総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

< 痛みの心理学的検査 >

 

 

痛みは、身体の症状ですが、主観的な自覚症状であるため、本人にしか感受することができないため、客観的に把握することは必ずしも容易ではありません。

 

また、痛みを感じるのは脳であるため、気分、感情、情動それから思考などの影響を受けます。

 

そこで、役立つのは充実した問診票です。

 

 

高円寺南診療所では、特に治療が難しいとされている慢性疼痛の患者さんを多数例経験し、一定の成績を収めています。

 

その際に役立っているのは、充実した問診票です。

 

以下に示した1.が基本的な問診票ですが、これは心身両面にわたる全般的な気分・体調などを概観するのにとても有用です。

 

また体調痛みの原因によっては、他の問診票による査定を追加して、痛みの性質を特定し、より有効な治療へと繋げています。

 

 

1.CMI健康調査票

 

 

2.MMPI(ミネソタ多面人格テスト)

 

 

3.マギル痛み質問票(McGill pain questionnaire;MPQ)

 

皮膚や筋に広がる異常感覚、冷感、刺痛、圧痛、灼熱痛、鈍痛などについて、以下の4項目につき、その強度を問うものです。

 

①痛みの部位、②痛みの言語表現、③痛みの変化、④現在の痛み

 

(Web site:mpq mcgill pain questionnaire)

 

 

 

1.整形外科患者の精神医学的問題を評価するための簡易問診票

 

(brief scale for psychiatric problems in orthopaedic patients;BS-POP)

 

 

2.線維筋痛症質問票(fibromyalgia impact questionnaire;FIQ)日本語版J-FIQ

 

線維筋痛症の病態を心身両面から評価する質問紙で、以下の10項目の質問で構成されています。

 

①運動機能障害、②気分の良さ、③仕事・家事を休む日数、④仕事・家事への支障、⑤痛み、⑥疲労、⑦起床時の気分、⑧こわばり、⑨不安、⑩抑うつ

イキイキ体操の動画と解説です。

 

 

 

体操指導:金澤克彦(水氣道少初段上・特別修錬生)

 

撮影編集:清水俊之(水氣道7級・体験生)ビデオダック代表

 

 

水氣道の<イキイキ体操>とは水氣道の稽古の準備体操です。

この体操は、必ずしも水場ではない、家庭や職場、あるいは公園などの通常の生活空間で実施することも可能な医学体操です。

ただし、限られた時間で系統的に実施できるようにデザインされていますので、はじめは必ず水氣道の指導者の下で実施するようにしてください。

 

 

水氣道準備体操(いきいき体操)要領

 

いきいき体操は、親水(準備)航法の後に行います。

上半身をリズミカルに動かし、緊張をほぐし、体を温めます。

 

 

①頭を前後に2回ずつ動かす

 

・ポイント:1回目は可動範囲を確かめるように浅く動かし、2回目は筋を伸ばすように深く動かす

 

・動作個所:頸部

 

・カウント:前後2回ずつ交互に8回×2

 

 

②頭を左右に2回ずつ動かす

 

・ポイント:1回目は可動範囲を確かめるように浅く動かし、2回目は筋を伸ばすように深く動かす

 

・動作個所:頸部

 

・カウント:左右2回ずつ交互に8回×2

 

 

③頭を4拍子で1回転ずつ左右に回す

 

・ポイント:目を開け四隅を見るようにゆっくりと動かす

 

・動作個所:頸部

 

・カウント:左4拍子・右4拍子×2

 

 

④肩を指で抓み、前後に4回ずつ回す

 

・ポイント:肘で大きく円を描くようにゆっくりと動かす

 

・動作個所:肩

 

・カウント:前回り4回・後ろ回り4回×2

 

 

⑤腕を肩の高さまで上げ、左右に広げてから肘を直角に曲げ、前横に閉じたり開いたりする

 

・ポイント:肘が下がらないように注意する

 

・動作個所:肩

 

・カウント:開閉交互に8回×2

 

 

⑥腕を肩の高さまで正面前に上げて肘を直角に曲げる。肘を中心に腕を左右に倒す

 

・ポイント:肘が動かないように注意する

 

・動作個所:肩、腕、肘

 

・カウント:左右交互に8回×2

 

 

⑦腕を肩の高さまで左右に広げて上げ肘を直角に曲げる。上半身を左右に2回ずつ曲げる

 

・ポイント:腕の形が変わらぬように注意し、腕が水面に着く位まで曲げる

 

・動作個所:腰

 

・カウント:左右2回ずつ交互に8回×2

 

 

➇肘を曲げないように腕を肩の高さで前に伸ばし、手首を腕ごと左右同時に振る

 

・ポイント:腕が下がらないように注意する

 

・動作個所:手首

 

・カウント:8回×2

 

 

⑨腕を肩の高さまで前に上げ肘を直角に曲げる。左右の腕を同時に肘から前に曲げ伸ばしする

 

・ポイント:肘が下がらないように、腕を曲げる時は曲げすぎないよう注意する

 

・動作個所:肘

 

・カウント:8回×2

 

 

⑩肘が曲がらない様に両腕を頭の上まで伸ばし左右同時に前へ振り下ろす

 

