日々の臨床⑤ 10月12日木曜日<性格環境習慣病としての痛風>

総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

<性格環境習慣病としての痛風>

 

はじめに、性格環境習慣病について、これは高円寺南診療所の所長である飯嶋正広の造語です。

 

いわゆる現代病に取り組む上で、

 

成人病、習慣病(1970年代後半、日野原重明)、

 

習慣病(1990年、川久保清)、

 

生活習慣病などの概念に触発されて2000年から診察室限定で使い始めた用語です。

 

 

そもそも成人病とは1955年頃から厚生省(当時)が使いはじめた用語です。

 

これは40歳前後から 60歳代の働き盛りの人々に発生率の高い疾患をさし,

 

脳血管障害,悪性腫瘍,心疾患,糖尿病,痛風など,主として非感染性の慢性疾患がその代表的なものでした。

 

近年,これらの発病が低年齢化し,また食生活や運動,飲酒,喫煙などの生活習慣が発病に大きく関与することから,

 

97年(厚生省、当時)は従来の成人病を「生活習慣病」と改称しました。

 

 

痛風の背景には高尿酸血症があります。

 

近年、高尿酸血症は生活習慣病との関連で議論されることが増えてきました。

 

たとえば、メタボリックシンドロームでは、インスリン過剰分泌により尿酸の再吸収が増加する他、

 

尿酸の産生も更新し、高尿酸血症となり、やがては痛風発作を引き起こす可能性が高まります。

 

そればかりでなく、肥満による過剰なインスリン産生は尿酸とともにナトリウムの再吸収を促すために、高血圧をもたらすことがあきらかになってきました。

 

 

現在、高尿酸血症や痛風の診療に関しては、

 

『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン<第2版>(2010年改訂)』が日本痛風・核酸代謝学会から出されています。

 

このガイドラインの欠点の一つが、患者のパーソナリティや日々被っているはずの心理社会的ストレッサーの関与についての記述がないことです。

 

その理由は、この学会の枢要なポストに、心療内科学会専門医が不在であるからだと思います。

 

 

痛風は、世間が揶揄する“贅沢病”ではありません。

 

何事にも熱心に取り組み、多忙でクリエイティブな毎日を展開している人、責任感が強く、巨悪による不正や、ポピュリズム、印象操作などに対して、人一倍義憤を感じ易い有能な方々に多く発症しています。

 

 

医師として、私がそのような患者さんへの誤解を放置したまま、彼らを見捨てることができると思いますか?

 

すでにリウマチ専門医であり、かつ、心療内科専門医である私が、痛風認定医試験に挑戦し、合格できた理由の一つは、

 

社会に対する大きな貢献を果たし、日本経済を牽引し、弱者を支えようと日夜努力を惜しまない、

 

こうした痛風患者さんのために、大きなエールを送りたいからであると確信している次第です。