日々の臨床9月22日金曜日<ST上昇型急性冠症候群(STEMI)>

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

 

<ST上昇型急性冠症候群(STEMI)>

 

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)は、新規発症左脚ブロック、心筋トロポニンの正常値を超える一過性上昇・低下を来します。

 

トロポニンTは、急性心筋梗塞発症後3~4時間後に上昇し、正常化に2~3週を要します。

 

 

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に対する緊急経皮的冠動脈形成術(PCI<先週説明いたしました>は迅速に行うことによって致命率、成績が大きく異なるため、救急搬送されてから迅速にPCIが行える体制が整備されつつあります。

 

STEMIに対する治療は、抗血小板療法やPCIの進歩により成熟しつつあります。

 

出血合併症が急性冠症候群の予後に大きな影響を与えるため、橈骨動脈からのPCIが出血合併症を減少させ予後の改善につながることが明らかにされました。

 

 

しかし、いまだに心原性ショックを伴うSTEMIの救命率は十分ではありません。

 

大動脈バルーンポンプ(IABP)の効果は確立しておらず、左室補助ポンプの効果が期待されています。

 

 

急性心筋梗塞に対する新規抗血小板薬2剤併用血小板療法(DAPT)には2つの意義がります。

 

 

①不安定プラークを有するハイリスク患者に対する抗血小板療法の強化

 

不安定プラークとは、薄い繊維皮膜におおわれているコレステロールの結晶のことです。

 

この結晶が破れると血栓ができてしまうことで、不安定狭心症や急性心筋梗塞、脳梗塞などの病気を引き起こす場合があります。

 

不安定プラークの治療法は、血圧を下げる薬物療法があり、またストレスの大きい生活から入院に切り替え、

 

安静にして血圧が下がるまで入院すること、食事制限を徹底した治療をすること、が賢明な対策です。

 

 

②(基本的にはPCIで治療中)冠動脈ステントに対するステント血栓症予防

 

1年間はDAPTを継続することが原則であることは変わりません。

 

一方で薬剤溶出ステントの安全性が顕著に向上し、急性心筋梗塞に対する使用も推奨(クラスⅠ)されるようになりました。

 

ステントとは、ステンレスなどの金属でできた小さい網目模様の筒を乗せた構造をしています。

 

冠動脈の狭窄部位でステントを風船のようにふくらませます。

 

このように拡張することで動脈硬化部位を広げることができます。

 

ステントを使って広げると、ステントが支え棒のようになって固定され、しっかりと広げることができます。

 

ただし、植え込まれたステントは取り出すことはできません。