【心理】認知行動療法  HELP!力<27>

<第5ステップ> その2

 

第5ステップは「助けを求める人を決める」段階です。

 

自分が抱えている、今ある大事な問題について、

 

周囲のサポーターたちの誰に助けを求めるのが適切か、引き続き考えていきましょう。

 

複数の人の力を借りることも大きな助けとなるでしょう。

 

 

しかし、上のような考えを巡らせ、助けを求めることが苦しくなったり、

 

ためらわれることもあったりすると思います。

 

特に、きわめて個人的な問題の場合や、

 

もっと自分の苦しみをわかってほしい場合はそうです。

 

どんなに親しい間柄でも、親しいからこそ、打ち明けにくいこともあるのです。

 

 

臨床心理士は第一に、来談者の皆さんの「しんどさ」「苦しみ」に寄り添い、

 

受け止めることに努めます。

 

そのために、皆さんの心の中で、周囲で、

 

何が起こっているのかを皆さんがお話しできる範囲でお聞きしていきます。

 

事情をしっかり伺った上で、今の苦しみから脱していく方法を

 

ともに真剣に考えていきます。

 

もちろん、守秘義務がありますので、

 

お話したことが外部に漏れる心配はありません。

 

 

臨床心理士に相談する、カウンセリングを受ける、

 

というのは、「自分は病気なんだ」ということではありません。

 

第24,25回でお話ししたように、「自己スティグマ」、

 

つまり「こんな自分は周囲に受け入れられない(病気だ、変だ)というレッテルを

 

自分自身に貼ってしまうこと」によって自尊心や自己評価が下がり、

 

助けを求めることをためらわせるのです。

 

 

誰もが必ず人生の中でライフイベント、重大な問題にぶつかることがあります。

 

つい、「他の人にとっては大した問題じゃないだろう、こんなことで人に相談するのは…」

 

とためらう気持ちが起こるかもしれません。

 

しかし、自分と他人の悩み、苦しみの重さは天秤で測れるものではありません。

 

誰にでも弱点があって、たまたまそこに問題が発生したと思ってくださってよいと思います。

 

「自分が弱いから」ではありません。

 

 

臨床心理士は、「その人にとって」重大な問題である、

 

ということをよく理解している専門家なのです。

 

 

* 参考文献: 太田仁,2005,「たすけを求める心と行動」,金子書房

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子