最新の臨床医学:血液学 <悪性リンパ腫>

悪性リンパ腫とは、リンパ節組織由来の原発性悪性腫瘍です。

 

原発部位によりリンパ節性、節外性に分類されます。

 

これに対して、循環している血液中のリンパ球の腫瘍性増殖をリンパ性白血病といってこれとは区別します。

 

リンパ節やその他のリンパ組織を構成するリンパ系細胞(B細胞、T細胞、NK細胞)が、遺伝子変異により腫瘍性増殖を来す疾患群をリンパ系腫瘍といいます。

 

 

リンパ系腫瘍は白血病型と悪性リンパ腫型、そのいずれをも取り得る型があります。

 

これは腫瘍細胞の由来から、ホジキンリンパ腫、B細胞腫瘍、T・NK細胞腫瘍の3種類に大別されます。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の中で最多、

 

非ホジキンリンパ腫のおよそ3割進行経過は比較的早い(月単位)

 

一部には濾胞性リンパ腫やMALTリンパ腫から移行(形質転換)

 

50%は節性でリンパ節腫脹がみられるが、約半数は節外性で消化管が多いです。

 

組織像ではリンパ節の基本構造は失われています。

 

 

悪性リンパ腫の治療は病型によって異なります。

 

 

CD20陽性B細胞リンパ腫では、リツキシマブを単剤もしくは化学療法併用で用います。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCLでは、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロフォスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)が標準で治癒が目指せます。

 

 

濾胞性リンパ腫(FLでは、

高腫瘍量の場合、リツキシマブ+ベンダムスチンもしくはR-CHOP療法などが行われます。

 

奏効例ではリツキシマブ単剤療法が選択肢となります。

 

 

低腫瘍量の場合、無治療経過観察やリツキシマブ単剤療法が選択肢になります。

 

節外性NK/T細胞リンパ腫では、アントラサイクリン系薬を含まない多剤化学療法がおこなわれます。

 

 

胃悪性リンパ腫:N/C比の比較的大きいリンパ球様細胞の増殖(低分化型腺癌との鑑別)

 

予後不良因子として国際予後指標(IPI):年齢>60歳、臨床病期≧Ⅲ、診断時のPS≧2、

 

LDH>正常上限、節外病変≧2個

 

DLBCLは、どの病期でも化学療法が基本

 

限局期(Ⅰ期および径10cm未満のⅡ期病変:R-CHOP療法3コース+放射線照射、またはR-CHOP療法6コース

 

進行期:R-CHOP療法6~8コース

 

初回治療:抗CD20抗体であるリツキシマブ+CHOP療法

 

難治・再発例ではベンダムスチン、65歳以下の場合は自家末梢血幹細胞移植(エビデンス無し)

 

 

CHOP

 

C:シクロフォスファミド、H:ヒドロキシ・ドキソルビシン、

 

O:オンコビン®(ビンクリスチン)、P:プレドニゾロン

 

リツキシマブを併用した化学療法では、B型肝炎ウイルスの再活性化による致死的な劇症肝炎が発症する可能性があるため、B型肝炎ウイルス検査(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBV-DNA)のモリタリングが必要、化学療法中にエンテカビル等の予防内服を併用することもあります。

 

 

ホジキンリンパ腫

 

比較的若年者に多く、組織像ではリード-シュテルンベルグ細胞が特徴的です。

 

胃MALTリンパ腫ではピロリ菌の関与が示唆されています。

 

2017年に自家末梢血幹細胞移植のための幹細胞動員促進薬プレリキサホル(モゾビル®)が承認されました。