・ポイント:腕を上げる時は耳に触れるよう真上に伸ばし、振り下ろす時は手が痛くならないよう縦にする

 

・動作個所:肩

 

・カウント:8回×2

 

 

⑪肘が曲がらない様に両腕を頭の上まで伸ばし左右交互に前へ振り下ろす<10を左右交互に>

 

・ポイント:腕を上げる時は耳に触れるよう真上に伸ばし、振り下ろす時は手が痛くならないよう縦にする

 

・動作個所:肩

 

・カウント:左右交互に8回×2

 

 

⑫腕を肩の高さまで前に上げ肘を直角に曲げる。左右の腕を交互に肘から前に曲げ伸ばしする<9を左右交互に>

 

・ポイント:肘が下がらないように、腕を曲げる時は曲げすぎないよう注意する

 

・動作個所:肘

 

・カウント:左右交互に8回×2

 

 

⑬肘を曲げないように腕を肩の高さで前に伸ばし、手首を交互に振る<8を左右交互に>

 

・ポイント:腕が下がらないように注意する

 

・動作個所:手首

 

・カウント:8回×2

 

 

⑭腕を頭の上まで伸ばし手首を交差させる。その後、体の前で水を切るように振り降ろし、腰の辺りで止める。2回目以降は手首の位置を前後交互に入れ替えて×を作る。

 

・ポイント:腕をしっかりと上げる。

 

・動作個所:肩、腕

 

・カウント:8回×2

 

 

⑮腕を反対側の肩の斜めに上に上げ、体の前にある水を切るように斜めに振り降ろし、腕が後ろまで回るよう上半身を回転させる

 

・ポイント:腕を上げた時に肘が下がらないように注意する

 

・動作個所:肩、腰

 

・カウント:左右交互に8回×2

 

 

⑯肘を左右に広げ肩の高さまで上げ、手のひらを胸の方に向ける。その形から腕をワイパーのように左右交互に振る

 

・ポイント:肘が下がらないように注意する

 

・動作個所:肩、肘

 

・カウント:左右交互に8回×2

 

 

⑰腕を肩の高さまで上げ前にならえの形をとり手首を内側に曲げる。その形から腕ごと手首を交互に縦方向に振る

 

・ポイント:腕が下がらないように注意する、手首の力を抜く

 

・動作個所:肩、肘

 

・カウント:8回×2

 

 

総合アレルギ-科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

< 成人のアトピー性皮膚炎 >

 

総合アレルギー診療を実践している高円寺南診療所では、他の多くの報告と同様に、花粉症患者の低年齢化や高齢者患者の増加が目立っています。

 

その理由として、花粉アレルゲンの増加や大気汚染の関与、あるいは食物アレルゲンと同様に、皮膚のバリア機能障害による経皮感作の可能性も考えられています。

 

 

またアトピー性皮膚炎は、本来は成長につれて寛解する病気でしたが、思春期、さらに社会人、最近では高齢者アトピーともいうべき患者さんが増えているといわれています。

 

高円寺南診療所では高齢者アトピーはほとんど経験しませんが、完治しないまま中年期に至っているケースは少なくありません。

 

その背景には、悪化因子の多様化、生活習慣の変化、治療に対する反応性の個人差など、明らかにされていない病態が多数残されています。

 

 

アトピー性皮膚炎は、湿疹・皮膚炎群に含まれる病気です。

 

アトピー性皮膚炎の病変部では白血球浸潤がみられますが、これは表皮角化細胞産生するRC/CCL17などによりもたらされることが明らかにされました。

 

そして、血清TARC/CCL17はアトピー性皮膚炎の短期の病勢の指標として、保険適用となったため、高円寺南診療所でもこれを用いて、治療効果の判定に役立てています。

 

治療により短期間に正常化するケースでは、このマーカーも低下しています。

 

 

近年、天然保湿因子である遊離アミノ酸の供給源となるフィラグリンの遺伝子変異が、アトピー性皮膚炎の病態と密接な関連のあることが世界的な話題になっています。

 

 

このフィラグリンの遺伝子変異がある場合、ネコの同居は明らかにアトピー性皮膚炎を悪化させることが明らかにされました。

 

しかし、遺伝子変異が最大の原因であるとは考えられません。

 

もしそれが事実だとすれば、太古の昔から、現在ほどの頻度でアトピー性皮膚炎がみられたはずだからです。

 

 

それよりも注目すべきだと思われるのは、中枢レベルでの痒みについてです。

 

β-エンドルフィンなどの内因性オピオイドとその受容体がかゆみに関与していることも注目されています。

 

、痒、悩という辛い症状で苦しむ患者さんを救いたいというのが、高円寺南診療所の主要なモットーの一つですが、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、「3一体型」の重症例も少なくありませんでした。

 

最近では、その頻度がめっきり減り、滅多にお目に掛らなくなりました。

 

 

現在でもまだ解決されていない難治性の成人型アトピー性皮膚炎の皮膚症状としては、顔面の難治性紅斑、頸部の網状の色素沈着、顔面の急性の表在性細菌性感染症を伴う膿痂疹様病変や全身皮膚の浮腫性の発赤・腫脹が挙げられます。

 

 

おとなのアトピー性皮膚炎における重症の皮膚症状は、

 

