中欧研修報告:14日目

日本日時3月27日11:00pm

(現地Frankfurt 日時:3月27日3:00pm)

 

 

いま、これを書いている場所はフランフルト国際空港の搭乗口近くの待合場所です。

 

皆様、中欧研修報告も今回が最後になります。

毎回閲覧してくださった皆様、応援ありがとうございました。

 

 

明日から、最新の臨床医学、に戻ります。

 

 

今回の研修で残念だったのは、欧州での水氣道開催が、

 

双方のスケジュールのミスマッチで来年の3月に延期になってしまったことです。

 

とても残念ですが、それ以上に、新診療所建設準備のためのコンセプトや、聖楽院での音楽活動のために多くの学びができたことは、貴重な経験でした。

 

 

欧州出発の朝の目覚めは5:30am(日本時間:1:30pm)

 

結局のところ、自然光による時間同調作用は強力であって、2週間で完全に8時間の時差が解消され、現地のリズムになってしまいました。

 

一度も水氣道ができなかったので、帰国後も用心してかかろうと思います。

 

つまり、このままでは、典型的な時差ボケが生じる可能性があります。

 

最後の調整は、機内ということになります。

 

 

昨日の夕食が思いのほかヘビーになってしまったため、朝食は8:00amに取りました。

 

朝食レストランでは、スーツ姿の現地のビジネスマンが多いのが印象的です。

 

さすがドイツの金融や商業の中心地ならではの光景です。

 

レストランに隣接しているフロントの前を通り過ぎようとすると、フロント職員と宿泊客とのやり取りが戦争のようでした。こうした光景は度々経験しました。

 

共にドイツ語を話す人間同士、しかも早口なので、すべては聞き取れませんが、双方とも結構粘っています。

 

ドイツ人にとって、見知らぬ相手は、それが同じドイツ人同士のお客様であっても、あたかも敵対しているかのような緊張感を帯びることがあります。

 

日本のホテルのフロントでもトラブルは皆無ではないですが、ドイツのホテルは説明が丁寧ではありません。

 

それは、ドイツ人にとっては常識なのかもしれませんが、そうばかりともいえないようです。

 

特に、シャワーの使い方や、コーヒーメーカの使い方など、その部屋を退出する頃になって、やっと使い方がわかるような場合も度々ありました。

 

いちいち説明がされていないので、ドイツのドクターも、試行錯誤して当たりをつけているということです。その点、日本のホテルは良く工夫と努力を続けていると思います。

 

 

さてドイツもカード化が進み、キャッシュレスが進行していますが、旅行者にとってはカード一本というわけにはいきません。

 

たとえば有料トイレですが、高々1ユーロとはいえ、手持ちのコインがないと大変な思いをしなければなりません。

 

なぜなら、目の前のトイレが使えない場合、その周辺のトイレから一番遠いところに居ることを意味します。

 

ミネラルウォ―ターを買ったり、カフェでコーヒーを注文したりするときに、いちいちカードで支払う人はいないでしょう。

 

 

キャッシュレス化が進んでいるためお札でいえば100ユーロ札を使う頻度は、それほど多くないでしょう。

 

50ユーロ札もたくさんは要らないことが多いので、早めに20ユーロ札にして、2ユーロ硬貨、1ユーロ硬貨などを増やしておいた方が便利です。

 

逆にコインについては、10セント(0.1ユーロ)までは利用価値がありますが、ドイツにおいては5セント以下、2セントおよび1セントはほとんど使い道がありません。

 

小銭入れには必ず2ユーロ、1ユーロ、50セントの3種類のコインを確保しておかないと、とても不便です。

 

私は、チップを渡すときに、ついでに5セント以下の小銭も加えて受け取って貰って喜ばれました。

 

ちりも積もれば、ではないですが、小銭でも10枚単位で差し上げれば、子供でなくとも悪い気はしないようです。

 

 

外国旅行において、宿泊中のホテルというのは、自分の城のようなものです。

 

