日々の臨床9月8日金曜日<非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)>

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

 

<非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)>

 

非ST上昇型心筋梗塞とは、不安定プラークの破綻あるいは血管のびらんに血栓形成が生じ冠動脈の内腔閉塞を来す急性冠症候群(ACS)の一病態です。

 

 

プラークの検査としては、頚動脈超音波検査が重宝で、高円寺南診療所でも実施しています。

 

頸動脈プラークは、エコー検査で動脈壁の肥厚(ひこう)としてとらえられ、

 

コレステロールなどの脂肪からなる粥状(じゅくじょう)動脈硬化巣である場合があります。

 

そのような頸動脈プラークは、時に破綻(破裂)して、破綻部位に血栓が形成されます。

 

 

非ST上昇型心筋梗塞の症状としては20分以上継続する胸痛を認めることが多いです。

 

心電図上はSTの持続的上昇を示さないが、心筋に障害を認め心筋逸脱酵素であるトロポニンT、トロポニンIあるいはCPK、CPK-MBの上昇を認める状態です。

 

また、心電図による診断には限界があり、ST低下あるいはT波の陰転化等を認めることもあるが変化のないこともあります。

 

 

近年、非ST上昇型心筋梗塞の評価方法にトロポニンが加わり、頻度は増加傾向にあります。

 

むしろ現在では急性心筋梗塞の診断は、心筋壊死の証拠とし心筋トロポニンの上昇を必須とします。

 

高感度トロポニンは心筋特異性が高く、1時間という早期から上昇するため急性冠症候群の鑑別診断に有用です。

 

なお非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)は、ST上昇型急性冠症候群と比較して治療までの時間的猶予があることが多く、

 

冠動脈バイパス手術(CABG)が必要となる可能性が高いです。

 

中等度以上のNSTE-ACSは、24時間以内のPCIは生命予後を改善できるため、t-PAの有用性は否定的です。

 

 

治療:

早期侵襲的治療が有利とされつつある中、新規抗血小板薬(ADPアンタゴニスト:プラスグレル、チカグレロル)は、欧米のガイドラインでは推奨されていが、日本では診改訂です。

 

救急外来で速やかに投与した方が緊急PCIに十分効果が期待できるが、冠動脈造影の結果、速やかにCABGが必要となったときに出血の問題があるからです。

 

その場合、プラスグレルは7日前、チカグレロルやクロピトグレルは5日前に抗血小板薬の休薬が必要とされます。

 

推奨される2剤併用抗血小板療法(DAPT)期間は1年です。

 

それ以上の継続は出血リスクが低く、血栓リスクが高いときのみとされます。

 

出血リスクが高いときや抗凝固を併用する3剤併用のときは抗凝固療法を優先し、DAPT期間を短縮します。

 

 

リスクの層別化はTIMIリスクスコアやGRACEリスクスコアで行います。