日々の臨床⑥:10月13日金曜日<頭痛>

心身医学科(心療内科、脳神経内科、神経科を含む)

 

<頭痛>

 

日々の診療で数多く接しているはずの頭痛。その頭痛を巡って、基本的なことから振り返ってみたいと思います。

 

頭痛とは頭頸部に限局する痛みの総称です。

 

まず、気が付くことは痛みが頭部のみならず頸部の場合を含むということです。

 

いわゆる首こりも頭痛に含まれるということになります。次に、限局性ということです。

 

線維筋痛症のように痛みが全身に及んでいる場合には、頭痛を伴うことが多いのですが、この場合は、頭痛からは除外されてしまうことになります。

 

 

これに対しては、臨床的にも納得できるポイントもあります。

 

実際に高円寺南診療所で頭痛を訴える患者さんの多くが後頚部に圧痛を認めます。

 

つまり、頭痛は自覚しているのですが、頸部の自発痛を自覚していないのです。

 

いわゆる圧痛点(トリガーポイント)を軽く圧迫する刺激が加えられてはじめて、首こりや肩こりを自覚するタイプです。

 

 

そして、首こりや肩こりが頭痛の原因や誘因になっている場合は、

 

坂本式鍼灸の三療一術法(高円寺南診療所オリジナルの鍼灸治療システム)などによって肩こりの治療が効果的である場合が多いです。

 

 

肩こりがなかなか改善しない方のなかには、下半身の筋力が低下している方が散見されます。

 

そのような場合には、水氣道®で水の浮力による支援を受けながら定期的に有酸素運動を続けると、

 

次第に下半身が強化され、姿勢が改善し、それに伴い効率の良い呼吸ができるようになります。

 

すると徐々に頭痛は見られなくなっていきます。

 

 

 

これに対して、疑問なのは、慢性的な全身痛を伴う線維筋痛症の頭部痛です。

 

これは器質的疾患によらないので一次性頭痛に分類されます。

 

これには、片頭痛(前兆を伴うものと伴わないものがあります)、緊張型頭痛群発頭痛三叉神経痛自律神経性頭痛などがあります。

 

これらの中には、頭頸部領域を超えて広範囲にこりや痛みを伴うものがあるので、

 

頭痛の定義として頭頸部に限局した痛み、という括りは必ずしも適切ではなく、実際的ではないのではないか、というのが高円寺南診療所の見解です。

 

 

 

痛みの部位としては、

 

片側性で常に同側なのが群発頭痛、

 

片側とは限らず両側性であるのが片頭痛、

 

一定部位なのが三叉神経痛の特徴です。

 

 

しかし、外来診療では、最初から「へん頭痛」と自己診断して来られる方が少なくありません。

 

病名の根拠をお尋ねすると、<いつも頭の片側だけが痛いから>、とか<変な頭痛だから>とかの珍答が少なくありません。

 

素直に<頭が痛い>とか、単純に<頭痛>と伝えてくださる方がむしろ少数なのが不思議です。

 

 

いずれにしても、頭痛の診療は、全身のチェックが必要です。

 

心理社会的なストレッサーによって頭痛がもたらされることを多くの皆様方はご存知のようです。

 

ときどき、<私の頭痛の種は・・・>など、

 

頭痛発作の引き金になるエピソードを語ってくださる患者さんがいらっしゃいますが、診断の上でとても役に立ちます。

 

 

医療上の大切なポイントは、生命予後に関わる二次性頭痛を見逃さないことです。

 

二次性頭痛とは、器質的疾患による頭痛です。見逃すことができない二次性頭痛としては、以下のものが重要です。

 

くも膜下出血細菌性髄膜炎脳出血側頭動脈炎緑内障脳腫瘍などです。