最新の臨床医学:神経病学<ギラン・バレ症候群(GBS)>

かぜを引いた後で、数日の経過で腕・手や脚・足に運動障害や感覚麻痺(感冒症状後の亜急性に四肢の運動感覚障害)が生じることがあります。

 

大多数例では、両下肢から脱力が始まり、上肢、顔面領域、最重症だと呼吸筋麻痺へと進行します。

 

このような経過は典型的なギランバレ症候群を疑う必要があります。

 

実際にカンピロバクターなどの先行感染の既往が60~70%にみられます。

 

 

第Ⅶ脳神経障害による両側顔面神経麻痺の他、複視、球麻痺、構音障害など脳神経麻痺が50~80%にみられます。

 

四肢の筋力低下、体幹筋の障害により、呼吸筋筋力低下が生じ呼吸困難を来たせば呼吸性アシドーシスとなり、人工呼吸管理が必要になることがあります。

 

腱反射消失や近位筋・遠位筋がともに障害されることが多いです。また自律神経障害も来します。

 

 

診断には髄液検査および末梢神経伝導速度検査が用いられます。

 

脳脊髄液の蛋白細胞乖離、運動神経伝導検査では発症初期から伝導ブロックを認め、発症から数週間後に伝導速度の低下は数週間後に出現します。

 

神経根に近いほど脱髄が強いため、M波高(振幅)は刺激部位が近位であるほど低下する傾向があります。

 

抗GM1抗体、抗GD1a抗体などの血清抗ガングリオシド抗体が陽性となります。

 

脱髄型と軸索型があります。

 

 

フィッシャー症候群はGBSの亜型と考えられており、外眼筋麻痺や運動失調を来します。

 

急性に発症し、発症後4週間以内に症状のピークとなります。

 

その後、徐々に改善し、数か月以内に治癒することが多いです。

 

抗ガングリオシド抗体(抗GQ1b抗体、抗GT1a抗体)が高率に陽性となります。

 

 

治療法としては、血漿交換療法(血液浄化療法)が有効です。

 

この方法によって、自己抗体である抗ガングリオシド抗体を除去することができます。

 

ただし、保険適応はHughesの重症度分類4度以上で、月7回、3ヶ月までという制限があります。

 

また免疫グロブリン大量静注療法が保険適応になりました。また、免疫抑制剤やステロイド単独投与は無効です。