①起:杉十温水プール改修成果に関する所感

 

杉十温水プールの工事のため2月からの始動となりました。

 

シャワーが新調され温度調節ができるようになりました。

 

水量、水圧は、一定に保たれていました。

 

また、水滴の穴は以前より大きくなっていました。

 

プールの室内装備や環境は以前と変わりがないように思われました。

 

プールの水質は去年と同じような状態でした。

 

 

皆様は稽古場環境をどのように観察され、気づき、あるいは感じましたか。

 

 

 

②承:水氣道全体稽古の心掛け

 

入水して最初の親水航法から始まる各航法の流れに身を委ねましょう。

 

その時必要な稽古課題は、その直前に与えられるので集団にも委ねましょう。

 

もっとも、慣れるにつれて、その日の稽古の流れをある程度予測できるようになり、少しずつ余裕も生まれてくることでしょう。

 

委ねることで心身が揺れることがあります。

 

しかし、体が揺れても心まで揺れることが無い状態を目指していきましょう。

 

揺りかごは赤ちゃんを成長させるように、揺れを受け入れ、楽しむことで私たちの心身調整能力は育くまれます。

 

 

まずは自分自身が、上手に支援を受けられるように委ねる準備を整え、次いで、いろいろな誘惑に負けず継続できるように自分自身を支援し、やがて他者をも支援できるように成長していく。

 

稽古を続けていけば、誰でもそれらを実際に体験できるのが水氣道です。

 

 自分自身の心身の具合を丁寧に確かめながら、次の航法に滑らかに移行していきます。

 

もし何らかの心身の違和感を覚えたら無理せず、また遠慮せずに一旦休止しましょう。

 

そして、最寄りの組長(黄帽子:支援員)か班長(朱帽子:修錬生)に伝えてください。

 

体験生の方であれば、周囲のどなたにでも気楽に伝えるようにしましょう。

 

 

ポイントは、一つ一つ動作の意味を確認して次の航法を行うことです。

 

水の自然な性質に逆らっても無駄です。水と仲間に委ねることです。

 

<水とお友達になってください>といつも会員の皆様のために念じています。

 

 

③転:水氣道分級稽古の心得

 

後半の各航法は前半の基礎からの応用です。

 

前半が上手に出来たとしても後半がそのまま巧く行き楽しめるとは限りません。

 

それは、前半より、主体的な参加姿勢、つまり、目的意識が求められるからです。

 

ただし、完璧を期したり、過剰な期待を持って臨んだりすることはかえって禁物です。

 

ある程度の満足感が得ることができ、方向性がつかめるように心がけていきましょう。

 

つまり、足りるを知ることは水氣道で習得していく徳目の一つです。

 

そうした心構えがもてるようになれば確実に上達でき水氣道を楽しめている証拠です。

 

 

また水氣道の稽古では団体行動をするからといって、周りに無理に合わせようとする必要はありません。

 

水氣道は団体エクササイズですが、それでも基本は個にあるからです。

 

水氣道は、集団の中で調和しエネルギーを受け取りつつ、自分のペースを保てるように訓練し、修錬を重ねていくものなのです。

 

そうすれば、集団の中の流れに身を置きつつも、けっしてぶれない自分を確立することができるようになることでしょう。

 

 

④ 結:まとめ

 

稽古場など環境観察の必要性、全体稽古での心掛け、分級稽古での心得を述べました。

 

<足るを知り、足らざるを補う、過不足なき中庸を旨とする。>

 

<一人では気づけない、得られないことを集団の中にあって獲得する。>

 

<委ね、委ねられること、助けられ、助けること、信じ、信じられること。>

 

そして、水氣道の稽古場には、いつでも仲間が自分を待っていてくれるのだという実感。

 

私はそれが大切な心掛けだと思っています。

 

 

ドクターが言われるように水氣道は生涯エクササイズです。

 

無理せずに、楽しく水気道を皆様と一緒にしましょう。

 

 

水氣道 従弐段下 上席支援員 

 

水氣道 活水航法 直伝 林 亮博

 

 

<追記>

改修工事で新たに防音材が使われたそうです。

声の響きが変わったように感じました。

パーキンソン病は、中年以降に発症する比較的頻度の高い錐体外路系の変性疾患です。

 

