最新の臨床医学:4月27日 <関節リウマチ(2)>

昨日より、日本リウマチ学会総会・学術大会が開催されています。

 

会場が有楽町の東京国際フォーラムなので、休診にせず、診療の合間に参加できるのが便利なのですが、集中的に情報収集できないというデメリットもあります。

 

リウマチ・膠原病領域の学術的進歩は目を見張るものがあり。そのため開業医の立場でリウマチ専門医としての水準を維持していくことは相当の覚悟が必要となってきます。

 

詳細は、別のコラムに譲りますが、ここでは基本的な問題点について触れておくことにします。

 

 

関節リウマチ(RA)の診断は、旧基準では、典型的なRAの診断基準(1987年)を定義しています。

 

これに対して2010年分類基準は、早期関節リウマチの診断基準です。

 

新しい基準が必要とされたのは、持続性・破壊性関節炎である典型的なRAをつくらないようにすることが目的です。

 

実質的な以後は、典型的なRAとなりうるハイリスク患者を早期に選別することによってメトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ治療を早期に開始することができるからです。

 

注目すべきは、血清反応:リウマトイド因子(RF)や抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の比率が高いため、これらがともに陰性であるとRAとして「分類」されにくくなる点です。

 

すなわち、2010年分類基準は、RFや抗CCP抗体を特徴とする破壊性・持続性滑膜炎の診断基準と言い換えることができると思います。

 

こうした持続性・破壊性関炎である典型的なRAとなるリスクの高い早期関節リウマチ発見のための診断基準ということになります。

 

診断に関して留意すべきなのは、鑑別疾患です。特にリウマチ様因子(RF)と炎症反応が陽性となりやすい他の全身性結合組織病(RA以外の膠原病)が問題となります。

 

 

早期関節リウマチの診断に関して、高円寺南診療所は、都内の各大学病院のリウマチ科より豊富な症例に恵まれています。

 

その理由は、患者さん自身が関節リウマチを疑って身近なリウマチ専門医を受診する時代(平成8年から、開業医もリウマチ科を標榜できるようになり、「リウマチ専門医」は平成20年から、厚生労働省が認める広告可能な専門医となりました)になってきたからだと思います。

 

最初から、大学病院に飛び込む方は、かつてに比べてかなり減少してきたのではないでしょうか。

 

ですから、新しい2010年分類基準に基づく診療は、診療所におけるリウマチ専門外来が主たる現場になってきたといっても過言ではないでしょう。

 

 

関節リウマチ(RA)の治療は、薬剤に関して近年著しく増加しました。

 

注目すべきは分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARDであるJAK阻害薬です。

 

これはMTXとの併用で生物学的製剤(bDMARDよりも有効性が高いともいわれます。

 

分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARD)は生物学的製剤(bDMARDとともに速効性と骨破壊進行の強力な抑制効果を持っているが高価であることが特徴です。

 

これに対して、現在「関節リウマチ診療ガイドライン2014」で推奨されている従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDはコスト面で有利です。

 

 

高円寺南診療所は、早期関節リウマチの診断により、薬物療法は概ね従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDで賄えているので安価で済みます。

 

漢方薬鍼灸治療水氣道®を併用しても、医療コストは嵩張らないばかりか、薬物療法の効果を増強できるため、減薬することも可能となりつつあります。