1)難治性の湿疹・痒疹病変が全身に見られ、通常の外来治療ではコントロールできないタイプ

 

2)ステロイド剤の不適切な使用に基づくと考えられる紅皮症化した汎発性の皮膚症状を呈するタイプ

 

3)上記の1)2)が混在しているタイプ

 

このような難治化、慢性化に関わる因子としては、ステロイド剤以外にも、様々な心理社会的ストレッサー、感染症、紫外線など様々な因子が考えられており、これらの総和的な作用の結果もたららされるものと考えられてきました。

 

 

しかし、原因、悪化因子は、年齢、個人の生活環境で大きく異なります。

 

アトピー性皮膚炎の発症予防や寛解維持には個々の患者さんに悪化因子を認識していただき、それをもとに生活環境の整備、ライフスタイルの改善などを積極的に推進していくことが大切です。

 

特に、汗対策やペットの飼育、ストレス回避やストレス耐性の獲得などを含めた生活習慣やセルフコントロール、環境整備の指導を総合的に強化するのみで、驚くほどの改善がみられることがあります。

 

特に、水氣道®は温水プールでの稽古のため、塩素消毒のためにアトピー性皮膚炎の悪化を懸念していた時期もありましたが、その恐れは払しょくされました。

 

アトピー性皮膚炎の患者さんは、継続的な水氣道参加により、見違えるほど健康的な皮膚を取り戻しつつあります。

 

 

そのコツは、適切なスキンケアです。異常な皮膚機能の補正には皮膚の清潔と保湿が最重要課題です。

 

水氣道のあとはシャワーで十分に洗い流し、帰宅直後に入浴し、保湿剤の外用によるケアをしっかりと行うことで、水氣道の効果を最大限に引き出すことができます。

一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

<循環器外来検査-どこまでの設備が必要か?>

 

 

循環器外来として最低限、血圧計、エックス線撮影心電図心エコー(超音波検査)ホルター心電図は必要であるといわれています。

 

高円寺南診療所は、循環器外来と銘打っての診療は行っていませんが、以上の5つは配備しています。

 

しかし患者層の変化のためか高円寺南診療所ではホルター心電図は全く使用していません。

 

 

血圧計として、より有用なのはABPM検査(24時間自由行動下血圧測定)です。血圧管理に関しては、診察室の血圧だけでなく、家庭血圧が重要と考えられて久しいですが、特に夜間高血圧、早朝高血圧、夜間血圧非降下例(non-dipper)の検出のためにはABPM検査は有用です。

 

ただし、残念ながら、保険適応でないので導入を見送っている次第です。

 

そこで、患者さんには血圧手帳をお渡しし、自宅血圧の測定を励行していただくように指導しています。

 

血圧手帳を毎回提出入してくださる患者さんの血圧は、中長期的にみて大多数例で安定しているので、この方法は行動療法的アプローチとして十分機能していると思います。

 

 

つぎに、PWV検査(pulse wave velocity:脈波伝搬速度)は動脈硬化度の診断に用いられています。特に健康診断や人間ドックの分野で広く行われています。

 

高円寺南診療所では、フィットネス検査(体組成・体力検査)の項目に加えるかどうか検討したいと考えています。

 

 

循環器外来とはいっても、最近では高血圧症や心臓病に慢性腎臓病や糖尿病を併発しているケースが少なくないため、試験紙による尿検査スクリーニングによって、尿糖や尿たんぱくをチェックしておくことは、理に適っていると思います。

 

 

診療所に導入することが難しいのが、CT,MRI,核医学検査です。

 

PETに至っては尚更です。現在、最も可能性が高いのはCTですが、遅延型副作用が起こり得るので、外来のみの診療所では導入を見合わせた方がよいと考えています。

 

これに対して放射線被ばくがなく、造影剤副作用の少ないMRIは、解像度も高くなっているので、患者さんを検査目的で紹介する場合は、MRI検査を依頼することが増えるものと見込んでいます。

 

 

循環器内科専門医の外来で、意外な盲点と思われるのが肺機能検査です。外来で息苦しさを訴える患者さんがときどき来院されますが、心不全によるものか、肺疾患によるものかの鑑別が必要になります。

 

循環器内科で心不全とされていた患者さんが気管支喘息や気管支拡張症などの肺疾患を合併しているケースが散見されるようになりました。私は、肺機能検査であるスパイロメータは循環器外来にも必須のアイテムだと確信しています。

 

 

また、循環器外来に必須な超音波検査は心エコーに限定されません。

 

なぜなら、循環器は心臓だけでなく頚動脈や大動脈の病気も対象とするからです。

 

頚動脈の動脈硬化、狭窄の検出のため、頚動脈エコーが、腹部大動脈の診断や内臓脂肪の評価のためには腹部エコーが広く行われています。

 

高円寺南診療所の外来でも早期発見や治療経過観察のために3種類の周波数のプローブ〔探査装置〕を使い分け、とても重宝しています。

 

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循環器外来のためには、これら3つの事なる周波数のプローブを配備した超音波診断装置は不可欠だと思います。

 

因みに、それぞれの周波数は、

 

心臓検査用プローブ3MHz、

 

