最新の臨床医学:4月26日 <脊髄性筋委縮症>

脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)とは、脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ運動ニューロン病の範疇に入る病気です。

 

常染色体劣性遺伝(SMN遺伝子変異)の神経変性疾患です。下位運動ニューロンの変性、近位筋優位の骨格筋委縮と全身の筋力低下を特徴とします。

 

体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に示します。

 

 

小児期に発症するI 型:重症型(別名:ウェルドニッヒ・ホフマンWerdnig-Hoffmann病)、

 

II 型:中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)

 

III 型:軽症型(別名:クーゲルベルグ・ウェランダーKugelberg-Welander病)

 

成人期に発症するIV型に分類されます(表1)。

 

 

発症年齢が遅いほど進行のスピードは緩やかです。

 

下位運動ニューロンのみの障害であり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)が上位ニューロンも障害されるのと比較されます。

 

主に小児期に発症するSMAは第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患ですが、成人発症のSMA IV型は遺伝子的に複数の成因の混在が考えられます。

 

表1

0426

 

 

2017年に治療薬としてヌシネルセンNa(スピランザ®)が承認されました。

 

この薬剤は、原因遺伝子SMN1の重複遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えることで、機能するSMN蛋白質を増加させる国産初の核酸医薬品です。