診察室から 7月11日(火)<患者の皆様からのメッセージ・ボード創設(その1)>

テーマ:患者の皆様からのメッセージ・ボード創設(その1)

 

<ピア・カウンセリングについて>

 

 

高円寺南診療所のオフィシャルホームページをご覧くださっている皆様に

 

お知らせがあります。

 

 

高円寺南診療所の最大の看板は、患者の皆様だという考えについては、先週ご紹介した通りです。

 

 

たとえば、根本的な解決に向けての医師としてのアドバイスに対して、

 

「はい。…でも」と乗り気でなく、

 

まるで他人事のような反応の患者さんとのやりとりで

 

手詰まりを感じることがたびたびありました。

 

そのような場合に、同性で同年齢層かつ同じ病気の方の成功例のお話をさせていただくと、

 

一転して熱心に耳を傾けてくださることがありました。

 

こうした数々の例を通して、患者さん同士のもつ影響力が大きいことを学びました。

 

それが、ピア・カウンセリングとの出会いの端緒となりました。

 

 

皆様は、ピア・カウンセラーとか、ファシリテーターいう言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

 

今回はまずピア・カウンセリングとはどういうものなのかご紹介します。

 

 

ピアカウンセリングの「ピア」とは「仲間」「対等な立場の人」という意味です。

 

 

ピアカウンセリングとは、同じような立場や悩みを抱えた人たちが集まって、

 

同じ仲間としておこなうカウンセリングのことです。

 

以前は医療や福祉の分野で、障害を持った人たちの間で実践されていました。

 

現在は思春期の悩みやこころのケアが必要な人たちの間でも行われています。

 

しかし、これからは、慢性的な病気から難病に至るまで、

 

多くのことで困っている多くの患者さんの間でも

 

有効な取り組みになるのではないかと思います。

 

 

なぜか、というと、高円寺南診療所の患者の皆様同志が、

 

すでに自然発生的な、初歩的ピア・カウンセリングをはじめていたからです。

 

高円寺南診療所では、体と心の症状ばかりでなく

 

家庭や職場での社会適応が困難で苦しんでおられる方が少なからず通院されております。

 

そうした方々が、待合室など、ふとした切っ掛けで、

 

互いに同じ立場や体験をした仲間であったことに気づくことがあります。

 

このように同じ立場だからこそ分かり合える、

 

あるいは、こころの支えになることができるという

 

ピア・カウンセリングの基本に添う形でのご縁が自然に形成されていっています。

 

 

しかしながら、外来での待ち時間が長くならないよう、

 

一層配慮するようになってきてからは、自然発生的ピア・カウンセリングの場は、

 

水氣道の稽古や聖楽院でのレッスンなどに移行しつつあるようです。

 

そこでは、待合室より、一層、仲間意識が育まれやすい環境にあります。

 

このように、「同じ仲間」という意識を持つだけで、

 

解決に向けて開かずの門であると思い込んでいた関所の門を

 

スムーズに開くことができます。

 

 

また、ピア・カウンセリングで私たちは、

 

「機会があれば自分の問題を解決できる能力を持っている」と考えます。

 

そのためその人が自分の力で問題を解決できるように、

 

グループを通してサポートしていくことが目的になります。

 

専門家であるカウンセラーでさえ、来談者に代わって問題を解決するのではなく、

 

その支援を行っているのです。

 

 

したがって、望ましいピア・カウンセリングとは、

 

共感はするけれど個人的なアドバイスを与えない、

 

自分の思い込みで解釈をしない、その人の問題の結果責任は取らない

 

(つまり、その人の問題はその人の個人的な責任)

 

などの基本ルールについて十分に理解して実践できることが大切です。

 

 

ピア・カウンセリングの担当者をピア・カウンセラーといいますが、

 

職業的カウンセラーではないので、

 

専門家であるカウンセラー等の指導を受けておく必要があります。

 

いずれ、そのための環境整備をしたいと考えております。