頚動脈検査用プローブ7.5MHz、

 

腹部大動脈用プローブ3.75MHzです。

総合医療・プライマリケア

 

<予防と行動変容>

 

高円寺南診療所の受診者層は、他の医療機関の急性疾患より、慢性疾患の比重が大きくなっています。

 

慢性疾患の多くが患者さんの持つ生活習慣によるものであるため、好ましくない生活習慣に対して働きかけをする必要性が高まってきました。

 

 

不適切な生活習慣には、不健康な食事や運動不足、過度のアルコール摂取、たばこ等が含まれます。

 

これらの不適切な生活習慣は、「心血管疾患、がん、2型糖尿病、感性呼吸器疾患」といった慢性疾患の根本原因です。

 

生活習慣の改善により疾病の予防や症状の悪化を最小限に抑えられることがわかっています。

 

 

習慣化された行動パターンを変えることを「行動変容」と呼びます。習慣化された行動のほとんどが無意識で行われている癖のようなものですから、自分自身で問題の早期発見をすることは難しいことがあります。

 

ですから患者の行動変容に目を向け、アプローチしてみることは益々重要性が高まっていると思います。

 

 

①問題の早期発見

 

高円寺南診療所では、慢性疾患の場合は、必要に応じて、初診時から「生活リズムに関する健康調査票」を記入していただき、睡眠・覚醒・起床リズムや食習慣のリズム、運動習慣リズム、入浴習慣リズムから勤務時間帯に至るまでの基本チェックをしていただくことによって、最も根本的な問題の早期発見に努めています。

 

 

②適切な介入(行動変容)

 

患者さんの行動変容が起こる過程には段階があります。

 

ですから、何かの問題に関して、その患者さんがどの段階にあるかを把握することから、適切な行動変容の方法を選択することができます。

 

行動変容が起こる段階には、無関心期関心期準備期行動期維持期確立期があります。

 

行動変容のステージの、どの段階にあるかを見定めることからスタートすることが大切だと考えます。

 

その理由は、ステージごとに、患者へのアプローチ法を変えることで、効果的なサポートが可能となるからです。

 

 

介入がうまくいった場合は、確立期でもって行動変容は終結しますが、ひとたび確立期を迎えたかにみえても再発期を迎えてしまうことがあります。

 

その場合の患者さんは、行動変容に対して無関心期ではないものの、関心期の状態にあると評価して、同様のサイクルを再度試みるか、期待可能性が乏しい場合は、必要に応じて紹介します。

 

 

③必要に応じて紹介

 

なかなか行動変容がうまくいかない場合でも、これまでの高円寺南診療所は粘り強く対応を続けてきました。

 

しかし、必ずしもそれが患者さんのためになるとは限らないようです。

 

高円寺南診療所では禁煙に関しては多数の成功実績を誇っていますが、その場合でさえ、パーソナリティ障害を伴っていると治療は進捗しません。

 

最悪のケースは、医師を操作する患者さんです。

 

わかりやすく言うと、準備期、場合によっては行動期であることを装いながら、無関心期のままであるような場合です。

 

これは、誠意に満ちた医師を消耗させます。

 

またパーソナリティ障害を伴っている場合は、治療介入に対して被害者意識を高め、突然通院を中断し、外部のメディアを使用して誹謗中傷を加えるなどの行動化により被害を受けたことがあります。

 

またアルコールをはじめ薬物中毒といった、いわゆる依存症領域の場合は、どのような方法を用いても外来での行動変容が難しい場合があります。

 

その場合は、なるべく早期にアルコール中毒治療の専門医に紹介する必要があると考えています。

 

メタボとは?Nogucciでも解る基礎知識②

 

 

メタボリックシンドロームとは

 

「内蔵肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態です。単に腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームにはあてはまりません。」

 

 

今回は「内臓脂肪」についてです。

 

 

何故「内臓脂肪」が悪者なのでしょうか?

 

 

またまた、調べてみました。すると

 

「肥満のうちでもおなかに脂肪がたまる内臓脂肪型肥満(内臓脂肪蓄積)が動脈硬化を進行させる原因のひとつであることがわかってきました。内臓脂肪蓄積があれば、糖尿病や高脂血症・高血圧などがおこりやすくなり、しかもこれらが重複すると、その数が多くなるほど、動脈硬化を進行させる危険が高まるという考え方です。」

 

やっぱり、内臓脂肪が溜まりすぎると悪さをするらしいです。

 

 

さらに

「内臓脂肪が100cm2を超えると、100cm2未満の場合と比較して、合併する疾患数が50%以上高くなる」

 

蓄積過剰だと色々な病気と合併してしまう方が50%以上多いことや、

 

「内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞が肥大・増殖し、アディポサイトカインの分泌異常が起こります。これが動脈硬化を促進し、糖尿病・高血圧・脂質異常症を発症させ、悪化させる原因です。」

 

どうやら、アディポサイトカインという物質が多量に分泌され、それが悪さをするようです。

 

 

今回のまとめ。

 

内臓脂肪が一定以上溜まると、アディボサイトカインという物質が異常に分泌される。

 

このことが、動脈硬化や糖尿病や他が発症したり悪化の原因になる。

 

