当診療所は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍等の取材のお問い合わせに関して、

 

電話での対応は、一切遠慮させていただいております。

 

 

大変恐れ入りますが、当診療所公式HPトップのお問い合わせからご連絡くださいますようお願い申し上げます。

 

 

週末、年末年始、学会出張等の場合を除き、お問い合わせいただいた日時から起算して、概ね3日以内にご返答させていただきます。

 

 

尚、医療関係者、研究者等の専門家の皆様ならびに、

 

当方が既にご面識のあるジャーナリストの皆様からのご紹介である場合には、

 

予めその旨をお知らせくださいますようにお願い申し上げます。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「照海(しょうかい)」です。

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場所は内踝の真下です。

 

 

 

「月経不順」「月経痛」「喉の渇き」「喉の腫れ」「不眠」「足関節捻挫」「排尿障害」等に効果があります。

 

 

 

また、「足の冷え」によく効くツボです。

 

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

内分泌・代謝・栄養の病気

 

<続発性骨粗しょう症>

 

骨粗しょう症とは、骨強度が低下し、骨折の危険性が高まる骨格疾患です。

 

骨強度は骨密度(約70%)と骨質(約30%)により規定されます。

 

しかし、骨質は、臨床的に測定することは困難なため、骨密度の計測が重要になります。

 

 

骨折のリスクファクターには、転倒のリスクとなる運動機能低下、筋力低下などロコモティブ症候群との関連性が高いです。

 

逆に若年者であっても長距離走選手では、長期間のエストロゲン分泌低下を来たし、骨強度の低下を来すことが知られています。

 

 

分類:

原発性骨粗しょう症と続発性骨粗しょう症があります。

 

原因が明らかなのは続発性骨粗しょう症です。

 

高円寺南診療所はリウマチ専門医による診療を行っているため、リウマチの症例が多いのですが、

 

多忙を極めるためか大学病院や地域拠点のリウマチ科から紹介されてくるリウマチ患者さんの骨密度が検査されていないことが多いです。

 

 

しかし、リウマチの患者さんは、リウマチというだけで骨粗しょう症のリスクが高いです。

 

しかも、抗リウマチ薬の主薬(アンカードラッグ)として頻用されているメトトレキサートや、

 

炎症の活動性が高いなどの理由で用いられる副腎皮質ステロイドは骨粗しょう症のリスクとなるため、

 

必ず骨密度は測定して、測定結果に基づき適切な対応をとる必要があると思います。

 

 

 

原因:

①内分泌性(副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、クッシング症候群、糖尿病など)

 

②栄養・代謝性(胆汁鬱滞性・排せつ障害性疾患、慢性腎疾患、ビタミンA・D過剰摂取、

 

③薬剤性(ステロイドメトトレキサート、ワルファリン、ヘパリンなど)、

 

④その他(関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、血液疾患、先天性骨形成不全など)

 

 

 

評価

治療適応となるのは椎体、あるいは大腿骨近位部の脆弱性骨(骨折再発のリスクが高いため)

 

骨折リスク評価ツール(FRAX:fracture risk assessment tool)による10年間骨折リスク15%以上の場合

 

 

両親のいずれかが大腿骨近位部骨折の既往がある場合は

 

骨密度が若年成人平均(YAM)が80%未満

 

 

脆弱性骨折が無い場合は

 

骨密度が若年成人平均(YAM)が70%以下

 

 

骨吸収マーカーNTXや骨形成マーカーは骨粗しょう症の診断あるは治療薬開始の判断基準に含まれていません。

 

 

 

治療

日常生活の改善(食事療法・生活療法)と薬物療法があります。

 

 

①食事療法

天然型ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収を促進し、転倒リスクを減らします。

 

積極的なカルシウムの摂取(牛乳、乳製品、大豆、小魚、干しエビ、小松菜など)

 

ビタミンCは骨組織の基礎となるコラーゲン合成、架橋形成に必要です。

 

ビタミンKはオステオカルシンのɤ-カルボキシル化に必要です。

 

 

②適度の運動

骨量低下の防止、骨折防止に継続的な運動が有用です。

 

