診察室から 10月3日(火)<仲間や医師を励ます患者>

 

平成元年7月開院以来、高円寺南診療所は一貫した信念をもって禁煙指導を継続してきました。

 

しかし、いくら健康のためとはいっても、人さまの嗜好品に対して、

 

禁止を宣言するのは患者・医師双方にストレスフルな局面を避けられません。

 

 

すぐに、思い浮かぶのは、以下の3つのパターンです。

 

パターン1)

禁煙を勧めた途端に、あからさまに不愉快そうな顔をして、二度と来ないと言いたげに診察室のドアを叩きつけるように去って行った患者さん。

 

 

パターン2)

喫煙を続けなければならない理由を延々と語ろうとする患者さん。

 

 

パターン3)

ひとたび禁煙を決断して、禁煙努力を始めたが、

 

約束が果たせず、自己嫌悪に陥って、受診の敷居が高くなり、中断してしまう患者さん。

 

 

いろいろなケースに遭遇しつつも、コンセプトを曲げずに続けてこられたのは、

 

今日ご紹介する大坂旭さんのような患者さんの存在だと思います。

 

AO1

 

大坂さんは、上記のうちパターン3)のタイプでした。

 

率直なところ大坂さんタイプの患者さんのことが一番、心残りとなります。

 

大坂さんは高円寺南診療所の事務次長、野口将成が着任した平成19年より少し前に、

 

それまで継続していた高円寺南診療所の通院、水氣道を突如中断されました。

 

それから私も折に触れて彼のことを思い出し、祈り続けていました。

 

それが、平成25年に、見事禁煙を果たした大坂さんとの感動の再会を果たしました。

 

大坂さんは、自力で禁煙を達成した努力の人ですが、

 

久しぶりで水氣道を再開すると、7年間以上のブランクがあるとは思えない基礎が維持されていました。

 

初期に稽古を積んでいた水氣道が、彼の心身を7年以上も支え続けていたのか、と思うと大いに励まされた次第です。

 

 

大坂さんは、現在福祉関連の専門職に就き、これをライフワークとすべく日夜奮闘努力中です。

 

多忙であるにもかかわらず、毎週土曜日の午後、新宿歌舞伎町のハイジアで水氣道に参加されています。

 

大坂さんは現在、水氣道3級(初等修錬生)となり、朱帽子の姿で活躍されています。

 

現在、水氣道2級(中等修錬生)加藤博文君の下で、調血航法を習得に勤しんでいます。

 

水氣道では、こうした二者の関係を対番(たいばん)と呼んでいます。

 

そして、彼には、水氣道の初級幹部候補生の一人となるべく、

 

水氣道の特殊技法である空手航法の手ほどきをはじめたところです。

 

一方、大坂旭さんは、水氣道の入門者である体験生や、初心者である訓練生のお世話をし、さりげなく励ましています。

 

 

水氣道の<氣>という文字に込められているもののなかに、精神<スピリット>があります。

 

大坂旭君は、水氣道の<氣>とは何かを体得することができる種が、すでに播かれているように思われます。

 

 

高円寺南診療所の禁煙指導にも水氣道の<氣>を、さらに活かしていきたいものです。