内臓脂肪の蓄積過剰だけでも良くないことが判明しました。

 

 

 

「」内は下記サイトより引用

 

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

eヘルスネット[情報提供]

今回より、聖楽院週例コンサート 》往く週《 & 《 来る週 》を、

 

聖楽院の 》往く週《 & 《 来る週 》に改めることにしました。

 

 

聖楽院の 》往く週《 

 

①11月22日:第34回聖楽院週例コンサート(60分プログラム)

 

担当ピアニスト:吉田奈津子(第4週先任ピアニスト)

 

<プログラム解説>

 

オープニング(今月のアヴェマリア)シューベルト

 

⇒ 演奏当日、この曲の1番をソプラノ2番をフルート、3番をテノール・ソプラノの二重唱で歌う、という新たな趣向を凝らしました。

 

オープニングで、出演者全員が演奏に参加するという試みは、これからも続けていきたいところです。

 

 

第Ⅰ部 小倉百人一首シリーズ

 

フルート/ コンコーネ50番から、 No.9、No.14

 

バリトン/ トスティ50番から、No39.参議等、No40.伊勢大輔

 

⇒ プログラム順を替えて、フルートの演奏を先行しましたが、効果的でした。

 

翌日の第1回聖楽院レッスン生内部発表会の指導者コンサートでも、同じ曲を演奏して好評を博しました。

 

 

第Ⅱ部 ピアノ演奏:J.S.バッハ/「半音階的幻想曲とフーガ」より 幻想曲 ニ短調  BWV 903

 

⇒プログラム全体の構成を知る先任ピアニストならではの選曲です。

 

⇒翌日の第1回聖楽院レッスン生内部発表会の指導者コンサートでは、一般聴衆のみならず、指導者間でも高い評価でした。

 

 

第Ⅲ部 カウンターテナーで歌うヘンデル

 

歌劇『リナルド』より、リナルドのレチタティーヴォとアリア<私を泣かせてください>

 

歌劇『セルセ』より、セルセのレチタティーヴォとアリア<かつて木陰は>

 

⇒ 私のカウンターテナーでの演奏は、単に高音発声が可能だから試みるのではありません。

 

カウンターテナーならではの音色による微妙な芸術的表現への探求であることが少しずつ受け入れられてきていることを光栄に感じています。

 

 

第Ⅳ部 フルート演奏: エラート / アパッショナータ(無伴奏)

フォーレ / シチリアーノ,サン=サーンス / 白鳥

 

 ⇒ 無伴奏であることによって、純粋なフルートの音色をお楽しみいただけます。

 

視覚的なイメージをももたらされるような、とても魅力的な演奏でした。

 

 

第Ⅴ部 ソプラノ若月櫻子 ミニ・リサイタル

 

J.シュトラウスⅡ作曲 喜歌劇「こうもり」第2幕から、アデーレのアリア

 

G.プッチーニ作曲 歌劇「ボエーム」第2幕から、ムゼッタのワルツ

 

⇒ アデーレのアリアはドイツ語オペレッタですが、日本語で演じてくれたのがとてもヴィヴィッドで、大いに盛り上がりました。 

 

 

 

②第1回聖楽院レッスン生内部発表会

 

発表会は、はじめての試み。熱心なレッスン生の要望に応える形で、どんどん具体的になりプランも完成。

 

しかし、どんな結果になるか、とても気になっておりました。

 

 

当日、朝からの雨脚が強く、欠席者が出ることを心配していました。

 

ところが、幸いにも、開演の午後1時にはすっかり雨が上がり、全員が時間前に到着、という素晴らしい幕開けとなりました。

 

進行も順調で、円滑で、まとまりのある充実したプログラム内容であってとのご感想をいただきました。

 

 

今年の4月発足の聖楽院のレッスン生は、すでに30人近くに達しています。

 

この人数の凄さは、20年近く続けてきた水氣道の実動会員約70名と比較しても明らかな勢いを感じます。

 

もっとも今回参加したレッスン生は10名(男性4名、女性6名)のうち9名が水氣道会員で占められている、ということは特筆すべきだと思います。

 

 

水氣道は、競技選手の様な心身ではなくて生きた楽器の様な心身を創ります。

 

水氣道をはじめていなかったら、私は音楽を始めていなかったことでしょう。

 

それは、私に限ったことではなく、水氣道会員である聖楽院レッスン生においても同様の成果が得られることが徐々に明らかになっていくことでしょう。

 

発足間もないために、現在のレッスン生は入門級、初級Ⅰおよび初級Ⅱの皆さんばかりです。

 

しかし、そう遠からぬうちに中級以上に進み、発表会ばかりでなく、アマチュアコンクールにもチャレンジするレッスン生も現れるのではないかと期待しているところです。

 

 

10名のレッスン生の一人一人に4名の音楽家(声楽家、管楽器奏者各2名)による詳細な短評を差し上げました。

 

聖楽院協力アーティストである4名の審査員は、皆、熱心で懇切丁寧なアドヴァイスに感銘を受けたというレッスン生の声が、すでに届いています。

 

半年後(日時未定)に第2回聖楽院レッスン生内部コンサートを開催する予定です。

  

次回は、声楽レッスン生に加えてピアノレッスン生も参加する予定です。

 

さらなる精進を、楽しく充実した環境の中で継続していきたいものです。

 

ご参加の皆様、ご来場の皆様、心より感謝申し上げます!

