別プログラムが主体であることを上手に活用してみましょう。

 

たとえば、稽古当日に高血圧あるいは高脈拍が顕著な方は、第3レーンの金澤組(理気航法)、もしくは第4レーンの中川組(自由航法)に参加して、まずはリラクゼーションをはかるなどの工夫も可能だと思います。

 

積極的な体力強化を図りたい方、あるいは個別の強化課題をお持ちの方は、通例、第1組もしくは第2組のリーダー(総長、組長もしくは班長)に、遠慮なくご相談ください。

 

新しい測定項目を追加することによって、よりきめの細かい対応が可能になるものと思われます。