最新の臨床医学:消化器・内分泌・代謝病学 <食道癌>

胸にわずかな痛みがある、食事をするとわずかにしみる、物が通る感じ、

 

こうした症状は食道の表在癌かもしれません。

 

もっともこれは控えめな表現であり、基本的には無症状のことが多く、症状が明らかな場合はほとんどが進行癌です。

「症状が無ければ健康」ではないのです!

 

 

加齢は已むをえませんが、喫煙、アルコール、熱い食事の好み、肥満などが重なっていれば、なおさらそのリスクは高くなるので注意しましょう。

 

 

PET検査(FDPを使用し、癌組織の糖代謝亢進を利用して画像化する核医学検査)は、食道癌の主腫瘍の悪性度、リンパ節転移、遠隔転移、治療効果判定、再発などへの質的診断を可能とし、保険適応になっている検査です。

 

2008年に食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術が保険適応になりました。

 

2012年に食道癌取扱い規約が改訂されました。

 

2015年に食道癌診断・治療ガイドラインが改訂されました。

 

①粘膜下層剥離術の絶対適応(深達度EP、LPM)、相対適応(MM、SM1:200µmまで)と提示(周在性は問わない)

 

②臨床病期Ⅱ・Ⅲ食道癌の標準治療として、術前化学療法(5FU+シスプラチン)+根治手術を推奨

 

 フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)5FU:チミジン合成酵素抑制によるDNA合成阻害作用により、消化器癌をはじめ各種悪性腫瘍に使用。

 

白金製剤シスプラチン:DNA架橋形成によるDNA複製阻害作用により広範囲の固定癌に有効。食道癌などの標準治療薬

 

救済手術は、根治的(化学)放射線療法(線量≧50Gy以上)後の癌遺残または再発に対する手術です。