 

静止時振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害の四症状を特徴とします。

 

そのため転倒し易いことに注意すべきです。

 

また、認知機能障害、精神症状、自律神経障害なども伴いやすいことを認識しておくことが必要です。

 

 

中脳黒質ドパミン神経細胞が高度に脱落し、線条体(被殻・尾状核)のドパミン濃度が著減することが、これらの中核症状と密接な関連を持ちます。

 

しかし、細胞脱落は黒質にとどまらず、中枢から末梢神経系に至る広範な神経細胞に及び、レビー小体という特徴的な細胞質封入体が観察されます。

 

このレビー小体の主成分の一つが特殊蛋白質であるαシヌクレインで、この物質の異常な凝集がパーキンソン病の原因であろうと考えられています。

 

 

パーキンソン病には画像診断が有用です。

 

¹²³I-MIBG心筋シンチグラフィ―に加えて、ドパミントランスポーターSPECT(DATスキャン)が臨床応用されています。

 

ただし、鑑別疾患に役立つ特異的な検査はMIBG心筋シンチグラフィ―であり、心筋への取り込み集積低下所見が特異的です。

 

また、パーキンソン病では脳血流シンチでは異常を認めないことが知られています。

 

 

さて、パーキンソン病の原因はαシヌクレインの異常な凝集であるならば、パーキンソン病の本質的な治療はαシヌクレインの凝集阻止ということになります。

 

しかし、現時点で可能な治療の基本は、線条体におけるドパミン受容体に対する有効な刺激です。

 

すなわち不足したドパミンの補充とドパミン代謝の改善が中心となっているに過ぎません。

 

また、ドパミン神経に拮抗するアセチルコリン神経の抑制も有効であり、軽症例で用いられます。

 

ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)はL-ドパの末梢での分解を防ぎ、脳内への移行を助けます。

 

また、モノアミンオキシダーゼB阻害薬(MAO-B)はLドパと併用して使われていますが、これは脳内で生成されたドパミン分解酵素であるMAO-Bを抑制することでドパミン濃度を高めます。

 

 

ただし、将来の運動合併症を回避する点から優れているのは、初期治療においてL-ドパ(ドパミンの前駆体)よりも効果が弱いドパミン受容体刺激薬(アゴニスト)であることが示されています。

 

さらに、L-ドパの急激な中断により悪性症候群が生じることにも注意を要します。

 

いずれにせよ、薬物療法には限界があるため、高円寺南診療所ではパーキンソン病患者さんの転倒防止などに備えたリハビリテーションによる支援が不可欠であると考えています。

 

現在、水氣道®にはパーキンソン病で加療中の方が複数例参加されていますが、いずれの方も顕著なQOL改善を示しています。

 

 

2016年に、レボドパ・カルビドパ配合経腸溶液(デュオドーパ®)が上市されて、wearing off 減少の著名な患者に有効性を示しています。

 

 

参照:パーキンソン病治療ガイドライン2011(日本神経学会)

Brugata症候群は心室細動発作による突然死が警戒される不整脈です。

 

基礎疾患をもたない突然死のおよそ20%を占めるとされています。

 

そして壮年男子が夜中就寝時に唸り声を上げて突然死する「ポックリ病」の多くが本症であろうと言われています。

 

 

成人男性における夜間の意識消失、電気ショックで蘇生可能な意識消失を伴う不整脈の既往があれば、この病気を疑わなければなりません。

 

アジア人の成人男性に多く発症します(男:女=9:1)。

 

失神が安静時または夜間睡眠時に多い理由は、副交感神経緊張時に心室細動を生じやすいためであると考えることができます。

 

したがって、交感神経系が緊張する運動は心室細動の誘因とはならないため、運動制限は不要です。

 

 

診断は心電図によります。すなわち、不完全右脚ブロックと右側胸部誘導のST上昇(J点上昇)を特異な所見とします。

 

先天性QT延長症候群と同様に細胞膜(ナトリウムやカルシウム)チャンネル系のSCN5A遺伝子などの変異が原因とみられています。

 

心室細動からの蘇生例では早期再分極所見が明らかに高頻度に認められており、早期再分極は必ずしも良性所見ではないことの警鐘が鳴らされました。

 

