最新の臨床医学:4月7日<急性肝不全(劇症肝炎)>

急性肝炎のほとんどは自然経過で肝不全に至ることなく治癒します。

 

そのため、補液などの対症療法で経過観察をします。

 

しかし、急性肝不全など肝不全に移行した場合にはきわめて予後不良になります。

 

そのためにも、急性肝炎では肝予備能を厳重に観察し、劇症化の徴候を見落さないことが必要です。

 

劇症化の徴候としては、身体所見(悪心・嘔吐の持続、傾眠)、血液検査所見(PT延長、間接型ビリルビン優位のビリルビン上昇)などがあります。

 

また、原因によっては慢性化のリスクもあります。

 

 

急性肝不全症例では専門医療機関にて肝移植を含めた治療が必要になります。

 

こうした肝機能低下例では、肝移植も治療の選択肢となり得るため、少なくとも肝移植の適応の判断を含め肝不全の治療については肝臓専門医が行うか、もしくは併診とすることが望ましいと考えます。

 

 

実際には、ステロイドパルス療法や血漿交換・持続濾過透析などの集学的治療を行い、生体肝移植のドナー候補の確認や脳死肝移植登録を行います。

 

 

近年、治療適応や薬剤選択が複雑性を増しています。

 

それでは、一般には、どのような場合に肝臓病専門医に紹介すべきでしょうか。

 

 

以下は、高円寺南診療所の指針です。

 

紹介先は大学病院のなかでも特定の高度医療機関に限られます。

 

1)急性肝炎の場合、急性肝不全に移行する可能性が高い例

(血清ビリルビンが持続的に高値、プリトロンビン時間が40%未満

 

2)B型・C型慢性肝炎、肝硬変で抗ウイルス療法を検討する場合

 

3)肝硬変症で合併症をスクリーニングする場合

 

4)肝炎ウイルス以外の慢性肝障害で原因が不明な場合