日々の臨床 8月15日火曜日<風邪?をひいて赤血球が溶ける病気>その2

血液・造血器の病気

 

<風邪?をひいて赤血球が溶ける病気>その2(3話連続)

 

 

25歳のイケメン男性Mさん。

 

普段は元気いっぱいに働いているという筋肉質の立派な体格の方でした。

 

病歴からは急性気管支炎や肺炎を疑い聴診しましたが、

 

呼吸音は正常で雑音もありませんでした。

 

咳が強いのにラッセル音(異常な呼吸雑音)を聴取できない場合は、

 

百日咳、ニューモチシスチス肺炎もしくはマイコプラズマ肺炎を疑います。

 

そこで念のために胸のレントゲンを撮りましたが、これが正解でした。

 

というのは、レントゲンにスリガラス状陰影をはじめとする

 

間質性陰影を認めたからです。

 

このような経験をすると、胸部聴診上異常が無くても

 

発熱とひどい咳がある場合は胸部エックス線写真をとることが

 

当然であるという認識をもつに至ります。

 

 

それからMさんには特有の赤く盛り上がった発疹(多型滲出性紅斑)がありました。

 

発疹を伴う肺炎は、まず第一にマイコプラズマ肺炎を疑います。

 

そこで、血液検査を実施したあと、

 

アジスロマイシン(ジスロマック®)を3日分処方しました。

 

 

ここまでであれば、普通のケースなので、

 

血液病に関係があるなどとは考えないのですが、

 

医療において油断は大敵なのでした。

 

 

来週に続く