 

 

 

聖楽院の《 来る週 》

 

11月29日:第35回聖楽院週例コンサート(60分プログラム)

 

担当ピアニスト:黒木 洋平(第5週先任ピアニスト)

 

<プログラム解説>

 

とにかく、ロシアン・メソッドで弾く、黒木 洋平氏のピアノは圧巻です。

 

彼のピアノのためだけにご来場されても損はないと思います。

 

ピアノ演奏は<休憩>をはさんで、前半と後半に分けてプログラムをくみました。

 

 

私(飯嶋)は、ドイツリートのチクルスを2つ、

 

シューベルトの<美しき水車小屋の娘>、シューマンの<詩人の恋>

 

前者は全20曲、後者は全16曲ですが、それぞれ抜粋で歌います。

 

 

いずれ、黒木氏の伴奏により、全曲を通して歌うリサイタルを企画できるように励みたいと考えております。

 

ご支援の程、宜しく御願いいたします。

 

 

オープニング:今月の聖歌(アヴェ・マリア)シューベルト

 

第Ⅰ部 小倉百人一首で歌うシリーズTosti 50 SOLFFEGGI

 

No41.相模<恨み侘び 干さぬ袖だに あるものを>

 

No42.権中納言匡房<高砂の 尾上の桜 咲きにけり>

 

 

第Ⅱ部 ピアノ演奏Ⅰ

 

バッハ / アリア、シューマン / アラベスク,ショパン/ ワルツ作品64-1,2 

 

 

第Ⅲ部 シューベルト<美しき水車小屋の娘>から第1曲、5曲

 

<休憩>

 

第Ⅳ部 シューマン<詩人の恋>から第1曲、7曲、11曲、12曲

 

 

第Ⅴ部 ピアノ演奏Ⅱ

 

ラフマニノフ / 前奏曲より作品23-4、作品32-12

 

スクリャービン / 練習曲作品2−1、詩曲作品32-1

 

 

<今後の演奏会の予定>

 

12月3日(日)Le Salon de Clavier コンサート(午後の音楽会事務局主催)

 

フルーティストとして西巻有希子(聖楽院協力フルーティスト)が出演します。

 

13:30 開場 14:00 開演 JR 田端駅北口より徒歩7分

 

入場料 ¥2,000 (全席自由)

 

 

ご予約・お問い合わせ

 

yukiko.nishimaki.flute@gmail.com (西巻)

 

 

 

12月9日(土) 

2flute & piano TRIO CONCERT~コーヒーと愉しむ名曲アルバム~

 

聖楽院協力アーティスト、フルート八木華沙璃さんの自主公演です。

 

19:00 START 18:30 OPEN

 

名曲喫茶カデンツァ 文京区本郷7-2-2  本郷ビル地下1階

 

(本郷三丁目駅から徒歩3分) ¥2,500  1ドリンク付

 

コーヒーの他、各種ドリンクございます

 

出演:佐藤藍 (フルート)、原田翔 (ピアノ)、八木華沙璃 (フルート)

 

<プログラム>

 

ケーラー/花のワルツ、ドビュッシー/月の光    他

 

 

ご予約・お問い合わせ

 

Info@flukalu.com 03-5844-6807(カデンツァ)

 

 

 

12月24日(土)音楽之友社ホール(神楽坂)

 

17:50ベルタガラ・クリスマスコンサート

 

<及川音楽事務所主催>にテノール飯嶋正広が出演します。ピアノ伴奏:向阪由美子

 

私の本番の演奏時間は19:05-19:20の予定です。

 

クリスマス・イヴの夜に皆様の御健康と世界の平和を願って、

 

ラテン語、イタリア語、スペイン語、フランス語、ドイツ語 そして 母国語で歌います。

 

 

演奏曲目:

C.フランク作曲 / 天使の糧(Panis Angelicus)

 

T.ジョルダーニ作曲 / 愛しい女よ(Caro mio ben)

 

F.オブラドス作曲 / 最も細い髪の毛(Del cabello más sutil)

 

G.フォーレ作曲 / リディア(Lydia)

 

F.シューベルト作曲 / 音楽に奇す(An die Musik)

 

平井康三郎作曲 / 平城山

 

チケット¥3,000(全席自由)

 

 

2018年1月28日(日)タカギクラヴィア松濤サロンコンサート(及川音楽事務所主催)

 

に出演予定、演奏曲目、ピアノ伴奏者未定

 

 

2018年2月25日(日) タカギクラヴィア松濤サロンコンサート(及川音楽事務所主催)

 

に出演予定、演奏曲目、ピアノ伴奏者未定

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

<音響医学事始め>

 

 

<静寂は、音楽の基礎である。>作曲家の芥川也寸志先生は、その著書「音楽の基礎」(岩波新書)<音楽作品の価値は、静寂の手の中にゆだねられることになる>とも述べています。

 

 

その理由は、たとえば音楽鑑賞にとって決定的に重要な時間が、演奏が終わった瞬間、つまり最初の静寂が訪れたときだから、としています。

 

 