水氣道®は水中での立位での有酸素運動で、浮力の助けにより膝などの荷重関節を保護しつつ、

 

安全に垂直跳躍運動をすることなどの力学的負荷により、骨量を増やすことができます。

 

また、転倒・骨折予防のための理想的な訓練にもなっています。

 

 

②薬物療法

 

カルシウム製剤:他の治療薬の効果を発揮するためには、カルシウム欠乏の場合では是正が必要です。

 

 

活性化型ビタミンD3:腸管からのカルシウム吸収を促進し、椎体・前腕骨の骨折防止効果をもつエルデカルシトールなどの製剤があります。

 

 

ビタミンK2:骨質を改善するが骨折防止のエビデンスは乏しいとされています。

 

 

女性ホルモン製剤:閉経後早期に、更年期障害の改善の目的で使用されます。

 

 

ビスホスホネート:副作用に食道粘膜障害があり、服薬後30分は横臥してはいけないので、寝たきりの患者には使用しにくいです。

 

 

テリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤):骨形成促進作用をもち骨形成マーカーが上昇します。

 

また、骨粗しょう症患者の骨折を抑制します。間歇的な副甲状腺ホルモンの投与は骨形成を促します。

 

 

デノスマブ( 完全ヒト型抗RANKLモノクロナール抗体):RANKL(Receptor activator of NF-kB ligand )の機能を抑え、破骨細胞前駆細胞に発現数RANK受容体の活性化を抑制します。

 

6か月に1回の皮下注射製剤です。

 

副作用として低カルシウム血症に伴うQT延長、テタニー、意識障害があり、適応するには慎重な検討が必要です。

 

 

ラロキシフェン(SERM)は、骨および血清脂質に対してはエストロゲン様に作用し、骨折抑制効果と脂質改善効果を示すが、

 

子宮内膜や乳腺に対しては抗エストロゲンとして作用し、子宮体がんやエストロゲン受容体陽性乳がんの発生を促進しなません。

 

注意すべき副作用は血栓、塞栓症であり、ハイリスクな寝たきり患者や臥床が必要な手術前後には使用しなません。

 

今回は「番外編 その5」です。

 

(第34回、番外編その4の「山の事故」についての続きです)

 

 

また、数年前、日が照っていたものの風が強い日に、私がTシャツで登っていると、

 

すれ違った登山者から、「寒そうな格好しているな、風強いよ!」と忠告を受けました。

 

たとえ晴天でも冷たい風に長時間当たり続けていると、いわゆる「低体温症」の危険があることを知らせてくれたのです。

 

 

今夏はといいますと、不幸にして天候に恵まれず、途中で下山することになりました。

 

せっかく3000mまで登ったのに、という残念な気持ちでいっぱいになりました。

 

しかし、同行した年上の友人は「残念だけど、決断も大事」という意見。 相談の結果、下山しました。

 

 

このように、周囲の忠告や意見というのは、ひとつの「助け」だと思います。

 

人は注意を受けると決して気分のよいものではありません。

 

しかし、場合によりけりですが、

 

これを「(相手が自分のことを考えた)助け」と受け取ることができれば、

 

日々のストレスもかなり軽減されるように思います。

 

 

(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

 

<脈拍について>

 

脈拍を診ることを脈診といいます。

 

現代医療においても重要な診察手技ですが、患者さんのお話をうかがう限りでは、循環器の専門医でさえ脈診をしない傾向があるようです。

 

むしろ、東洋医学の専門医は必ず脈診を行い、西洋医学以上に細やかな分類による見立てがなされています。

 

しかし、基本的な診方には大差がありません。

 

 

違いといえば、東洋医学とくに中医学では舌診とセットとして総合的に見立てをする点で、より丁寧で優れているといえるでしょう。

 

なお日本漢方では、これに腹診を加えてより統合的な診るのが素晴らしいと思い、なるべく実践することにしています。

 

いずれの場合でも、脈拍は、一般に手首の橈骨動脈を触診して診察します。

 