近年、右室流出路部位の心筋ナトリウムチャンネルαサブユニット遺伝子の変異が注目されています。

 

この異常のためナトリウム電流が減少して、それにより特徴的な心電図所見を呈することも説明されています。

 

そのため、ナトリウムチャンネルを抑制するⅠ群抗不整脈薬(ピルジカイニド)は、本症の不整脈を悪化させ、誘発試験(顕著なST上昇)にも用いられています。

 

 

2010年、Brugata症候群は、早期再分極症候群(ERS)と統合して、遺伝性J波症候群として扱うことが提唱されました。

 

J波を示す病態として偶発性低体温症があります。

 

これは東日本大震災後に多く見られました。治療としては、突然死予防のため植え込み型除細動器(ICD)植え込みが行われます。

 

 

適応分類は

 

クラスⅠ:心停止・心室細動既往例

 

クラスⅡa:心電図上coved型Brugata症候群で、失神または突然死の家族歴があり、電気生理学的検査で心室細動が誘発された例

 

HIV/AIDSは、かつては「死の病」のイメージが強かったですが、最近では抗ウイルス療法の進歩により健常人に近い生命予後が期待できる「慢性病」になりました。

 

しかし、現時点では治療は生涯にわたり継続が必要です。

 

 

服薬率が95%以上と未満では、抗HIV療法の成功率が顕著に異なります(78.3%対45.4%)。

 

現在、臨床的に関心が寄せられているのは、代謝性疾患、慢性腎臓病、心血管疾患、骨粗鬆症、HIV関連神経認知障害(HAND)や非AIDS関連悪性腫瘍(リンパ腫、カポジ肉腫、浸潤性子宮頸癌以外の悪性腫瘍)です。

 

その理由は、HIV増殖が増加させるリスクのあるこれら非AIDS関連疾患が患者予後に重要であることが明らかになったからです。

 

そこで、抗HIV療法は、年々開始が早期化していて、すべてのHIV患者に推奨されています。

 

 

また、性的パートナーへの感染リスクを有する患者においても、効果的な抗HIV療法は性的パートナーへの感染を予防することが示されているため、抗HIV療法が勧められるべきであるとされます。

 

さらに、感染後6か月以内の「初期」HIV感染者に対する抗HIV療法開始も推奨されるようになりました。

 

 

このようにHIV感染症の治療ガイドラインは毎年改定されています。

 

治療の決定には、最新の情報を参考にする必要があります。

 

 

抗ウイルス活性のある薬剤を組み合わせて投与する治療(ART療法)が行われています。

 

ARTとは、抗レトロウイルス療法であって、抗ウイルス薬を3~4剤併用するのが一般的です。

 

最近、インテグラ―ゼの出現により、NRTI2剤+インテグラ―ゼ阻害薬(INSTI)1剤の併用も初期治療として可能になりました。

 

 

「抗HIV治療ガイドライン」では、CD4陽性細胞の数で治療の推奨の強さが異なります。

 

具体的には、①<350、②350~500、③>500/μLの3段階で区分しています。

 

 

抗HIV薬使用に際しては、各薬剤による副作用、併用薬との相互作用が多いことから、必ず最新の添付文書などで確認してから使用する必要があります。

 

 

抗HIV薬には、大別して以下の3種があります。

 

1)ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)

 

2)非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI)

 

3)HIVプロテアーゼ阻害薬

 

4)HIVインテグラ―ゼ阻害薬

腎細胞癌の発見は一般に難しいです。

 

腎腫瘍の三徴は、腰背部痛、腹部腫瘤、肉眼的血尿ですが、これらの症状が出そろった段階では、すでに進行していることが多いです。

 

 

高円寺南診療所で発見した腎臓癌は、すべて超音波検査により、偶然発見した症例です。

 

 

幸いなことに、いずれも病期Ⅰ(T1N0M0)であったため、5年生存率約95%の段階で、腎摘出術を行うことができました。

 

ただし、術後5年以上経過してからの再発(晩期再発)が見られるため、フォローアップを続けていますが、いずれも元気にご活躍中です。

 

 

膵臓癌と同様に腎臓癌の早期発見に、超音波検査は威力を発揮し、多くの生命を救ってきました。

 

 

<腎細胞癌に対する抗悪性腫瘍薬>

 

