中欧研修レポート:第9日目

日本日時3月23日11:00pm

(現地Berlin 日時:3月23日3:00pm)

 

 

Wiegkann Klinik 見学

 

9:00に学会会場前に集合して、R.Smolka博士が院長、指導医を勤める病院(Klinik für Psychogene Störungen, Psychosomatische Medizin und Psychothrapy, Wiegkann Klinik)内を案内していただきました。

 

 

このヴィークマンクリニークは心身医学および心理療法を専門として、他の多くの病院群の中の一つとして独立した建物になっています。

 

外来部門と入院部門を切り離すのではなく融合させる方向で発展しているとのことです。

 

病院内の外来待合室は日本の大病院に比べると比較的手狭な感じですが、外来の患者さんも、談話室や廊下にあるコミュニティー空間で屯している患者さんたちとも明るく挨拶を交わすことができました。

 

 

特徴的だったのは、病院の壁という壁に、デザイン画が掛けられていたことです。

 

それらの絵を描いた画家は日本人の女性で、和田淳子という方です。

 

青森の出身でベルリンと京都の綾部にオフィスをもって活動されているとのことです。

 

踊りながら描いたとされる彼女の作品は、決して最初から病院向けに掛れたのではないとのことですが、入院・外来の患者さんのみならず、病院の職員や院長のSmolka先生まで、これらの絵画に親しんでいるそうです。

 

いわゆる、実際的に絵画療法にもなっていて、作業療法室では、彼女のモチーフに沿って描かれた患者さんの作品もありました。

 

 

院長秘書の女性が、絵画の造詣が深い方で、一つ一つの作品の背景について、いろいろ示唆に富む解説をしてくれました。

 

私はこの女性とすぐに意気投合して、芸術のもつ治療効果についてSmolka先生とも共通の芸術観があることに気が付きました。

 

絵画から感じ取れるもの、その解釈と、癒しの力について、思いがけない対話ができたのは楽しいひとときでした。

 

 

今回は、これまでと違って、いろいろなものに関心が開かれてきました。

 

来年移転を考えるにあたって、新クリニックはより広い空間を、と考えています。

 

しかし、床面積が広いだけではなく、なるべく天井の高い物件を検討したいと思います。癒しの力のある絵画をリースで借りることも考えてみたいと思いました。

 

 

ドイツの医学の現状は、いまでも東西格差があるようです。ドイツの首都ベルリンが旧東ドイツ領域に位置していることの意味を感じました。

 

毎年、ドイツ心身医学会がベルリンで開催されていますが、東ドイツ側からの会員の参加のためにも良い取り組みだと思います。

 

つまり、旧西ドイツ側の病院は、心身医学が確立しているのですが、東ドイツ側の大学や病院をはじめクリニックは需要に対して不足しているとのことでした。

 

 

雪が降って少し寒い中て、Smolka先生がタクシーをよんでくださり、一同、学会会場へ戻りました。

 

到着したのは11:30頃でしたが、目当てのセッションは同一のテーマのもとに短時間の発表がいくつかあるセッションなので、昨日とは異なり聴きやすかったです。

 

 

 

ドイツ心身医学会(2日目)参加

 

「政治と考え方」というシンポジウムで、

ポスト産業社会における労働力

操作可能性に向けての経験と考え方

 

Politik & Konzepte: Symposium, Curie

22.03.2018, 11:00 – 12:30

Arbeitsfähigkeit in der post-industriellen Gesellschaft: "Selbstevidentes" Erleben, Konzepte zur Operationalisierung

VorsitzendeHillert, Prien am Chiemsee

Linden, Berlin

Präsentation

Teilhabestörungen am Arbeitsplatz in Abhängigkeit von Fähigkeitsdefiziten bei allgemeinärztlichen Patienten M. Linden, Berlin

 

Arbeitsfähigkeit als Inhalt und Ziel der stationären Psychotherapie: empirische Befunde, Therapeuten und Patientenperspektive T. Bauman, Prien am Chiemsee

 

Fähigkeitsbeeinträchtigungen nach Mini-ICF-APP bei Soldaten mit verschiedenen (posttraumatischen) psychischen Erkrankungen B. Muschalla, Berlin

