診察室から 12月26日

<私はトナカイ人である>

 

24日のクリスマス・イブも25日ものクリスマスも過ぎて26日を迎えました。ドイツ人のハンス君(高円寺南診療所および聖楽院のドイツ語顧問)によると、彼の郷里では26日もクリスマスであるとのことです。

 

なるほど前夜祭(イブ)があれば、後夜祭があっても不思議ではありません。

 

 

水曜午前中の水氣道の年内最終稽古は20日で、この日は藤村学園のプールの日でしたので、吉祥寺に向かいました。

 

商店のショーウィンドウにはクリスマスに向けての商品が美しくディスプレイされ、工夫をこらした季節のデコレーションがありました。

 

ふと目をやると、そこには愛嬌のあるトナカイさんのデザインがこちらを向いていました。

 

 

そこで私は、さっそく独自の脳トレ(反復つぶやき法)を試みたのでした。

 

 

<トナカイ、トナカイ・・・となかい、となかい・・・となかい人、

となかい人・・・都な会人、都な会人・・・都な海神、都な海神・・・都な怪人、

都な怪人・・・都ないなか人、都ないなか人・・・都な田舎人、都な田舎人・・・都会田舎人、

都会田舎人・・・とにかく田舎人、とにかく田舎人・・・これって誰?>

 

そこで、藤村に先着していたMr. NoGucciに尋ねてみました。

<ところで、君は、都会人、田舎人?> Mr. NoGucciいわく<う~ん、そうですねェ~。田舎人ですねェ。>

 

そこで、<僕はトナカイ人だよ!>というと、Mr. NoGucci<アハハ、なるほど>たわいのない会話でした。

 

 

私の出身地は茨城県です、気づいてみると出身地の茨城で過ごした年月以上を東京で過ごしていました。

 

それでは<私は東京人か>と自問すると、<いいや東京人ではないような気がする>という正直な答えが返ってくるのです。

 

それでは<お前は田舎人か>という神様の問いかけが聴こえてくるような気がするのです。

 

 

すると私の魂はこう答えます。<いいえ、私は田舎人を名乗れるほど田舎暮らしの経験がありません。

 

田舎で働いて報酬を得たことは一度もないのですから>と。

 

 

かくして私は都会人でもなく、さりとて田舎人でもない、アイデンティティを喪失した文化的難民であることをトナカイさんは気づかせてくれました。

 

しかし、都会人を都会者とは言わないように田舎者は田舎人とは、あまり言いません。

 

だから、私は都会者であり、かつ田舎人という新種、つまりトナカイ人であることを自覚して今後を生きていこうかと思うのです。

 

 

そういえば、高円寺南診療所の患者さんの大多数の方々も、その郷里は地方でありながら東京で職業について生活をしていらっしゃいます。

 

だから、そうした皆さんも私と同じトナカイ人の仲間です。

 

かつて、「故郷は遠くにありて思ふもの、そして悲しく歌うもの」という詩が有名でありました。

 

最近では、国内交通手段が顕著に発達して、故郷はだいぶ接近してきました。

 

そして、年末年始の帰郷を楽しみにして12月を過ごすことも素敵なことです。

 

それでこそ本物のトナカイ人です。

 

 

さて、生まれながらの都会人の皆様も、私とおなじトナカイ人の皆様、明後日が年内最終診療日です。

 

そして、年明けの診療は正月4日からです。

 

この<診察室から>シリーズの新年のスタートは第2火曜日の9日からです。

 

 

皆様、どうか、良い年をお迎えください。