日々の臨床④:10月25日 水曜日<アトピー性皮膚炎に関するクイズ>

総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

<アトピー性皮膚炎に関するクイズ>

 

 

 

アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤の使い方で正しいのはどれだと思いますか。正解は一つです。

 

 

①ステロイド外用剤はなるべく薄く延ばして使用する。

 

②症状が改善してもステロイド外用剤をすぐには中止しない。

 

③ステロイド外用剤は皮膚組織のみに作用するので副作用の心配はない。

 

④ステロイド外用剤を顔面に使用する場合は、保湿剤など他の軟膏と混合して用いる。

 

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①✖ 

薄く延ばして使用するのは誤りではないが、限度があります。

 

なぜならば皮膚症状の程度、部位、年齢に応じて適切な強度ランクのステロイド外用剤を十分量使用するからです。

 

外用量として、1FTU(径5mmのチューブから押し出されて、成人の人差指の指腹側末節部に乗る量)が提唱さています。

 

これは成人の両手掌の面積(体表面積の2%)がカバーできる軟膏の量の目安とされます。

 

ただし、皮膚が乾燥している部位ではステロイド外用剤の効果は不十分なために、保湿剤を用います。

 

 

②○ 

突然の中止によるリバウンドが生じることがあります。

 

症状が改善された場合、つまり十分な効果が認められた場合はステップダウンといって、強度ランクの低いステロイド外用剤に切り替えて継続します。

 

また、投与法は、原則として1日2回使用しますが、2週間ごとに症状の改善度を評価して漸減します。

 

症状が改善された維持期には1日1回の外用に切り替えていくことが推奨されています。

 

高円寺南診療所方式では、概ね最初から1日1回の外用を指導しています。

 

症状が軽くても今まで発疹が出たところ全体に、週に3~2~1日は薄く塗り延ばします。

 

 

③✖ 

ステロイド外用薬による副作用はあります。

 

それには局所的なものと全身的なものがあります。

 

局所的副作用は、皮膚線条や皮膚萎縮、局所免疫能の低下が誘因となる皮膚感染症の増加などです。

 

こうした副作用が発生しないように、外用薬の量を調整しながら改善を図ります。

 

全身的副作用は、ステロイド外用薬の力価、塗布部位、皮膚密封性、体表面積に占める塗布範囲の割合、使用期間などと関係しますが、多くは重症アトピー性皮膚炎の乳幼児で問題になります。

 

その場合、副腎機能抑制や免疫系のバランス異常などの注意をします。

 

 

④✖ 

ステロイド外用剤を顔面に使用する場合に、保湿剤など他の軟膏と混合して用いると、ステロイドを塗らなくて良い部分にまで、強制的に塗らざるを得ないことになるデメリットが生じます。

 

経皮吸収の盛んな顔面、頸部などに関しては、ステロイド外用薬は慎重に使用すべきです。

 

用いる場合にはできるだけ短期間の使用にとどめ、漸減、間欠投与、タクロリムス軟膏への変更などを考えます。

 

ステロイド外用剤と保湿剤を別々に処方された場合は、保湿剤を先に塗り、そのあとでステロイドを塗るという順番となります。