免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブなど)

 

人体には免疫監視機構が備わっています。これが癌に対する自然治癒力の根源です。

 

癌細胞が発現する主要関連抗原は、抗原提示細胞に取り込まれます。

 

これがT細胞を活性化し、癌細胞を排除するようになります。

 

しかし、腫瘍細胞は、免疫チェックポイントをアップレギュレート(この場合は、監視力が低下すること。

 

通常の意味は、神経伝達物質やホルモンなどへの応答能が増大すること。

 

それらの物質や信号が減少することで、受容体の数が増加したり、感受性が過敏になったりして生じる。上方制御。)することで、このような免疫監視機構から逃避するので問題となります。

 

 

T細胞に発現する免疫チェックポイント受容体であるCTLA-4とPD-1は、それぞれ、抗原提示細胞表面のリガンド(特定の受容体に特異的に結合する物質)及び癌細胞表面のリガンド(PD-L1またはPD-L2)と相互作用します。

 

それによってT細胞の活性化を抑制します。

 

 

 

免疫チェックポイント阻害薬は、これらの免疫チェックポイント分子を標的とするモノクローナル抗体であり、これを投与することによって、T細胞に対するブレーキが外れます。

 

こうした作用によってT細胞による抗腫瘍効果が発揮されます。

 

ただし、非常に効果に薬剤であるうえに、多様な免疫関連有害事象が生じることが知られているため、適切かつ慎重な対応が必要です。

 

 

ニボルマブは、PD-1に対するヒト型モノクローナル抗体です。

 

この抗体は抗原特異的T細胞を活性化させます。

 

それがこの薬剤の抗腫瘍効果のメカニズムです。

 

腎細胞癌の他にも悪性黒色腫、非小細胞肺癌などに用いられている分子標的治療薬です。

 

 

小分子化合物(アキシチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、テムシロリムス)

〇VEGFR阻害薬(アキシチニブ)

 

 

VEGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害し、腫瘍血管新生を阻害します。

〇マルチキナーゼ阻害薬(ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブなど)

 

 

マルチキナーゼ阻害薬は複数のキナーゼを阻害します。阻害するキナーゼの種類によって効果も副作用も多様です。

〇mTOR阻害薬(エベロリムス、テムシロリムスなど)

 

 

mTOR阻害薬はセリン・スレオニンキナーゼであるmTORを選択的に阻害します。

 

エベロリムスは、マルチキナーゼ阻害薬(ソラフェニブ、スニチニブ)による前治療歴抵抗性の根治切除不能または転移性の腎細胞癌などに適応症があります。

 

テムシロリムスも腎細胞癌が適応ですが注射薬です。

<ギー:第2報、グラスフェッドバター>

 

前回の懺悔録(ギーについて)はバターを溶かして作るとあったけど、バターはどんな物のを使うの?との質問がありました。

 

ギーに使用するバターは「グラスフェッドバター」です。

 

今回は「グラスフェッドバター」についてです。

 

 

<「グラスフェッドバター」の「グラスフェッド」って?>

 

グラス(草)

フェッド(与えられた)

 

という意味です。

 

つまり牧草だけで育った牛の乳から作られたバターのことです。

 

 

 

<「グラスフェッドバター」と「普通バター」の違い>

 

日本(他の国もそうですが)の牛は高級なブランド牛や、エサの安全性にこだわって育てている牛以外はほとんどトウモロコシなどの穀物を与えて育てています。

 

本来牛のエサは栄養豊富な牧草です。昔の牛は穀物(トウモロコシなど)は食べませんでした。

 

ではなぜ穀物を食べさせているのかというと、草を食べるよりも穀物の方が脂肪を蓄えて太らせやすいためです。

 

さらに牧草地が広大なので、ゆったりとストレスがなく育っているので、そのような牛のミルクは良質ですし、そのミルクからできたバターもとてもおいしいです。

 

日本でもまだ牧場で育てられた牛ならまだしも、常に牛舎に入れられて育った牛はストレスが多く味も落ちます。

 

良質な牧草を食べてストレスフリーの牛のミルクから採れたバターは一般的なバターよりも栄養価が高いと言われています。

 

 

 

<「グラスフェッドバター」の栄養素>

 

