日々の臨床 ③:11月28日 火曜日<循環器外来検査-どこまでの設備が必要か?>

一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

<循環器外来検査-どこまでの設備が必要か?>

 

 

循環器外来として最低限、血圧計、エックス線撮影心電図心エコー(超音波検査)ホルター心電図は必要であるといわれています。

 

高円寺南診療所は、循環器外来と銘打っての診療は行っていませんが、以上の5つは配備しています。

 

しかし患者層の変化のためか高円寺南診療所ではホルター心電図は全く使用していません。

 

 

血圧計として、より有用なのはABPM検査(24時間自由行動下血圧測定)です。血圧管理に関しては、診察室の血圧だけでなく、家庭血圧が重要と考えられて久しいですが、特に夜間高血圧、早朝高血圧、夜間血圧非降下例(non-dipper)の検出のためにはABPM検査は有用です。

 

ただし、残念ながら、保険適応でないので導入を見送っている次第です。

 

そこで、患者さんには血圧手帳をお渡しし、自宅血圧の測定を励行していただくように指導しています。

 

血圧手帳を毎回提出入してくださる患者さんの血圧は、中長期的にみて大多数例で安定しているので、この方法は行動療法的アプローチとして十分機能していると思います。

 

 

つぎに、PWV検査(pulse wave velocity:脈波伝搬速度)は動脈硬化度の診断に用いられています。特に健康診断や人間ドックの分野で広く行われています。

 

高円寺南診療所では、フィットネス検査(体組成・体力検査)の項目に加えるかどうか検討したいと考えています。

 

 

循環器外来とはいっても、最近では高血圧症や心臓病に慢性腎臓病や糖尿病を併発しているケースが少なくないため、試験紙による尿検査スクリーニングによって、尿糖や尿たんぱくをチェックしておくことは、理に適っていると思います。

 

 

診療所に導入することが難しいのが、CT,MRI,核医学検査です。

 

PETに至っては尚更です。現在、最も可能性が高いのはCTですが、遅延型副作用が起こり得るので、外来のみの診療所では導入を見合わせた方がよいと考えています。

 

これに対して放射線被ばくがなく、造影剤副作用の少ないMRIは、解像度も高くなっているので、患者さんを検査目的で紹介する場合は、MRI検査を依頼することが増えるものと見込んでいます。

 

 

循環器内科専門医の外来で、意外な盲点と思われるのが肺機能検査です。外来で息苦しさを訴える患者さんがときどき来院されますが、心不全によるものか、肺疾患によるものかの鑑別が必要になります。

 

循環器内科で心不全とされていた患者さんが気管支喘息や気管支拡張症などの肺疾患を合併しているケースが散見されるようになりました。私は、肺機能検査であるスパイロメータは循環器外来にも必須のアイテムだと確信しています。

 

 

また、循環器外来に必須な超音波検査は心エコーに限定されません。

 

なぜなら、循環器は心臓だけでなく頚動脈や大動脈の病気も対象とするからです。

 

頚動脈の動脈硬化、狭窄の検出のため、頚動脈エコーが、腹部大動脈の診断や内臓脂肪の評価のためには腹部エコーが広く行われています。

 

高円寺南診療所の外来でも早期発見や治療経過観察のために3種類の周波数のプローブ〔探査装置〕を使い分け、とても重宝しています。

 

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循環器外来のためには、これら3つの事なる周波数のプローブを配備した超音波診断装置は不可欠だと思います。

 

因みに、それぞれの周波数は、

 

心臓検査用プローブ3MHz、

 

頚動脈検査用プローブ7.5MHz、

 

腹部大動脈用プローブ3.75MHzです。