総合内科
<高齢者の多剤薬剤投与>
多数の薬剤を処方することの問題性をポリファーマシーといいます。
より正確に説明しますと、使用薬剤数が多いことに加えて、
潜在的に不適切な処方が含まれていること、同じ効き目の薬が重複していること、
本来使用されるべき疾患に対して必要な薬剤が処方されていないこと、と定義されています。
このポリファーマシーは日本の医療において社会問題になっています。
この問題は、高円寺南診療所も無関係ではありません。
ポリファーマシーが生じる要因として、高齢化による複数の疾患・症候の合併とそれに伴う複数診療科・医療機関の併診や、
薬剤の副作用に対する薬剤の追加、老年症候群に対する処方の問題があります。
特に高齢者は生理機能の低下から薬物有害反応が若年者と比べてより発生しやすいです。
高円寺南診療所で直面するポリファーマシーは、他に複数の医療機関を受診され、
主治医を決めていない高齢者の場合に直面することがほとんどです。
この問題は、薬物有害反応の増大、薬物‐薬物間や薬物‐疾患間の相互作用の増大、
服薬アドヒアランスの低下、医療費の増大、死亡率の上昇が挙げられます。
ポリファーマシーという英語が採用されているわけは、この問題が世界的な規模での問題になっているからに他なりません 。
ポリファーマシーに関して、不適切さの国際的基準が提唱されています。
その代表がSTOPP criteria (Screening Tool of Older person’s Potentially inappropriate Prescriptions)およびBeers criteriaです。
最近ではSTOPP criteriaがより広く用いられてきている傾向があるそうです。
STOPP criteriaという基準は、これを直訳すると<高齢者に対する潜在的に不適切な処方をスクリーニングするツール>、
つまり、個々の高齢者の処方がポリファーマシーに該当するかどうかの判定をするためのチェックリスト、といった意味です。
高齢者の皆様は、身体の一部の診療ではなく、心身両面にわたって相談できる真の意味での主治医を持つこと、
それがますます大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。
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