「バターが健康に悪い」と言われていたのは動物性の油である飽和脂肪酸が多く、過剰摂取すると肥満やさまざまな病気にかかりやすくなるという理由からでした。

 

ですが近年では脂肪酸の中でも、ココナッツオイルやMTCオイル(100%中鎖脂肪酸オイル)に含まれる飽和脂肪酸の一種である中鎖脂肪酸がダイエットや認知症に良いと注目されました。

※「中鎖脂肪酸」「ココナッツオイル」については次回に。

 

<脂肪酸を「長さ」によって分類すると、キャノーラ油、オリーブオイルやラードなどの一般的な油脂のほとんどに含まれる「長鎖脂肪酸」と、その約半分の長さの「中鎖脂肪酸」があります。>

 

 

バターに含まれる注目の栄養素は

①「酪酸」

 

酪酸も飽和脂肪酸ですが、中鎖脂肪酸ではなく短鎖脂肪酸の一種です。

 

国立循環器病研究センターの研究グループがまだマウスの実験ではありますが、「酪酸が脂肪の分解を促進する」と国際的なオンライン科学誌プロスワン誌に報告しています。

 

そしてネズミだけでなく人にも脂肪燃焼の効果があると言われていますが、この研究では効果があるのは「質の良いバターに限る」とも言っています。

 

質の良いバターとは?

「グラスフェッドバター」のことですね。

 

 

②不飽和脂肪酸の一種の「共役リノール酸」

リノール酸というと不飽和脂肪酸のオメガ6系の一種で、共役リノール酸もリノール酸から作られるのですが、リノール酸とは構造が異なるために「異性化リノール酸」とも呼ばれています。

 

共役リノール酸は「脂肪をエネルギーに変えるために働く酵素を活性化させる」働きがあります。

この共役リノール酸もグラスフェッドで育った牛やミルクに多く含まれています。

 

 

③不飽和脂肪酸の一種オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸はえごま油や亜麻仁油、グリーンナッツオイルなどに多く含まれていて血液をサラサラにするなどの効果があると言われている注目の脂肪酸です。

普通のバターと比べるとグラスフェッドバターには約5倍のオメガ3脂肪酸が含まれています。

 

 

④脂溶性成分のビタミン類とカロテノイド

脂溶性ビタミンとは油に溶けやすく熱に強い性質を持ち、ビタミンA、D、E、Kの4種類がありますがグラスフェッドバターには4種類全て豊富に含まれています。

 

カロテノイドとは動植物などに存在する色素成分で、約600種類バターに含まれるカロテノイドは黄色の素となるカロテンです。(αカロテンやβカロテンなどがあります)

またカロテンの一部は必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。

 

このカロテンは青草に含まれているので牧草をたくさん食べた牛のミルク、つまりグラスフェッドバターは色素が黄色いカロテンが多く含まれているため、黄色っぽく見えます。

 

普通のバターとグラスフェッドバターを見比べると、明らかにグラスフェッドバターの黄色の方が濃いですが、これはカロテンがたくさん含まれてるからということです。

 

 

①~④の成分は普通のバターにも含まれていますが、グラスフェッドバターの方が豊富です。

 

 

前回紹介した「ギー」は「グラスフェッドバター」から作られています。

 

 

ギーを朝コーヒーと一緒に、夜は料理に使っています。

 

朝の一杯の後、体が暖かくなり、お通じも良くなっているのを実感します。

 

体重は85.1㎏と微妙に減少しています。

 

 

次回は「ココナッツオイル」と「MTCオイル」についてです。

 

悪性リンパ腫とは、リンパ節組織由来の原発性悪性腫瘍です。

 

原発部位によりリンパ節性、節外性に分類されます。

 

これに対して、循環している血液中のリンパ球の腫瘍性増殖をリンパ性白血病といってこれとは区別します。

 

リンパ節やその他のリンパ組織を構成するリンパ系細胞(B細胞、T細胞、NK細胞)が、遺伝子変異により腫瘍性増殖を来す疾患群をリンパ系腫瘍といいます。

 

 

リンパ系腫瘍は白血病型と悪性リンパ腫型、そのいずれをも取り得る型があります。

 

これは腫瘍細胞の由来から、ホジキンリンパ腫、B細胞腫瘍、T・NK細胞腫瘍の3種類に大別されます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の中で最多、

