水氣道へのご招待:10月26日(木)<水氣道の源流となる温泉医学について>

水氣道の実際は、微温水中の運動浴という見方ができます。

 

それというのも、水氣道創始の着想の流れが

 

自然療法⇒温泉保養地療法⇒水中有酸素運動にあったからです。

 

 

1)海外と日本の温泉専門医

 

ドイツ・フランス・イタリアなどをはじめとするヨーロッパ諸国では、各温泉地に温泉の専門医が常駐し、その指導のもとに温泉療養が行われているのが通常です。

 

私(高円寺南診療所、飯嶋正広)は、一昨年の3月から、ドイツ心身医学会に参加し、水氣道について発表を始めていますが、

 

上記の国々だけでなく、オーストリア・ハンガリーなどでも温泉医療は健在です。

 

しかし、日本では、そのような高水準の温泉療養地は大変少ないです。

 

 

主な理由としては、わが国には温泉医学に通じた医師の絶対数が少ないことが指摘されています。

 

日本では、医師になるために温泉医学の履修義務はなく、温泉医学の講座を設けている大学が皆無に等しいからだとされます。

 

近年は、温泉医学を研究してきた大学付属の研究施設や病院が次々と閉鎖されてきました。

 

私個人としては、この傾向は、日本の医療に大きな影響力をもつアメリカが温泉医療に関する関心が乏しいこと、

 

現在の保健医療制度の中で、温泉を利用した治療については、ある程度の制限があることも関係していると考えています。

 

ドイツ・フランスを中心に欧州では温泉医療は保険医療の一環として組み込まれています。

 

私は、医師になって、比較的早い段階で、現代医学の限界に気づき、自然療法併用の有効性・有益性に目覚めたのですが、

 

残念なことに、そのような素晴らしい治療手段が保険適応になっていないことを残念に思っています。

 

 

それでも世界に冠たる温泉大国である日本での温泉医学の研究に関しては

 

「日本温泉気候物理医学会」という学会があり、医師の資格を持った人々が正会員となって、温泉医学の研究を行い、その成果を発表しています。

 

 

日本温泉気候物理医学会では、ヨーロッパ諸国のような温泉医の制度を日本にも創設することを検討し、

 

その経過措置のひとつとして昭和51年から「温泉療法医」の学会認定を開始しました。

 

また、平成2年からは「認定温泉医」の学会認定も開始され、現在は

 

「日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医」(学会専門医制度)となっています。

 

 

「温泉療法医」と「温泉療法専門医」

 

温泉療法医

 

温泉療法医とは、日本温泉気候物理医学会が認定するものです。

 

その認定基準によると

 

「温泉専門医を認定するのではなく、一般医師に対し温泉治療学の啓蒙をはかるとともに、温泉療養者に対する一応の療養指導を行い得る医師の教育とその認定を目的とする」となっています。

 

 

資格のある温泉療法医は平成29年10月25日現在、全国で970名です。

 

 

日本温泉気候物理医学会<温泉療法専門医>

 

 

一方、日本温泉気候物理医学会<温泉療法専門医>の認定については「温泉医療の一定以上の臨床経験を持つ医師」を対象としており、

 

その目的は「温泉医療の水準の維持向上をはかり、もって国民保健に寄与すること」となっています。

 

 

資格のある温泉療法専門医は平成29年10月25日現在、全国で212名です。

 

私は、1998年4月1日に、この資格を取得し、5年に1度の更新を続けています。

温気

 

それは全国に200人余の温泉専門医の一人として、水氣道の活動を通して温泉医療・保養地医療・自然医療の有効性と有益性に基づき、

 

将来に向けての国民健康の維持増進と疾病の治癒やリハビリテーションについて積極的に関与していきたいと願うものであるからです。

 

 

温泉療養を行う場合は、我流の湯治ではなく、温泉治療の知識を持った医師の指導のもとに行うのが望ましいことは言うまでもありません。

 

日本で温泉療養を行う場合は、温泉療法医あるいは 温泉療法専門医の指導を受けることをお勧めします。

 

 

なお水氣道が他の鍛錬法や武道の多くと決定的に異なるのは、

 

単なる経験や伝統の継承、あるいは神がかり的な創始者によるものではないということです。

 

地域の最前線の医療に直接携わる専門の臨床医である医学博士が開発し、

 

自らライフワークとして実践続けることで、絶えず検証を続けているということの意義を改めてご理解いただければ幸いです。

 

 

温泉療法について、これを機会に、引き続きご紹介する予定ですが、

 

今後は、これと同じ高円寺南診療所のHP新着情報の

 

日曜日日々の臨床① 統合医学(東西医学、代替・補完医療)に引き継いでいきたいと思います。