 

1)Wie hängen – selbstdefinierte – Arbeitsfähigkeit, Depressivität, Burnout- und Gratifikationskrisenerleben zusammen? A. Hillert, Prien am Chiemsee

 

2)Effekte einer Psychosomatischen Betriebsambulanz auf die Arbeitsunfähigkeitszeiten der Teilnehmer – eine Analyse anhand von Sekundärdaten M. Gantner, Ulm

 

3)Effektivität von Führungskräfteschulungen zur Prävention psychischer Erkrankungen am Arbeitsplatz E. Boysen, Ulm

 

 

以上の演題の中で、最初から通しで聴くことができたのは最後の3番目の演題でした。

 

「職場での心の病気の予防に向けての指導者講習の効果について」という話は、関心があったためかわかり易かったです。

 

ただし、労働者の心の健康管理について、企業がどれだけ主体的に取り組む姿勢を持つようになるか、という課題の方がより重要な検討事項ではないかと感じました。

 

 

次のセッションまで小一時間あるため、司会者が到着するより前に着席していました。

 

このセッションは、英語でのセッションであることと、テーマが面白そうだと思いました。

 

ただし、Forschungというのはドイツ語で、研究発表のシンポジウムです。

 

タイトルは身体症状の発生と治療に対して<期待すること>の役割について、というテーマです。

 

座長は二人とも女性で、早々と着席している私に好意の眼差しをむけてくれました。

 

Forschung: Symposium, Austen

22.03.2018, 13:30 – 15:00

The Role of Expectations for Development and Treatment of Somatic Symptoms

Vorsitzende

Nestoriuc, Hamburg

Benson, Essen

 

Significant placebo as well as nocebo effects have been identified across a variety of bodily symptoms such as pain, nausea, fatigue, or gastrointestinal symptoms. 

 

Research into the mechanisms driving these effects has revealed a key role of patients’ expectations and prior experience with symptoms as well as treatments.

 

Importantly, these mechanisms might be exploited in clinical practice to optimize medical treatments in terms of fostering efficacy by way of eliciting positive expectations and in terms of increasing tolerability by reducing negative expectations about treatment side effects.

 

This symposium gathers the latest evidence regarding possible clinical applications of research into the effect of expectations on somatic symptoms.

 

Prof. Benson and colleagues show clinical effects of an optimized information on post-operative pain in a sample of patients with breast cancer. The clinical trial led by Prof.

 

Nestoriuc investigates the clinical impact of an expectation optimization intervention aimed at reducing side effects and optimizing quality of life and adherence during adjuvant endocrine treatment for breast cancer.

 

Prof. Elsenbruch presents current findings regarding the nocebo effect and underlying neural mechanisms in visceral pain model and draws conclusion regarding potential application in patients with chronic gastrointestinal disorders such as irritable bowel syndrome.

 

Finally, Dr. Weimer will present latest results of an experimental study investigating placebo analgesic effects in children, specifically comparing expectations induced by verbal suggestion versus expectations induced by social modelling in boys and girls.

 

Gender specific effects regarding the effect of observed versus verbally induced positive expectations will be discussed.

 

<プラセボ(プラシーボ)効果>は効きなれていて一般の方までが良く知っている言葉ですが、これに対して<ノセボ(ノーシーボ)効果>というのは、私にとっても初めての言葉でした。

 

有無が鎮痛効果に大きな影響を及ぼしていることを実感しています。

 

ところで、ノーシーボ効果(ノセボ効果)とは【反偽薬効果】と訳されることがあり、偽薬(プラセボ)の投与によって、望まない有害な作用が現れること、とされます。偽薬効果(プラセボ効果)とは逆に、薬物や医師に対する不安感などの心理作用によるものとされるものです。

 

Präsentation

 

1)Increasing positive treatment expectations in patients with post-operative pain:

a promising approach to improve the efficacy of pharmacological treatments?

 

Benson, Essen

 

術後の患者における治療に対する前向きな期待の増加:

 

薬物療法の効果を高めるために有望なアプローチであるのか?