 

非ホジキンリンパ腫のおよそ3割進行経過は比較的早い(月単位)

 

一部には濾胞性リンパ腫やMALTリンパ腫から移行(形質転換)

 

50%は節性でリンパ節腫脹がみられるが、約半数は節外性で消化管が多いです。

 

組織像ではリンパ節の基本構造は失われています。

 

 

悪性リンパ腫の治療は病型によって異なります。

 

 

CD20陽性B細胞リンパ腫では、リツキシマブを単剤もしくは化学療法併用で用います。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCLでは、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロフォスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)が標準で治癒が目指せます。

 

 

濾胞性リンパ腫(FLでは、

高腫瘍量の場合、リツキシマブ+ベンダムスチンもしくはR-CHOP療法などが行われます。

 

奏効例ではリツキシマブ単剤療法が選択肢となります。

 

 

低腫瘍量の場合、無治療経過観察やリツキシマブ単剤療法が選択肢になります。

 

節外性NK/T細胞リンパ腫では、アントラサイクリン系薬を含まない多剤化学療法がおこなわれます。

 

 

胃悪性リンパ腫:N/C比の比較的大きいリンパ球様細胞の増殖(低分化型腺癌との鑑別)

 

予後不良因子として国際予後指標(IPI):年齢>60歳、臨床病期≧Ⅲ、診断時のPS≧2、

 

LDH>正常上限、節外病変≧2個

 

DLBCLは、どの病期でも化学療法が基本

 

限局期(Ⅰ期および径10cm未満のⅡ期病変:R-CHOP療法3コース+放射線照射、またはR-CHOP療法6コース

 

進行期:R-CHOP療法6~8コース

 

初回治療:抗CD20抗体であるリツキシマブ+CHOP療法

 

難治・再発例ではベンダムスチン、65歳以下の場合は自家末梢血幹細胞移植(エビデンス無し)

 

 

CHOP

 

C:シクロフォスファミド、H:ヒドロキシ・ドキソルビシン、

 

O:オンコビン®(ビンクリスチン)、P:プレドニゾロン

 

リツキシマブを併用した化学療法では、B型肝炎ウイルスの再活性化による致死的な劇症肝炎が発症する可能性があるため、B型肝炎ウイルス検査(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBV-DNA)のモリタリングが必要、化学療法中にエンテカビル等の予防内服を併用することもあります。

 

 

ホジキンリンパ腫

 

比較的若年者に多く、組織像ではリード-シュテルンベルグ細胞が特徴的です。

 

胃MALTリンパ腫ではピロリ菌の関与が示唆されています。

 

2017年に自家末梢血幹細胞移植のための幹細胞動員促進薬プレリキサホル(モゾビル®)が承認されました。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「天突(てんとつ)」です。

 

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場所は左右の鎖骨を結んだ中央部の窪みにあります。

 

 

「咽頭炎」「喉頭炎」「気管支炎」「気管支喘息」「食道炎」等に効果があります。

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

胃食道逆流症(GERD)は、従来、逆流性食道炎と呼ばれてきました。

 

これは胃内容物の食道内への逆流により、不快な症状あるいは合併症を引き起こした状態を指します。

 

胸焼け、心窩部痛(みぞおちの痛み)などが主症状です。

 

また、嗄声(声枯れ)、咳、喘息などの呼吸器症状、のどの違和感や詰まった感じなど咽頭症状、胸痛など心疾患様症状を来すこともあります。

 

そのため系統的な鑑別診断が重要です。

 

 

高円寺南診療所で多数経験しているのが、GERDによる咳嗽です。我が国における咳嗽の頻度は、咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群(SBS),胃食道逆流症(GERD)の順です。

 

咳喘息やアトピー咳嗽はアレルギー科専門診療で直接相談を受けますが、GERDは、他の病因の消化器内科や呼吸器内科を併診しているのに良くならないケースとして相談を受けることが増えてきました。

 

とくに、ピロリ菌の除菌療法を行った後に症状が強くなってきたという方が少なくありません。

 

 

上部消化管疾患では、高齢者の増加、H.pylori感染者の減少と除菌治療の普及(毎年約150万人が除菌治療を受けている)などにより、疾病分布が大きく変化しています。