脈の触診のみで得られる情報には、次のようなものがあります。

 

 

 

①頻脈と徐脈:

頻脈(脈拍数≧100/分)は発熱時の他、貧血、甲状腺機能亢進症、頻脈性不整脈でみられます。

 

徐脈(脈拍数≦60/分)は、迷走神経緊張状態、甲状腺機能低下症、脳圧亢進、神経原性ショック、徐脈性不整脈でみられます。

 

 

②大脈と小脈:

脈の大小は脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)の大小よります。

 

大脈は脈圧の増大により、大きく振れる脈です。

 

動脈硬化、大動脈弁逆流、バルサルバ洞動脈瘤破裂、大動脈管化開存などでみられます。

 

小脈は脈圧の低下により小さく触れる脈です。

 

心機能低下などでポンプ室である左心室からの一回拍出量が減少した場合、大動脈狭窄、心室中隔欠損などでみられます。

 

 

③速脈と遅脈:

脈の速さは、実際には脈の大きさと密接な関係があり、大脈は速脈、小脈は遅脈となります。

 

速脈とは、急速に強くなり、急速に消失する脈です。つまり、

 

クレッシェンド(<)の直後にデミュネンド(>)が現れる脈です。

 

大脈のように、1回拍出量・脈圧の増大している場合の他、敗血症などで末梢血管抵抗が減少している場合にも生じます。

 

遅脈とは、徐々に大きくなり、徐々に小さくなる脈です。

 

これの代表が大動脈弁狭窄症です。

 

しかし、著しい低血圧の場合、触知できないこともあります。

 

高円寺南診療所の受診者の傾向としては、栄養不良、冷え性、アレルギー・リウマチ体質の方が少なくないため、

 

脈の触れにくい場合に備えて、パルスオキシメーターを併用してフル活用しています。

 

パルスオキシメーターは、末梢動脈血流における酸素飽和度を計測するのが主目的ですが、

 

腸骨動脈より末梢の下肢動脈の狭窄・閉塞が疑われる際には、

 

両側大腿動脈、膝窩動脈、足背動脈の触知を行い、左右差を比較する際にも有用です。

 

 

パルスオキシメーターのみでも①頻脈か徐脈か、および脈の不整・結滞の有無はある程度鑑別できますが、

 

②大脈か小脈か、③速脈か遅脈か、を鑑別することは不可能であるほか、

 

④特殊な脈(奇脈、交互脈、二峰性脈)などは脈波計を用いると把握しやすいです。

 

 

奇脈とは、吸気時に呼気時より収縮期圧が10mmHg以上低下するものです。

 

ただし、健常人でも吸気時に3~10mmHg程度の収縮期血圧降下をみることがあります。

 

 

奇脈がみられるのは、吸気時に左室の拡張が制限され、左室に還流する血流障害がある場合にみられます。

 

心タンポナーデ、重症喘息などでみられます。

 

 

交互脈には、機械的交互脈と電気的交互脈の二種類あります。

 

機械的交互脈は、脈は洞調律(脈拍リズムは正常)だが、大脈と小脈が交互に出現するもので、重症左心不全の徴候です。

 

 

電気的交互脈は、心電図を取らなければ判定できません。

 

心電図の波形上のQRSの振幅が1ないし数拍ごとに増加したり減少したりする現象です。

 

これは多量の心膜液が貯留した結果、心膜腔内で心臓が振り子の運動をするために生じるものです。

 

 

二峰性脈とは、心臓の収縮期に脈波の峰(ピーク)が2個生じるものです。

 

これは主に閉塞性肥大型心筋症で観察されますが、大動脈弁逆流の一部でもみられます。

 

 

このように、医師の指先の触覚だけでも、患者さんの多方面に及ぶ健康情報を収集することができます。

 

経済的にも時間的にも資源を節約することが可能で患者さんへの諸々の負担も少ないアプローチなのです。

 

しかし、そのような技能を持って実践している医師が、大病院経営者や行政に高い評価を得て厚遇されている話は、残念ながら一向に耳にできないのは残念です。

 