食事も排泄も睡眠も、仕事も、すべて自分のペースで、妨害されることなく自由で生産的な時間を過ごすことができるからです。

 

ひとたび屋外に出れば、あらゆることに気を使わなければなりません。

 

不便と危険という不安には、常に晒されていることは覚悟しなければなりません。

 

 

日本においても、引きこもりや広場恐怖をともなうパニック障害、社交不安障害など多くの患者さんと接していますが、今回の中欧研修は、これらの患者さんの悩みを疑似体験する機会にもなったのではないかと感じます。

 

 

心配や不安が減れば、一日はもっとゆっくりと充実して楽しめるはずですが、油断して失敗すると、それを取り返すのに大変な思いをしなければなりません。

 

他者の失敗に対して寛容でない社会風潮が、こうした病気の発生を助長している可能性もあるでしょう。

 

適度な警戒は生きていくうえで必要ですが、それに支配されてしまうのは大問題です。

 

両極端に向かうのではなく、両者の兼ね合いの中で、つまり、中庸を保ちつつ、バランスを保ちながら生きていくための取り組みを始める必要があるでしょう。

 

 

来年以降建設予定の新クリニックは、自分のホテルのように便利で居心地が良く、安心して診療を受けられる場にしたいと思います。

 

不安な外界に出て、困った時にいつでも戻ってこられる自分のホテルの存在意義は大きいです。

 

そこから、水氣道®聖楽院などの活動に参加することを通して、徐々に自分の活動範囲と将来に向けての可能性を広げていく、そうしたことを積極的に支援できる場が必要な時代だと思います。

 

 

10:00am少し前にホテルのチェックアウトをするときに、受付嬢が手荷物を預かりましょうか、と尋ねてくれたのでお願いしました。

 

これで大分身軽になりました。ホテルの所在地は、マイン河沿いの通りからFrankfurt駅側に一本入った通りに面しています。

 

ホテルを出て左手の方を歩いていくと、ほどなくFrankfurt国立歌劇場です。残念ながら今回はここでオペラを楽しむことはできませんでした。

 

さらにしばらく歩いていくとレーマー広場に行き着きます。広場に面するニコライ教会からパイプオルガンの演奏曲が聴こえてきました。

 

すると聖堂内には誰もいないかと思いきや、パイプオルガンの奏者の姿を見つけました。ほどなく、何人もの観光客が三々五々入ってきました。幼い子供たちも混じっていて、皆大人しく演奏に聞き入っていました。

 

このような環境が身近にある国と、そうでない国では、すでに幼児教育の時点で大きな違いが生じてしまうのではないか、そんな気がしました。

 

この教会は、1290年に宮廷の礼拝堂として建設され、第2次世界大戦の爆撃も免れた教会で、現在はプロテスタントの教会になっているとのことです。

 

パイプオルガンの奏者は、一旦演奏を終えて降壇しかかったのですが、私と目が合い、もう一度パイプオルガンの演奏を始めてくれました。

 

お客さんが続々入り始めたのは、その直後からでした。これこそが本物の聖楽です。

 

聖楽は魂を癒してくれます。心と体の癒しには、健全な魂が必要になりますが、聖楽は心の癒しを通り越して、魂の癒しに直結する音楽なのだと思います。

 

 

10:45amにニコライ教会を出ましたが、キリスト教においてカトリックだとかプロテスタントとかの区別は一体なんだろうという疑問がふと湧き起ってきました。

 

歴史的な背景もあることでしょうが、ニコライ教会がカトリック教会でないことが不思議な気がしました。

 

きっと、プロテスタント教会は、意味があって存在しているのではないかと思うのです。

 

抵抗する者(プロテスタント)の出現の御蔭でカトリック教会(聖なる普遍の教会)が再覚醒したのではないか、そういう意味でプロテスタントの誕生は、主の御心に叶うもの、そして両者が尊敬し合うことによって、キリスト教の霊性がさらに豊かに育まれていくことを主がお望みなのではないか、そのように思えてきました。

 

