日々の臨床9月27日水曜日<嘔吐・下痢と消化管の神経支配の関係について>

消化器系の病気

 

嘔吐・下痢と消化管の神経支配の関係について

 

 

自律神経失調症では、よく下痢と吐き気に悩まされます。

 

 

それらの症状が長い期間続くと「本当に治るのか」と不安になってしまいがちです。

 

しかし、自律神経そのものの調子を整えれば改善していくことができます。

 

下痢が続くときは、生活リズムの改善を中心に、食事では食事時間を一定にして食物線維や刺激物を控えめにするなどの調整をしながら、

 

鍼治療を受けたり、自律訓練法などの対処法を学んだり、ストレスの改善と自律神経を整えていきましょう。

 

 

疲れをため込んでいる人に多いですが、ストレスと疲れは表裏一体の面もありますので、

 

ストレスの改善をしていくと疲労感もよくなることがあります。

 

なるべく「好きなことしかしない」という時間を短時間でも確保してみるとよいでしょう。

 

 

自律神経失調症では交感神経の働きすぎが原因となっているともいわれます。

 

ストレスによって交感神経が働きすぎて、体全体が緊張状態になってしまうということです。

 

しかし、交感神経の緊張が続きすぎて危険な状態に近づくと、

 

その行き過ぎを何とか食い止めてバランスを取るために反動的に副交感神経のスイッチが入ることがあります。

 

下痢が続く場合には、副交感神経が働きすぎている場合があります。

 

反対に便秘の場合には、交感神経が働きすぎている可能性があります。

 

 

また、吐き気も色々な理由が考えられますが、

 

自律神経の乱れによって嘔吐中枢も一緒に調子が乱れてしまっているというのがよくある原因です。

 

また、感神経が活発になりすぎることで胃腸が上手く働かないことが吐き気の原因になっていることもあります。

 

下痢も吐き気も日常生活に大きな影響を与えるとても辛い症状、

 

しかも自律神経失調症の場合長期間に渡ってこれらの症状に悩んでいる人も少なくないのです。

 

 

自律神経失調症の吐き気は消化器に原因がなく、

 

嘔吐中枢の調子が乱れていることが原因になっていることがとても多いのが特徴です。

 

ですから、自律神経そのものの調子を整えることが第一になります。

 

 

最後に、消化管の自律神経支配について、基本的な説明をします。

 

 

まず、消化管は自律神経に支配されています。

 

自律神経には交感神経と副交感神経があります。筋肉などの随意筋に対して交感神経は運動促進的に働き、

 

副交感神経は運動抑制的に働きますが、内臓に関しては逆の関係になります。

 

すなわち、消化管においては交感神経が運動抑制的に、副交感神経が運動促進的に働きます。

 

 

また消化管の部位によって支配神経が異なります。

 

 

食道⇒胃⇒小腸⇒結腸(近位)に対する交感神経は内臓神経であり、副交感神経は迷走神経です。

 

 

また、結腸(遠位)⇒直腸に対する交感神経は下腹神経であり、副交感神経は骨盤神経です。

 

なお、腸管神経系は中枢神経系と接続するので、中枢神経系の影響を受けますが、

 

これとは独立して自律的に運動・分泌反応を引き起こすこともあります。

 

消化管の運動、とくに蠕動運動に関与するのはアウエルバッハ神経叢であり、

 

消化管平滑筋の輪状筋層と重層筋層との間に存在します。

 

これに対して消化管の腺の分泌に関与するのはマイスナー神経叢といって粘膜下層に存在します。

 

 

嘔吐や下痢は消化管の運動や分泌が亢進している状態なので、副交感神経が緊張している状態だといえます。

 

嘔吐は胃の症状なので迷走神経、下痢は小腸や結腸の症状なので迷走神経の他に骨盤神経の関与が考えられます。

 

 

これは、慢性的なストレッサーによる交感神経系の緊張に伴う蓄積疲労の状態になると、

 

生命維持のために自動的にスイッチが掛った状態であると考えることができます。

 

まずは、ゆっくりと心身を休ませることで交感神経系の緊張を緩和させることが肝要です。

 

これができれば、副交感神経系の緊張も次第に緩和させていくことができます。