また交響曲を聴くとき、その演奏が完結したときに、はじめて聞き手はこの交響曲の全体像を描くことができる、とも述べています。

 

 

音は、終局的に静寂に克つことはできない(芥川)。

 

(なぜなら)すべての音は、発せられた瞬間から(中略)静寂へと向かう性質を持っている。

 

(中略)その響きはただちに減衰する音の集団である(からである)。

 

 

音楽は静寂の美に対立し、それへの対決から生まれるのであって、音楽の創造とは、静寂の美に対して、音を素材とする新たな美を目指すことの中にある(芥川)。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

皆様、いかがでしたでしょうか。

 

 

私は、杉並区内に居を移す前に、文京区本駒込に住んでいた時期があります。

 

最寄り駅は田端でした。文豪芥川龍之介の旧居はその途中にあり、現在は北区に属していますが、かつては滝野川区田端町435番地だったそうです。

 

この435という数字は1859年のパリ会議等によって国際的に決められた標準音の周波数A=435ヘルツと同じであったことを子息の也寸志氏は振り返っています。

 

 

その後、ピッチの基準は上昇し続け、現代の日本のオーケストラではA=444ヘルツ以上になっています。ピッチを高くすれば音に張りが出て、楽器では強い大きな音がだせるので、大会場には向きます。

 

しかし、狭い部屋で聴くのには適しません。私たちが毎週水曜日に開催している聖楽院コンサートは狭い空間なので、本来であれば昔のピッチの方が心地良く聴いていただけるはずです。

 

聖楽院では古典派やロマン派の音楽以前のバロック音楽も演奏するので、その際のピッチはやはり低めの方が合うと思います。

 

 

芥川氏のいう芸術的な静寂とは、全くの無音ではなく、かすかな音響が存在する音空間を指しています。

 

<このような静寂は人の心に安らぎをあたえ、美しさを感じさせる。音楽はまず、このような静寂を美しいと認めるところから出発するといえよう>

 

このような研ぎ澄まされた繊細な芸術的感性をもつ芥川氏がもし現在も存命であったなら、音楽的静寂に関して私は彼に質問したいことがあります。

 

 

それは、休止譜によってもたらされる静寂と、演奏が始まる直前の静寂についてです。

 

私は、音楽が始まる直前の一種独特の静寂は、演奏後の静寂と同様に音楽的かつ芸術的だと感じています。

 

音楽が始まっていないので音楽的というのは不合理のようですが、それでも芸術的な静寂であるとは言っても許されるような気がします。

    

 

また、ピアノの前奏から始まって、これから歌が始まろうとするときも、一種の精神的静寂を感じます。曲がはじまったときには、すでに歌も始まっているといっても良いでしょう。

 

曲が始まる前から、つまり、楽音がはじまる前の静寂は、物理的音響学的には、演奏者よりも聴衆によってもたらされる影響が大きいのではないでしょうか。

 

これから始まろうとする(実はすでにはじまっている)演奏に対して聴衆がどれだけ期待しているのか、演奏内容を予めプログラムなどで知っているのか、馴染みの楽曲なのかどうか、演奏者をどのように評価しているのか、そうしたことが演奏前の芸術的静寂を醸し出しているようにも思えます。

    

 

音は、高さ、長さ、強さ、音色、この四つの基本的な属性をもつとされます。

  

また、この四つの基本的な属性が決まれば一つの特定の音を規定することができるそうです。

 

しかし、音の強さは、音の大きさ、と区別する必要がありそうです。

 

なぜならば、音の強さにはデシベルという物理単位があり、音の大きさにはフォンというレベルがあるからです。

 

音の強さとは音波の振幅に相応し、振幅が大きいほど大きな音と認識されます。

 

この音の大きさについての感じ方は、必ずしも強度には相関しません。たとえば、音の強さが同一(同じデシベル)であっても、非常に短い音は、それより長い音にくらべて弱く感じられます。

    

 

音の高さは周波数で決まりますが、音の強さや音色によってかなりの差異があります。

 

物理的音高と心理的音高(印象的な音高)が異なるという現象は、音楽表現の上で極めて大きな意味を持っています。

 

たとえば、アルトの女性が歌うときに、カウンターテナーの男性が、それと全く同じ高さの音を歌うとき、女性の声は低く、男性の声は高く聞こえます。

 

とくに強いアルトの声による音は、弱いカウンターテナーの声による同じ高さの音より、はっきりと低く聞こえることでしょう。

 

なぜならば、強い音は実際の音より低く、弱い音は高く感じられるからです。

 

 

また、音の高さの判別力は音色による影響を受け、ピアノは判別しやすいのに対して、人声では遥かに難しくなります。

 

この事実を熟知している伴奏ピアニストは歌い手に寛大であり、根気強く支えてくれますが、無知なピアニストほど気短な傾向が観察されます。

 

 

聖楽院の公開レッスンでの協力ピアニストは、これらのことを熟知しているので、声楽レッスン生は安心して楽しく稽古が続けられ、心身の健康回復・維持・増強と芸術性の錬磨に役立っているようです。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「曲池(きょくち)」です。

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場所は肘を曲げてできる横紋の外端の圧痛のあるところです。

 

 