 

間もなく、シルン美術館です。美術館や博物館は、ホテルの次に落ち着ける場所です。

 

間違いなくトイレがあります。入場料には1ユーロのトイレ使用代が含まれていると考えても良いでしょう。

 

トイレの心配をしながら観光を続けるのはストレスフルです。

 

二階の作品展示室には手荷物を持ち込んではいけない決まりになっているようで、地階に戻って、手荷物預かり所に預けてくるようにいわれました。

 

観客は比較的多く、熱心に見入っている人たちもいましたが、生憎私のテーストには合わないため、つまり、理解できないため、一巡りして外に出ると、すぐ近くの大聖堂に入りました。

 

この聖堂は、神聖ローマ帝国皇帝の選挙や戴冠式が行われた教会で、ゴシック様式として完成したのが15世紀という代物です。

 

聖堂の入り口には、一対の物乞いの女性が座っていました。イスラム系かアラブ系か、私にはよくわかりませんがキリスト教信者の出で立ちではないのが不思議な気がしました。

 

そして、わたしの関心惹いたのは入口の注意書きです

 

まず、現地のドイツ語から

 

Herzlich willkommen im Haus Gottes

Bitte nehmen Sie Rücksicht auf Gottesdienstfeiers

Und das Gebet der Gläubiger

 

(神の家にようこそ、心よりかんがいいたします。

ミサ式典と信者の祈祷に対してご配慮くださいますように)

 

このドイツ語のあと各国語で訳されています。

 

(英語) A warm welcome to the House of God.

   Please respect the prayer of the faithful.

 

(フランス語)Bienvenue dans la Maison du Seigneur.

   Merci de ne pas déranger ceux qui prient.

 

(イタリア語)Benvenuti nella casa di Dio.

   Per favore rispettare I fedeli in preghiera.

 

(スペイン語)Bienvenidos a la casa de Dies.

     Por favor respectan la oración los fieles.

 

(日本語) 皆様ようこそ。教会(神の家)は信徒が祈りを捧げる場所です。

   拝観の際には、どうぞご静粛にお願い致します。

 

(中国語)誠摯歓迎来到神之家

    請保持粛静、以免影✖信教徒禄告

 

✖は口扁に向という文字です。

 

 

英語とイタリア語とスペイン語ではrespect,rispettare,respectanと動語原の動詞が使われています。

 

英語のrespectは文字通り、現代的な使用法では、敬意をはらってくさい、あるいは尊重してください、という意味になりますが、ジーニアス英和大辞典によると、古英語では顧慮してください、考慮してください、という意味で使われていたそうです。

 

フランス語だとdérangerで迷惑にならないようにしてください、です。

 

日本語と中国語では漢字の順序が逆ですが、要するに静粛にしてください、ということです。

 

皆さんは、すべて同じように感じますか。私は、日本人や中国人は神の家だとか、敬虔な信者を尊重し、敬意を払うことまでは期待しないから、せめてうるさくしないでほしい、と言われているようで、余り気分が良くありません。

 

余計な配慮をされているようで残念な気がします。こうして、聖堂を出たところで12時の鐘が鳴り響きました。

 

すると、近隣の教会の鐘も鳴りはじめ、和音を形成しているのです。

 

<せっかく和をもって尊しとなす国にあなたを預けたのだから、もっとおおらかに受け止めなさい。あなたにはまだまだ寛容の精神が欠けていますね。>という神の声を聴いたように感じました。

 

 

この後、ホテルに戻って、預かってもらっていた手荷物を受け取り、Frankfurt中央駅から空港へ向かいました。

 

 

この後、6:05pmFrankfurtよりルフトハンザで出発予定

 

(日本時間:2:05am)

 

機内ではひたすら眠ることにします。

 

3月28日2:15pm羽田到着の予定。

 

 

皆様、3月28日(水)7:00pmからの50回聖楽院週例コンサート

 

(東高円寺Music Bar 音海)にご来場ください。

 

なお開場は6:30pmからです。