日々の臨床 7月16日日曜日<臼蓋形成不全>

神経・精神・運動器

 

テーマ:臼蓋形成不全

   (意外な発見!慢性疼痛患者の股関節異常)

 

 

高円寺南診療所は、リウマチ専門医外来を柱の一つとしているので、

 

女性の整形外科疾患の診療経験は豊富です。

 

最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても

 

年齢とともに股関節症を発症してくることがあります。

 

 

近頃、頻繁に聴くようになったのは

 

<立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。>という訴えです。

 

これは、まだ変形性股関節症の初期症状です。

 

これらは、もともと股関節の症状であると気づくことが大切です。

 

 

股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるのですが、

 

正確な位置を理解している患者さんは少ないです。

 

股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。

 

しかし、こうした初期症状を無視していた方の多くは、

 

<その痛みが次第に強くなってきました>、

 

<その痛みが持続痛(常に痛む)するので通院が困難です>とか、

 

<夜間痛(夜寝ていても痛む)のため不眠傾向です>といって悩むことになります。

 

 

問診や診察などのあとで、股関節の可動域制限やX線写真をみて診断します。

 

これだけで多くの場合は治療を開始できます。

 

もちろん、比較的まれではありますが手術が必要な場合は

 

CTとMRIなどの検査のため提携医療機関に紹介しております。

 

 

患者さんの多くは女性ですが、その場合原因は発育性股関節形成不全の後遺症や

 

股関節の形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので

 

股関節症全体の80%といわれています。

 

 

高円寺南診療所は、変形性関節症や関節リウマチの他に、

 

医学界では治療困難な難病とされる(高円寺南診療所では難病とは考えていません!)

 

線維筋痛症という全身性機能性慢性疼痛の患者さんを多数診療しています。

 

この病気は機能性、つまり、検査等で異常が見いだされないものと認識されていますが、

 

ほとんどがストレートネック(より重症のスワンネックも含む)で、

 

さらに股関節異常(とくに、臼蓋形成不全)を見出すことがあります。

 

 

写真

さて、変形性股関節症の病気の進行についてですが、

 

ごく初め(前期関節症)では関節がきゃしゃであったり変形していたりするだけです。

 

しかし、関節症がすすんで初期関節症になると、

 

関節の隙間が狭くなったり(軟骨の厚さが薄くなる)、軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)します。

 

さらに進行期関節症、末期関節症となると、

 

関節の中や周囲に骨棘とよばれる異常な骨組織が形成されたり、

 

骨嚢胞と呼ばれる骨の空洞ができたりします。

 

最終的には体重がかかる部分(荷重部)の関節軟骨は消失し、

 

その下にある軟骨下骨が露出します。

 

股関節

引用:公益社団法人日本整形外科学会公式HPより

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hip_osteoarthritis.html

 

 

  以下は、日本整形外科学会のHPで推奨されている治療に関する記事の抜粋です。

 

<痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、

 

できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2,3回行っていただくと理想的です。

 

運動療法はその他の方法もありますが、

 

運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、

 

慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。>

 

 

高円寺南診療所では、水氣道®を推奨しています。

 

これは水中歩行を中心とする、温水プールでの団体的有酸素運動です。

 

これは全身運動ですが、股関節機能回復に有効なプログラムを充実させていますので、

 

ご興味のある方は、いつでもお声を掛けてください。