日々の臨床③:12月12日 火曜日<循環器疾患診断の進歩―PET >

一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

< 循環器疾患診断の進歩―PET >

 

医学の進歩は日進月歩。その恩恵を受けて、診療所の外来診療で対応できる守備範囲が急速に広がってきたとともに、後方支援病院への協力を要請すべき領域も増えています。

 

循環器疾患では、とくに早期発見や病態把握が重要なケースが多く、患者さんの病態水準を見える化(可視化)するのみならず、数値化(定量化)できるようにしたいものです。

 

 

たとえば、PET(ポジトロン断層撮影法)とは、陽電子放射断層法ともよばれ、最近注目されている機能画像診断法です。

 

ポジトロンとは+(プラス)に荷電された電子(陽電子)を指します。

 

このポジトロンで標識された物質の体内動態をPET装置を利用して映像化する方法がPET検査です。

 

 

この装置は、心筋局所の血液の流れを画像化することで、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)の診断や血流量の定量的測定が行われます。

 

その他に、心筋のエネルギー代謝の解析、さらには神経受容体機能評価に至るまで種々の解析が進んでいます。

 

 

PETを用いた心筋血流量の評価は、単に虚血性心疾患の診断や重症度評価に限らず、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満、喫煙などの冠動脈硬化の重症度や進行過程、さらには治療効果判定などの経過観察をするうえでも有用です。

 

 

心臓のエネルギー源はブドウ糖です。そこで心筋のブドウ糖利用を映像化できる18F⁻フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いることによってPET検査で心筋の活動能力を判定することができます。

 

血流のみならず糖代謝の評価により、血行再建のための手術後の患者さんの心臓の機能回復を高い精度で予測することもできます。

 

 

心筋梗塞後の症例に、こうしたFDG-PETなどの検査によって虚血心筋の存在が正確に評価できるようになることが望まれます。

 

そうなれば、将来起こりうる虚血障害に伴う心血管イベント(事故)を予防し、予後の見込みを明るくするために、タイミングをはずさずに積極的に治療を施すことができるようになると思います。

 

 

もっとも、どんなに医学が進歩しても、一人一人の日常生活においての心掛け、すなわち、養生や鍛錬が前提にあることは、忘れてはなりません。

 

 

一人でも多くの皆様に、水氣道への参加を呼び掛けているのは、高度医療の普及は国家の医療費の圧迫に繋がり、その結果、本当に必要な患者さんのための医療提供が滞ってしますからです。

 

水氣道は、本人を助けるばかりでなく、家族や社会、そして国家をも助けることができるという自信があります。

 

 

水氣道の推奨と高度医療に対する認識を深めることは、互いに矛盾することではなく、助け合うものであることをご理解いただければ幸いです。