最新の臨床医学:呼吸器・アレルギー・膠原病学<急性呼吸窮迫症候群(ARDS)>

症状は、息苦しさ、胸がゼーゼーする、咳・痰、呼吸数の増加、頻脈などがみられます。

 

 

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症原因で最も多いのは敗血症です。

 

その他、直接的な原因としてはウイルス性肺炎や粟粒結核、溺水など、間接的には急性膵炎、多発外傷、広範囲熱傷、大量輸液などによるショックがあります。

 

また薬物治療による重大な副作用(有害反応)の一つでもあります。

 

 

ARDSの発生のメカニズムは、免疫担当細胞(マクロファージや単球など)が活性化され、サイトカイン(TNF、IL-1、IL-8など)が分泌され、補体の活性化とともに顆粒球の活性化が生じることによります。

 

 

ARDSでは肺コンプライアンスが低下します。

 

 

日本呼吸器学会による診断基準:

 

①両側肺への急性浸潤影

 

②PaO₂/FIO₂≦200

 

③肺動脈楔入圧≦18mmHgまたは理学的に左房圧上昇の所見が無い

 

 

肺胞虚脱の防止のために十分なPEEPを確保します。

 

一方でVALI(人工呼吸器関連肺損傷)を予防するために低用量換気(6~8mL/kg)を行います。

 

人工呼吸開始後24~48時間以内の、可及的速やかな景観経腸栄養の開始が推奨されています。

 

 

参照:ARDS診療ガイドライン2016part1(日本呼吸器学会)