 

この女医さんは、発表形式が英語なのに、準備不足でドイツ語のスライドになってしまったことを断って発表をはじめたのが印象的でした。

 

彼女の発表の後の質疑応答で、「日本人にもわかりやすい英語で、ドイツ語のスライドも簡潔で良くまとまっており素晴らしかった旨を伝えた上で、私は「<期待すること、希望を持つこと>によって薬物療法の効果を高め、副作用の発生を抑制することが可能である結果が出ましたが、そのメカニズムについて教えてください」という意味の英語で質問しました。

 

しかし、彼女はメカニズムについての答えではなく、この方法が、いかにいろいろな病気に有用であるかを熱心に説明してくれました。

 

彼女は、時間の許す限り、質疑応答でもそのことを述べたかったようです。

 

もう一つの理由は、私の質問に対しては、次の演者が口演の中で示してくれるだろうという事だったことに、後で気が付きました。

 

 

2) Expectation management to diminish cancer treatment side effects: results of the multisite randomized controlled PSY-BREAST trial /Y. Nestoriuc, Hamburg

   

がん治療の副作用を減らすための期待の管理:

多施設間でのランダム・コントリールによる精神-乳房試験の結果について

 

これは、ふんだんな画像データを供覧してくれて、エヴィデンスレベルの高い発表でした。

 

がん患者の期待や希望は、プラセボ効果によって治療効果を上げるだけでなく、ノセボ効果を抑制することによって癌の治療薬による副作用発現をも軽減する直接のメカニズムは不明でしたが、期待している癌患者さんの脳画像と不安を抱いている癌患者さんの脳画像に明らかな違いがあることは印象的でした。

 

 

3) Nocebo effects and the brain-gut axis: when gut feelings turn into visceral pain/ S. Elsenbruch, Essen

 

ノセボ効果と脳-腸相関基軸:腸管の感覚が内臓痛になるとき

 

腸の機能と脳の機能が相互に密接な影響を与えていることを腸・脳相関といいます。

 

日本では機能性腸疾患について、東北大学の臨床研究グループが積極的に取り組んでいます。

 

高円寺南診療所でも、逆流性食道炎(胃・食道逆流症)、過敏性腸症候群など多数の症例に対して、豊富な経験があるので、これからはプラセボ効果、ノセボ効果の両面を配慮することによって、お一人お一人に沿った対応を工夫することによって、自然治癒能力がより有効に発揮できるように支援させていただきたいと考えました。

 

 

4) Gender differences in social learning of placebo analgesia in children K. Weimer, Tübingen

 

プラセボ鎮痛を社会的に学習させる際の子供の性差

    

これは意外でしたが、女の子の方が男の子よりプラセボでの鎮痛効果が得られやすいということでした。

 

研究の対象は子供でしたが、成人にも当てはまるかどうかはたいへん興味がある所です。

 

最近では、私は患者さんにとってベストな薬だと判断して、説明した上で勧めても、患者さんが拒否する場合は、以前ほど熱心に説得を続けることはしないようになりました。

 

理屈では理解できても、情緒的に受け入れることができない、という患者さんの立場に寛容にならなければと考えるからです。(ただし、禁煙指導はこれとは別に考えてください。)

 

その場合は、患者さんが、私自身や私の処方薬に対して不安を抱いているのではないか、と反省してみますが、それ以外にもノセボ効果が出易いタイプがあります。

 

それは、典型的な例では医療費に対する不安です。初診で、しかも診療時間を過ぎて来院して、最初から診療費の心配ばかりして、必要な診療を自ら妨げるような方がいらっしゃいます。

 

今後はこのような方々に対しては、率直なところ、警戒レベルを上げなければならないと考えています。

 

なぜなら、ノセボ効果が発生し易いからです。これは患者さん側、医療者側の双方にとって不利益となるのではないでしょうか。

 

 

プラセボ効果やノセボ効果を最大限に活用して、患者さんの自然治癒力を最大限に引き出すことを考えていた治療家がいました。

 

