慢性腎不全患者は、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症および貧血を合併し、心血管疾患の発生頻度や死亡率が高いほか、認知症の原因になることがあります。
そのため慢性腎不全患者では腎障害の進展を抑制する治療とともに、高血圧、脂質異常症の管理が重要です。
降圧剤の選択は、保存生慢性腎不全例ではレニン-アンギオテンシン系を抑制する薬剤(ACE阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬)が有用です。
糖尿病、非糖尿病いずれにおいても腎障害進行阻止に有効で、降圧効果と尿蛋白減少効果とが認められるからです。
ただし、これらの薬剤を使用する場合には血清カリウム値や血清クレアチニンの上昇に注意する必要があります。
血清カリウムが5.5mEq/L以上の場合は中止することが望ましいです。
脂質異常症の治療に用いるフィブラート系誘導体は、肝臓での超低密度リポ蛋白質<VLDL>の合成を抑制し、血中中性脂肪の低下やHDL<高密度リポ蛋白>コレステロール増加作用を有するが、腎不全患者では使用禁忌です。
また、クレアチニン2.0mg/dl以上では横紋筋融解症の危険性が高いです。
高尿酸血症には尿酸生成抑制剤(アロプリノールなど)を投与します。
ただし、活性代謝産物であるオキシプリノールは腎排泄型で、腎機能低下時には血中濃度が上昇し、骨髄抑制やスチーヴンス・ジョンソン症候群などの副作用発現に繋がるので、投与量を適宜減量する必要があります。
また、腎不全には代謝性アシドーシスが伴い、蛋白異化亢進、骨塩減少および線維性骨塩をきたします。
高ガストリン血症(高カルシウム血症⇒胃・十二指腸のG細胞刺激⇒副甲状腺機能亢進症)の原因)となることがあります。ガストリンは腎で代謝されるためです。
ALPの小腸性分画ALP₅が上昇することがあります。
2017年にCa受容体作動薬エテルアルセチド塩酸塩(パーサビル®)が承認されました。
腎不全の原因を鑑別する上で、日常診療に有用な検査として尿中ナトリウム排泄率と腹部超音波検査があります。
尿中ナトリウム排泄率は腎前性腎不全である場合には尿細管機能は正常です。
腹部超音波検査では、腎臓の大きさを測定するだけでも臨床的な意義があります。
急性腎不全では腎臓のサイズが正常範囲を超えて大きくなり、また慢性腎不全では萎縮して小さくなります。
また慢性腎不全になると骨髄を刺激して造血作用をもたらすエリスロポイエチンを賛成できなくなるために貧血を引き起こします。それを腎性貧血といいます。
その場合はエリスロポイエチン製剤による治療が必要になってきます。
それによって、腎機能低下の進行抑制、心不全の悪化の抑制などが期待されています。
長期に透析を受けている人が手のしびれを訴えて受診してこられた場合には、手根管症候群を疑わなければなりません。
その原因は正中神経の障害によるものです。
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症に対して、Ca受容体に作用してPTHの分泌を抑制するものです。
透析患者の透析ルートからの投与が可能です。
血液透析を受けている人の多くは糖尿病が原因となっています。
糖尿性腎障害といって適切な管理をしないと腎不全になります。
一般的に糖尿病患者の血糖管理の指標は空腹時血糖とHbA1cですが、糖尿病を合併した血液透析患者の血糖管理の指標にはなりません。
その場合に適切なのはグリコアルブミンです。
糖尿病の管理が不十分であると腎機能は徐々に低下していくのですが、糖尿病の治療に用いる血糖降下剤の中には腎機能低下につれて作用が減弱するものがあります。
それは比較的新しい薬でSGLT2阻害薬という治療薬です。
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