自分の良心と信念をもって診療できるのは開業医の特権で、自分の境遇に感謝すべきなのかもしれません。

日曜日

日々の臨床①:統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

聖楽院<往く週、来る週>

 

水氣道俳句会(第一日曜)

 

 

月曜日

日々の臨床②:総合医療・プライマリケア

 

Mr.NoGucciの懺悔録

 

 

火曜日

日々の臨床③:一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)

 

診察室から

 

 

水曜日

日々の臨床④:総合アレルギー科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

外国語と外国人診療

 

 

木曜日

日々の臨床⑤:総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

水氣道へのご招待

 

 

金曜日

日々の臨床⑥:心身医学科(心療内科、脳神経内科、神経科を含む)

 

臨床心理CBT

 

 

土曜日

日々の臨床⑦:東洋医学

 

鍼灸医学

 

理氣航法については

 

<理氣航法その①> ・ <理氣航法その②>

 

 

理氣航法で私自身が最近感じているのは、

 

ただ漠然と行うのでは、あまり効果的なトレーニングが出来ないのではないか、ということです。

 

なぜかというと、もともとこの航法が、

 

体の中に流れている、エネルギーのバランスを整えていくことに着目したものだからです。

 

つまり、このことをよく理解して、稽古中にそれを意識するかしないかで、

 

体からの反応が全然違ってくることを最近実感し始めています。

 

 

もちろん、理氣航法には呼吸機能を回復させるという大事な基本的な役目もあります。

 

ですが、その奥にもっと深い何かが存在しているような気がします。

 

 

この『何か』とは果たして何なのか、

 

氣とは体にとってどういう存在なのか、

 

私自身まだ十分には掴めてはいません。

 

 

そこで、これからも稽古を続けていくことで、少しずつ解明していければ、と感じています。

 

 

日本水氣道協会 副支援員 水氣道少初段上 

 

水氣道理気航法 直伝 金澤 克彦

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

<肺音の聴診について> 豊かな感性が求められる医療

 

 

現代医療は画像等の視覚データや数値などのデジタル化データが診断材料の主体です。

 

また、医師国家試験や各種の専門医資格試験等も同様です。

 

しかしながら、実臨床は視覚情報以外の情報も大いに役立てることができることが望ましいと思います。

 

その一つが、音声を含めた聴覚情報です。

 

医師としては音声に興味や関心がある、ということは、特に臨床面において、とても有利に働いていて大いに役立っています。

 

 

今回は、肺の活動音である肺音について、ふだん医師はどのように臨床診断の材料にしているかについてご紹介いたします。

 

 

まず、最初に、肺の「活動音」という言葉についてですが、これは医学用語ではなく、私が説明のために使用している用語であることをお断りしておきます。

 

 

肺は心臓と同様に、収縮と拡張を繰り返しますが、肺が心臓と異なる点があります。

 

それは、心臓には自動能があるのにたいして、肺にはそれが無い、ということです。

 

つまり、肺が収縮したり拡張したりする、つまり呼吸運動するのは、横隔膜や肋間筋などの呼吸筋によってもたらされる受動的なものです。

 

したがって、呼吸筋の活動停止が肺の呼吸運動の停止を意味します。

 

 

肺をはじめとする気道から発せられる様々な生体音は、呼吸に伴う音です。

 

つまり、肺が呼吸運動すること、つまり、肺が活動することに伴って発生する音なので肺の「活動音」と表現することにしたのです。

 

 

それならば、単に呼吸音と言えば良いのではないか、とお気づきの方もおいでかも知れません。

 

しかし、肺音(肺の活動音)は、呼吸音の他に副雑音があります。

 

しかも、呼吸器の病気の診断において、より決め手となるのは副雑音の方ですから、明確に区分しておいた方が良いと思われます。

 

 

呼吸音は健康な人でも聴取できます。

 

これは、気管呼吸音、気管支呼吸音、肺胞呼吸音、と発生部位によって分類します。

 

この正常な呼吸音に聞きなれていないと異常な呼吸音に気づくことは難しくなります。

 

 

それでは、異常な呼吸音とはどのようなものでしょうか。

 

