日々の臨床⑤:12月7日 木曜日「総合リウマチ科」

総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

<皮膚エリテマトーデスおよび全身性エリテマトーデスに対する

ヒドロキシクロロキン使用のための簡易ガイドラインの紹介>

 

 

高円寺南診療所は内科を軸としているのに、永らく皮膚診療をしてきました。

 

それは、内科の中でもアレルギー・膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)を専門にしていると、皮膚の診察が必須になってくるためです。

 

つまり、皮膚を内科の立場から診ているということです。

 

ですから、「こちら(高円寺南診療所)では、皮膚科もやっているのですか?」という御質問を受ける場合には、

 

<皮膚科もやっているのではなく、皮膚症状を内科の立場から診させていただいています。>とお答えするようにしています。

 

信頼関係さえあれば、そこから効率的な診療をスタートさせることができます。

 

 

今回のタイトルである、全身性エリテマトーデスという病気は、関節リウマチと並んで、代表的な膠原病の一つです。リウマチ内科医が専門とする病気です。

 

この病気は、多臓器を障害する慢性の全身性炎症性疾患で、妊娠可能な若い女性に多く発症します。

 

皮膚所見としては顔面の蝶形紅斑が有名です。痙攣や精神症状を伴うことがあります。

 

意識障害、気分変調、幻覚妄想など多彩な精神症状を伴うものは中枢神経性ループスと呼ばれる脳器質性症候群がもたらされることがあるため、心身医学(心療内科を含む)によるアプローチも有用です。

   

 

さて、全身性エリテマトーデスにはヒドロキシクロロキン(プラケニル®)が有用です。

 

海外では数十年前より使用されていましたが、本邦では2015年に使用ガイドラインが出されました。

 

女性に多い病気のため妊娠の問題が議論されていましたが、催奇形性や胎児毒性は認められておらず、妊娠期の疾患活動管理のため治療継続が重要であることが示されています。

 

ただし、副作用として網膜症が指摘されているため、投与開始前に眼科的なスクリーニング検査(視力・視野・眼底・眼圧・色覚・細隙灯顕微鏡など)が必須となります。

   

 

このように、リウマチ内科の専門医は、内科の枠組みを超えて、皮膚診療を行うと同時に、眼科や精神科など他の専門医との連携を組む上で、患者さんの全身状態を把握しておかなければならない立場であるといえます。

 

その場合、もしリウマチ内科の多くが心身医学に精通していたならば、より多くの患者さんに適切な対応をすることが容易になると思います。