日々の臨床 8月7日月曜日<老年病は内科の延長で診ることが危険なワケ!>

中毒・物理的原因による疾患、救急医学

 

<老年病は内科の延長で診ることが危険なワケ!>

 

その1.高齢者糖尿病の血糖コントロールの難しさ

 

 

加齢にともなって尿糖の排泄閾値は上昇します。

 

つまり、高齢者では同じ血糖値でも尿糖は陽性となりにくくなります。

 

 

これは、何を意味するかというと、血糖コントロールの目安として

 

尿検査をする場合には、高齢者では実際の血糖値に比べて

 

「血糖コントロール状態が低めに評価される可能性があるということです。

 

このことを根拠に、血糖コントロール状態の指標として、

 

尿糖を参考にすることを止める、あるいは尿検査をしないで、

 

毎回血液検査を勧める医療機関もあるようです。

 

 

それでは、尿糖の代わりの血糖コントロール指標としての

 

検査にはどのようなものが使えるでしょうか。

 

 

血糖値、グリコヘモグロビン(HbA1c)値

 

<測定時から1~2か月前の平均血糖値を反映します>、

 

フルクトサミン<測定時から4週間前の平均血糖値を反映します>、

 

グリコアルブミン値<測定時から2週間前の平均血糖値を反映します>

 

 

高円寺南診療所の見解は、それでも尿検査は有益であるため、

 

工夫して活用するという立場です。

 

 

血糖コントロールの指標として、血糖値とグリコヘモグロビン(HbA1c)値を

 

3か月に1回(春夏秋冬の4季に応じて)計測することにしているので、

 

尿糖との関連が把握できます。

 

つまり、尿糖の検出感度が低下しても、相対的な変化は十分に観察可能だからです。

 

 

高齢者に対して頻繁に採血をすることは、できるだけ避けたいと考えております。

 

もっとも、インスリン自己注射を実施している方に対しては、

 

自己血糖測定をしていただくことを原則とします。

 

 

幸いなことに、高円寺南診療所では糖尿病予備軍の早期発見・早期対策が功を奏し、

 

現状でインスリン使用例はほとんどありません。