その代表は、気管支喘息や慢性気管支炎などの閉塞性肺疾患で聴かれる<呼気延長>です。

 

つまり、息を吐くのに要する時間が健康な人より延長してしまう状態です。

 

多くの場合は呼気に伴う気管支の呼吸音が増強して聴かれます。

 

その他として、呼吸音が弱くなる場合があります。

 

呼吸音の減弱や消失です。

 

無気肺といって胸郭に外気が入り肺の一部が収縮してしまうと、その部分での呼吸音は聴くことはできません。

 

また、胸水といって胸腔に水が溜まると、重力により水は横隔膜の背側の尤も低い部位に貯留しますから、呼吸音が聴こえなくなります。

 

この場合は、聴診だけでなく、打診によってどの程度の水が胸腔に貯留したかを推定することもできます。

 

打診による音の変化だけでなく、指先に伝わってくる振動覚にも助けられて、貯留した液体の水面の位置を推定することができます。

 

 

呼吸音に対して副雑音の存在と種類は、呼吸器の重要な病気の診断の決め手になります。

 

副雑音のほとんどがラ音と呼ばれています。

 

これには、音の持続性によって、まず断続音か連続音かを鑑別します。

 

 

連続音は、気管・気道の狭窄によって吸気・呼気のいずれの呼吸相でも聴かれる雑音です。

 

音の高さ(ピッチ)により、高音性か低音性かを鑑別します。

 

高音性の連続音は、笛様音(wheeze)といって、<ヒューヒュー>と聞こえます。

 

これに対して低音性の連続音は、いびき様音(rhonchi)といって、<グーグー>と聞こえます。

 

 

断続音(非連続音)は、気道内に貯留した分泌物の中を空気が通過する際発生します。

 

これは、音の粒が細かいか粗いかで区分します。細かい断続音(fine crackles)は捻髪音といって、

 

髪の毛をつまんで捩じったときに発する<パチパチ>という音に似ています。

 

これは、主に呼気後半で聴かれます。

 

閉塞した末梢気道が呼気後半に、急激に解放されて発する雑音です。

 

各種の間質性肺炎をはじめ、過敏性肺臓炎、肺水腫、肺胞蛋白症などを疑います。

 

 

粗い断続音(coarse crackles)は水泡音といって、<プツプツ>という音がします。

 

これは、太い気管支に由来する雑音で、主に吸気・呼気の全過程で聴かれます。

 

肺炎(肺胞性)、肺水腫、慢性気管支炎、気管支拡張症などを疑います。

 

 

副雑音には、これらのラ音の他に、胸膜摩擦音といって、

 

呼気・吸気いずれにおいても聴くことができる副雑音があり、胸膜炎の存在を疑います。

 

他にも、肺血管雑音などがあります。

 

 

聴診器は、かつては医師のシンボルでもありました。

 

それが現在では、<超音波診断装置は、現代の聴診器>などと、

 

最先端医療機器のみがもてはやされる時代となりました。

 

音波でなく超音波を「見える化」つまり、画像化したために、

 

多くの医師にとってより客観的な診断が可能となり、患者の皆様への説明も容易になったことは確かです。

 

私も上手に活用している方だと自負しています。

 

 

しかし、現代において、医師が日々、感性を磨くことが、実際的には、とても大切だと思います。

 

医師が必要であると勧める検査を拒否される方が少しずつ増えてきたのは、

 

こうした基本的な診察(問診や聴診を含む)が十分に実施されていないためだとすれば、

 

とても納得のいく医療社会の現象だと思います。

 

 

症状に表れにくい病気や見えない病気が主流となってきているなかで、

 

見えにくいものを少しでも見逃さないように、という発展だけでなく、

 

本来見えないものは、視覚以外の五感(五官)を最大限に駆使し、さらには第六感をも磨く訓練や、日頃の心構えが大切だと考えて、

 

水氣道に勤しみ、聖楽院を打ち立て、その先頭に立って活動している次第です。

 

 

水氣道や聖楽院へのご参加、心よりお待ち申し上げております。

 