 

すなわち、消化性潰瘍が減少し、胃食道逆流症(GERD)や機能性ディスペプシア(FD)が増加しています。

 

 

胃食道逆流症(GERD)は、機能性ディスぺプシア(FD)との症状のオーバーラップがあり、治療も共通することがあります。

 

GERDの薬物治療の基本はプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。薬物療法の他には、運動や食事療法など生活習慣の改善を指導することも重要です。

 

 

生活習慣記録自律訓練法前置式心理面談水氣道®を基本にすると、薬物療法の効果をさらに上げることができます。

 

FD症状を伴うときは消化管運動機能改善薬も用いられます。PPIで一度治癒しても中止すると再発率が高いため、維持療法も保険適応になっています。

 

 

再発再燃を繰り返すGERDで、8週間通常量のPPIを内服し、内視鏡で治癒を確認した後も、維持療法としてPPI(半量など)を継続します。

 

効果不十分時には増量が可能であり、必要に応じて継続投与ができます。

 

ただし、維持療法中止時期の判断は消化性潰瘍と同様に難しく、しかも基準となる十分なエビデンスもありません。

 

そのために、高円寺南診療所では、再発防止の手立てとして、水氣道®参加をお勧めしています。

 

 

また、内視鏡的に食道病変を認めないGERDを非びらん性胃食道逆流症(NERD)と呼んでいます。

 

治療には4週間の制限つきですが、PPIの投与が保険適応になっています。

 

 

2015年に日本老年医学会より「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」が発表され、H₂受容体拮抗薬は認知機能低下、せん妄を引き起こすリスクがあるため、可能な限り使用を控えることとされました。

 

マタ、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期維持療法における注意点が示されました。

 

 

参照:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン改訂第2版(日本消化器病学会、2014

 

消化性潰瘍診療ガイドライン2015改訂第2版(日本消化器病学会)

 

EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン第2版(胃潰瘍ガイドラインの適応と評価に関する研究班、2007

 

H.pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版(日本ヘリコバクター学会)

今年は、立春を過ぎても、気候の変動が大きく、体調を崩す方が増えています。

 

 

昨日も、外国人の男性で右胸部の激痛を訴える方が来院されました。

 

血流分布の多い右下肺野に好発し、近年、増加傾にある病気として、肺血栓塞栓症があり、警戒しておかなければなりません。

 

 

すでに他の病院で心電図、胸部CT、血液検査その他の検査を受けましたが、異常なしとのことで、気休めに処方されたシップを右胸に貼っていました。

 

その病院も、心臓病や肺の病気を疑い、あるいは血栓などの血液の病気を疑ったのだと思われます。

 

 

高円寺南診療所を初めて受診される外国の方はインターネットによって、英語診療が可能かどうかを確かめてから来院される方が多いです。

 

この方も確認の後、予約をして来院されました。

 

この方は右の肋間神経痛であることが判明したため、肋間神経ブロックを施して、即座に痛みが緩和し一件落着しましたが、事前の限られた情報から、とりあえず予期しなければいけない疾患リストの中に、この病気がありました。

 

 

肺血栓塞栓症は、肺塞栓症や肺梗塞に関連する病態です。

 

この病気の症状は、無症状からショックに至るまで様々です。安静解除時や排便・排尿時の突発的な呼吸困難や胸痛、頻呼吸、動悸が本症を疑う出発点になります。

 

 

静脈血中に入った栓塞子(血栓、脂肪、腫瘍細胞など)が肺静脈を閉塞した状態が肺塞栓です。

 

この肺静脈閉塞によってその末梢領域が出血性壊死を来した状態を肺梗塞といいます。

 

 

この病気の治療は、呼吸循環動態を安定化させて、酸素を投与しながら、抗凝固療法(ヘパリンなど)を開始することからはじまります。

 

抗凝固薬は特発性肺動脈性高血圧症(IPAH)患者の生存率を改善しますが、他のタイプのPAHについては明確なエビデンスはありません。

 

可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に唯一の適応となる薬剤です。

 

 

参照:慢性肺動脈血栓塞栓症に対するballoon pulmonary angiographyの適応と実施法に関するステートメント(2014年)(日本循環器病学会ほか)