「肩関節周囲炎」「肘関節炎」「扁桃炎」「麦粒腫」「咽頭炎」「甲状腺肥大」「歯痛」「高血圧」等に効果があります。

 

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

東洋医学(漢方・中医・鍼灸)

 

<漢方の見立て方 ②>

 

漢方の見立て方を一言で言ってしまえば、それは白か黒かということです(図1)。

 

 

いま、黒を、白をとすると、この世は夜(黒・陰)の世界と昼(白・陽)の世界で成り立っています。

 

分類学的には2分法です。ただし、夜は永久に続くことはなく、やがて夜が明けて朝を迎えます。

 

こうして昼がはじまりますが、昼も永久に続くことはなく、やがて日が暮れて夕べを迎え、夜が訪れます。

 

「陰極まればすなわち陽、陽極まればすなわち陰」といいます。

 

 

白が次第に盛んになっていくと中心が黒になり、そこから黒が次第に盛んになっていくと、こんどは中心が白になって、再び白が次第に盛んになっていきます。

 

図1 陰陽(いんよう)

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図2 八卦(はっけ)

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陰と陽は、一方が盛んになれば、他方は衰えながら絶えず変化を続けます。

 

その変化の過程はアナログ的ですが、陰陽の全体(太極)は大局的には変わらず、これはエネルギー保存の法則の原型といえるかもしれません。

  

また、陰と陽の変化は周期的に繰り返されますから、リズムがあります。

 

生命の原理は、心臓の拍動のように反復的な繰り返しの動きである拍動です。

  

これに対して図2は、図1の陰陽の変化の全体像の各局面をデジタル化したものを加えています。陰は- -,陽はーで表されます。

 

八卦(はっけ)は、古代中国から伝わる易における8つの基本図像。

 

すなわち、

 

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の八つです。

 

 

8という数字は2×2×2という2進法が元になっています。

 

 

漢方の見立ての基本は、病位(表・裏)×病性(寒・熱)×病勢(虚・実)の組み合わせで8つに分類します。

 

これを八綱といいますが、この八綱をもとに病人の証を弁えることを八綱弁証といいます。

 

 

こうした、陰陽に基づく八綱弁証気・血・水五行(例えば、肝・心・脾・肺・腎)の組み合わせによって、多様な病態を分類評価することができます。

 

 

漢方薬の処方は、こうした見立てをもとに決定していきます。

 

 

身近な例を挙げてみます。わかりやすいのは風邪の初期の対応の例だと思います。

 

 

まず体力が衰えたときには風邪をひきやすいものですが、漢方薬の基本型に桂枝湯があります。

 

これは八綱分類での証の見立てが表・寒・であるときに処方します。

 

 

つまり、病位が表、病性が寒、病勢が虚という見立てに基づき桂枝湯の証とされた場合に処方します。

 

 

また、ふだんは比較的体力がある人で、自然発汗が無く、頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う風邪で八綱弁証で、表・寒・証であれば葛根湯の証という見立てができるので葛根湯を処方します。

 

 

西洋医学での診断は、いずれも感冒あるいは急性上気道炎であり、上記のいずれの体質の方に対しても同じ処方がなされがちです。

 

そのため冗談のようではありますが、西洋医学の効き目の方がむしろ当たるも八卦、当たらぬも八卦ということになり、ときには体質に合わず副作用をもたらします。

 

 

これに対して漢方では八卦や八綱に基づいて、予め体質や体調を処方判断に取り入れているため、見立てからして区別して、より効果的な処方をすることができ、その上、副作用も少ないという利点もあります。

 

 

表・寒までは共通していても、虚証(体力・抵抗力が弱い)であれば桂枝湯、

 

実証(体力・抵抗力が強い)であれば葛根湯ということになります。

 

虚実の判定はとても大切で、効果的な治療の手掛かりになります。

 

 

高円寺南診療所では、3か月に1回のペース(丁度、春・夏・秋・冬の四季に相当)でフィットネス・チェック(体組成・体力検査)をすることを推奨して、実践しています。

 

上記の虚・実の見立てを、現代医学・健康科学の視点からもより客観的に把握し、より的確な処方をするためにとても役立っています。

 

 

なお、一年の周期も、陰陽の変化そのものですし、月経のある女性の一月の周期も陰陽の変化であり、一週間刻みで春・夏・秋・冬が巡ってきます。

 

それから毎日の繰り返しも、朝(春)・昼(夏)・夕(秋)・夜(冬)の周期に対応しています。

 

 

高円寺南診療所の漢方処方の特徴は、季節ごとに処方を変更することがあること、朝・昼・夕ですべて同じ漢方薬を処方することは少なく、それぞれの時間帯で最も効果的な漢方薬を処方していることが多いということです。

 

同じ人でも朝・昼・夕・夜の証(体調・気分)は微妙に異なるものです。

 

従来の漢方処方は、そのあたりを余り考慮してこなかったのではないかと思います。

 

 

温故知新(古きをたずねて、新しきを知る)といいますが、高円寺南診療所方式は斬新なものというよりも、むしろ、古典の神髄に根差した根拠のある立場に立脚し、しかも現代西洋医学との組み合わせることによって、高水準の医療を提供しようとするものなのです。