消化器系の病気

 

嘔吐・下痢と消化管の神経支配の関係について

 

 

自律神経失調症では、よく下痢と吐き気に悩まされます。

 

 

それらの症状が長い期間続くと「本当に治るのか」と不安になってしまいがちです。

 

しかし、自律神経そのものの調子を整えれば改善していくことができます。

 

下痢が続くときは、生活リズムの改善を中心に、食事では食事時間を一定にして食物線維や刺激物を控えめにするなどの調整をしながら、

 

鍼治療を受けたり、自律訓練法などの対処法を学んだり、ストレスの改善と自律神経を整えていきましょう。

 

 

疲れをため込んでいる人に多いですが、ストレスと疲れは表裏一体の面もありますので、

 

ストレスの改善をしていくと疲労感もよくなることがあります。

 

なるべく「好きなことしかしない」という時間を短時間でも確保してみるとよいでしょう。

 

 

自律神経失調症では交感神経の働きすぎが原因となっているともいわれます。

 

ストレスによって交感神経が働きすぎて、体全体が緊張状態になってしまうということです。

 

しかし、交感神経の緊張が続きすぎて危険な状態に近づくと、

 

その行き過ぎを何とか食い止めてバランスを取るために反動的に副交感神経のスイッチが入ることがあります。

 

下痢が続く場合には、副交感神経が働きすぎている場合があります。

 

反対に便秘の場合には、交感神経が働きすぎている可能性があります。

 

 

また、吐き気も色々な理由が考えられますが、

 

自律神経の乱れによって嘔吐中枢も一緒に調子が乱れてしまっているというのがよくある原因です。

 

また、感神経が活発になりすぎることで胃腸が上手く働かないことが吐き気の原因になっていることもあります。

 

下痢も吐き気も日常生活に大きな影響を与えるとても辛い症状、

 

しかも自律神経失調症の場合長期間に渡ってこれらの症状に悩んでいる人も少なくないのです。

 

 

自律神経失調症の吐き気は消化器に原因がなく、

 

嘔吐中枢の調子が乱れていることが原因になっていることがとても多いのが特徴です。

 

ですから、自律神経そのものの調子を整えることが第一になります。

 

 

最後に、消化管の自律神経支配について、基本的な説明をします。

 

 

まず、消化管は自律神経に支配されています。

 

自律神経には交感神経と副交感神経があります。筋肉などの随意筋に対して交感神経は運動促進的に働き、

 

副交感神経は運動抑制的に働きますが、内臓に関しては逆の関係になります。

 

すなわち、消化管においては交感神経が運動抑制的に、副交感神経が運動促進的に働きます。

 

 

また消化管の部位によって支配神経が異なります。

 

 

食道⇒胃⇒小腸⇒結腸(近位)に対する交感神経は内臓神経であり、副交感神経は迷走神経です。

 

 

また、結腸(遠位)⇒直腸に対する交感神経は下腹神経であり、副交感神経は骨盤神経です。

 

なお、腸管神経系は中枢神経系と接続するので、中枢神経系の影響を受けますが、

 

これとは独立して自律的に運動・分泌反応を引き起こすこともあります。

 

消化管の運動、とくに蠕動運動に関与するのはアウエルバッハ神経叢であり、

 

消化管平滑筋の輪状筋層と重層筋層との間に存在します。

 

これに対して消化管の腺の分泌に関与するのはマイスナー神経叢といって粘膜下層に存在します。

 

 

嘔吐や下痢は消化管の運動や分泌が亢進している状態なので、副交感神経が緊張している状態だといえます。

 

嘔吐は胃の症状なので迷走神経、下痢は小腸や結腸の症状なので迷走神経の他に骨盤神経の関与が考えられます。

 

 

これは、慢性的なストレッサーによる交感神経系の緊張に伴う蓄積疲労の状態になると、

 

生命維持のために自動的にスイッチが掛った状態であると考えることができます。

 

まずは、ゆっくりと心身を休ませることで交感神経系の緊張を緩和させることが肝要です。

 

