HIV/AIDSは、かつては「死の病」のイメージが強かったですが、最近では抗ウイルス療法の進歩により健常人に近い生命予後が期待できる「慢性病」になりました。
しかし、現時点では治療は生涯にわたり継続が必要です。
服薬率が95%以上と未満では、抗HIV療法の成功率が顕著に異なります(78.3%対45.4%)。
現在、臨床的に関心が寄せられているのは、代謝性疾患、慢性腎臓病、心血管疾患、骨粗鬆症、HIV関連神経認知障害(HAND)や非AIDS関連悪性腫瘍(リンパ腫、カポジ肉腫、浸潤性子宮頸癌以外の悪性腫瘍)です。
その理由は、HIV増殖が増加させるリスクのあるこれら非AIDS関連疾患が患者予後に重要であることが明らかになったからです。
そこで、抗HIV療法は、年々開始が早期化していて、すべてのHIV患者に推奨されています。
また、性的パートナーへの感染リスクを有する患者においても、効果的な抗HIV療法は性的パートナーへの感染を予防することが示されているため、抗HIV療法が勧められるべきであるとされます。
さらに、感染後6か月以内の「初期」HIV感染者に対する抗HIV療法開始も推奨されるようになりました。
このようにHIV感染症の治療ガイドラインは毎年改定されています。
治療の決定には、最新の情報を参考にする必要があります。
抗ウイルス活性のある薬剤を組み合わせて投与する治療(ART療法)が行われています。
ARTとは、抗レトロウイルス療法であって、抗ウイルス薬を3~4剤併用するのが一般的です。
最近、インテグラ―ゼの出現により、NRTI2剤+インテグラ―ゼ阻害薬(INSTI)1剤の併用も初期治療として可能になりました。
「抗HIV治療ガイドライン」では、CD4陽性細胞の数で治療の推奨の強さが異なります。
具体的には、①<350、②350~500、③>500/μLの3段階で区分しています。
抗HIV薬使用に際しては、各薬剤による副作用、併用薬との相互作用が多いことから、必ず最新の添付文書などで確認してから使用する必要があります。
抗HIV薬には、大別して以下の3種があります。
1)ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)
2)非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI)
3)HIVプロテアーゼ阻害薬
4)HIVインテグラ―ゼ阻害薬
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