12世紀のドイツの貴族の女性でヒルデガルトという名の聖人です。このセッションが終ったときに、個人的に座長を務めた二人の女医先生に、ビンゲンのヒルデガルトについて尋ねましたが、余り詳しいことはご存じなかったようですが、興味を持ってくれた様子でした。

 

 

次の研究セッションは、自殺に際してのリスク因子と介入調査:

実態調査結果明後日宿泊する予定のライプニッツ出身の二人の先生が共同座長を務めました。

 

これは、早口のドイツ語なので、聞き取るのが大変でした。最後まで気を抜くことができませんでしたが、スライド上のキーワードや図表が理解を助けてくれました。

 

Forschung: Symposium, Newton

22.03.2018, 15:30 – 17:00

Risikofaktoren und Interventionen bei Suizidalität:

Ergebnisse aktueller Forschung

Vorsitzende

Spangenberg, Leipzig

Glaesmer, Leipzig

 

Im Jahr 2015 starben in der Bundesrepublik Deutschland 10.070 Menschen durch einen Suizid (Statistisches Bundesamt [DeStatis], 2017). Die RateSuizidversuchen wird als bis zu 20-fach höher eingeschätzt als die der izide (World Health Organization, 2011).

 

Nicht zuletzt unter diagnostisch-therapeutischen Gesichtspunkten stellt sich somit die Frage, weloximalen intra- und interpersonalen Faktoren ein erhöhtes Suizidrisiko vorhersagen.

 

Psychologische Theorien spielen daher eine immer größere Rolle zur Erklärung, Vorhersage und Prävention suizidalen Verhaltens (Hawton et al., 2013).

 

Aber obwohl in jüngerer Zeit mehrere solcher Theorien entwickelt wurden, konnten in den letzten 50 Jahren keine überzeugenden Fortschritte zur Vorhersage von Suizidalität gemacht werden (Franklin, Ribeiro et al., 2016).

 

Suizidgedanken und  Suizidversuche sind – alters- und störungsübergreifend – die zentralen Risikofaktoren für vollzogene Suizide.

 

Entsprechend stellen die Untersuchung dieser Faktoren und darauf fokussierende Interventionen einen wichtigen Schritt in der Prävention von Suiziden dar. In dem geplanten Symposium werden verschiedene Studien vorgestellt, die sich die sich mit diesen Themen aus verschiedenen Perspektiven beschäftigt haben.  

 

So wird eine klinische Studie vorgestellt, die den Einfluss der Kurztherapie ASSIP (Attempted Suicide Short Intervention Program) auf die Entwicklung von Suizid spezifischen Bewältigungsstrategien analysiert (Dr. Anja Gysin-Maillart).

 

Zwei Vorträge beinhalten die empirische Prüfung von Annahmen der Interpersonalen Theorie suizidalen Verhaltens mithilfe von Ecological Momentary Assessments, einerseits der Stabilität von Acquired Capability for Suicide (Dr. Lena Spangenberg), andererseits der Prädiktion von Suizidgedanken durch Perceived Burdensomeness und Thwarted Belongingness (Nina Hallensleben).

 

Ein weiterer Beitrag beleuchtet die prädiktive Bedeutung von zwei zentralen Konstrukten (Defeat und Entrapment) des Integrativen Motivational-Volitionalen Modells für Suizidgedanken (PD Dr. Thomas Forkmann).

 

Außerdem werden Ergebnisse zur Häufigkeit von Suizidgedanken und suizidalen Verhaltensweisen bei Tiermedizinern präsentiert und mögliche Risikofaktoren diskutiert (PD Dr. Heide Glaesmer).

 

Präsentation

1)Einfluss der Kurztherapie für Patienten nach Suizidversuch ASSIP (Attempted Suicide Short Intervention Program) auf die Entwicklung spezifischer Bewältigungsstrategien. Ergebnisse der 2 Jahres-Follow-up Effektivitätsstudie / A. Gysin-Maillart, Bern, Schweiz

 

自殺企図の特異的対処法開発ASSIP(自殺短期介入プログラム)における短期療法の影響。 2年間のフォローアップ効果試験の結果

 

 

2)Stabilität und zeitliche Dynamik von Acquired Capability:

Echtzeitanalyse bei stationären Patienten mit Depression /

Spangenberg, Leipzig

 

獲得能力の安定性とタイミング:うつ病入院患者のリアルタイム解析

 

 

3)Defeat und Entrapment als Prädiktoren von suizidalen Gedanken im Rahmen des Integrativen Motivational-Volitionalen Modells Suizidalen Verhaltens /T. Forkmann, Aachen

 

自殺行動の集積的な動機づけ - 意志モデルにおける自殺思考の予測因子としての敗北感と困難感

 

 

4Depressivität und Suizidalität bei Tiermedizinern in Deutschland im Vergleich mit der deutschen Bevölkerung / H. Glaesmer, Leipzig

 

ドイツの人口との比較による獣医師におけるうつ病と自殺率

 

 

この演者のGlaesmer先生は大柄の女性で、このセッションの共同座長を務め最後にまとめてくれました。

 

それよりも、この先生は、発表の後半から少し涙ぐんでいるのに気づいて、彼女の人間的な優しさに私も強い感銘を受けました。

 

これらの結果がなぜ生じるかについての理由として、獣医師は動物が好きで動物を愛する人たちが選ぶ職業ですが、実際には<安楽死>を余儀なくされることに絶望感を覚えがちなこと、大きな動物に対して人間よりはるかに大量の薬物を投与することが多いので、投与薬物の上限に対する警戒心が弱まり易いこと、そして危険な薬物を入手し易い環境にあること、などを背景として挙げていました。

 

Eutanasie(安楽死)という言葉が増えてきた後半の口演では、言外に、<人間の安楽死は決して認めてはならない、それを医師が行ったら、獣医師以上に医師のうつ病と自殺率が高まるに違いない>と訴えたいのではないか、と感じました。

 

私は、彼女がなぜ、この研究を行ったか、ということに思いを馳せ、深い共感を覚えました。

 

 

 

ベルリン国立歌劇場

 

 

私は、本当にオペラが好きなんだと思いました。

 

今晩は、モーツアルトの「魔笛」、モーツアルトの作品にはイタリア語のものとドイツ語のものがありますが、これはドイツ語。だから、いつでもドイツ語圏のお客さんが多く、万年のロングセラー。

 

しかも、中高年層ばかりでなく、子供連れの親子や、若いカップルなど、現代の社会にしっかりと根を下ろしています。

 

そうした雰囲気に囲まれてオペラを鑑賞するのはとても気分の良い物なのであります。

 

それに引き換え、国内ではほとんどオペラには行きません。知っている歌い手が出演しているものに、ほぼ限定されます。

 

ですから、毎年の3月の下旬は、私にとって、オペラ三昧習慣でもあるのです。新装オープンしたベルリン国立歌劇場は、ウィーンでいえば国立歌劇場とフォルクスオーパーの中間ぐらいのスペースに感じられました。

 

しかし、オーケストラピットの前に繋がる踊場は、まるで宝塚歌劇が始まるかのような構造で、観衆にはたまらない魅力の一つになっているのではないかと思いました。

 

そういえば、日本語を話している若者たちが目につきます。

 

いずれにしても、マナーの良い若い人たちなので、こうした日本人の観衆ばかりだと、私の機嫌も良くなり、癒しの効果も抜群となります。

 

夜の女王を歌ったソプラノは美声でしたが、残念ながら、感腎の聞かせどころで3度、4度声が不安定になりました。

 

耳の肥えた観衆はすぐに気付いて反応していました。

 

そのソプラノ自身大変な思いで歌い切り、オペラの全体の流れに責任を果たしていたのは立派でした。

 

やはり、これは、誰が歌っても難しい役であることを誰もが承知なので、幕が下りてからの拍手には陰りはありませんでした。

 

しかし、それを考えてみると、ウィーン国立音大の夜の女王役の学生のソプラノは、安定した声を備えていました。

 

彼女はすぐにでも活躍できるのではないかと思いました。

 

 

日中の学会での疲れが出た模様で、幕が下りる直前から睡魔に襲われたため、劇場前からタクシーを拾い、ホテルに戻り、翌日の自分の発表に備えて休憩することにしました。