これができれば、副交感神経系の緊張も次第に緩和させていくことができます。

A・YAさんは、平成26年の7月からずっと続いている頭痛をはじめとする全身の激しい痛みのために苦しみ、当診療所通院中の知人の紹介で来院されました。

 

 

診断は、線維筋痛症でした。

 

高円寺南診療所では決して珍しいケースではないのですが、初診時に喫煙者であったにもかかわらず、

 

禁煙に成功し、半年ほどで著明な改善が得られた例としては貴重であるため、

 

A・YAさんご自身が効果的であったと考えておられる工夫について紹介していただくことになりました。

 

背景情報を添えて掲載させていただきました。どうぞご参考になさってくださいますように。

 

 

 

なお、紹介文中にはJ-FIQと点数が表記されています、J-FIQとは、

 

線維筋痛症が患者の日常生活にどの程度影響を及ぼしているかということに関する質問票であるFIQの日本語版です。

 

線維筋痛症は、症状が多彩なため治療評価が簡単ではありません。

 

病気の進行度や症状、患者さんの機能障害の程度などを総合して疾患活動性といいます。

 

効果的治療のためには、疾患活動性や治療の評価を客観的に適切な尺度を使う必要があります。

 

痛みだけではなく多様な障害を総合的に評価することが不可欠です。

 

J-FIQは治療の評価方法として日本で使用しうる唯一の基準です。

 

20項目の質問等に基づき評価結果を数量化することができます。

 

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タイトル:(線維筋痛症で)痛みがあったのに気にならなくなった私

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JFIQ点数のグラフ

A.Y jfiq

 

今年の2月下旬に初診(J-FIQ 85.2点)

 

J-FIQスコアは70点以上で疾患活動性高度と評価するので、

 

A・YAさんの線維筋痛症の疾患活動性(重症度)は初診段階で高度でした。

 

 

3月下旬に鍼治療(担当:坂本光昭 鍼灸師)開始

 

5月下旬に禁煙開始(J-FIQ 77.6点)

 

J-FIQスコアの減少は 85.2-77.6=7.6ですが、これは20点以上減少しなければ改善とは認めることができません。

 

喫煙者の鍼治療効果は限定的です。

 

 

6月中旬に禁煙継続約3週(J-FIQ 51.4点)

 

J-FIQスコアの減少は 85.2-51.4=33.8で、20点以上減少し改善しました。

 

J-FIQスコアで70~50点の範囲では疾患活動性は中等度と評価します。

 

禁煙をはじめて3週程度でも、鍼治療効果は発揮されやすくなります。

 

疾患活動性は高度から中等度になりました。このような時期になると線維筋痛症の患者さんは、意欲的で積極性が増し、

 

過活動になりがちです。軽い躁状態に転じる方も少なくありません。

 

 

今年のお盆を過ぎた7月中旬頃(J-FIQ 54.2点)

 

 

A・YAさんも例外ではなく、すでに禁煙に成功し、自己効力感が高まったためか、新しいことに取り組みました。

 

それが、結果的には好ましい取り組みだったようです。

 

 

 

 

以下に、A・YAさんの生活観の変化のプロセスをまとめてみました。

 

以前からやりたかったこと(「断・捨・離」)

 

にチャレンジしようという気になった。

 

やれることから毎日少しずつ始めてみた。

 

結果の評価は、加点法(一か所でもできたら自分をほめる)

 

不要なモノを捨てることで自由スペースが拡大した。

 

こだわり思考が減った分、頭と心に空きスペース(余裕)が生まれた。

 

ネガティブ思考からポジティブ思考へ迎えるスキマ(余裕)が確保できた。

 

モノ軸から自分軸へ。

 

 

 

今月(J-FIQ 39.4点)現在、断捨離とともに禁煙、鍼治療を継続中。

 

J-FIQスコアは50点以下で疾患活動性は軽度と評価しますので、

 

39.4点であれば、病状は大分落ち着いてきたといえます。

 

J-FIQスコアの減少は 85.2-39.4=45.8、十分な改善ですが、

 

あと5点ほど減少すれば、著明改善に到達です。