日々の臨床 7月2日日曜日<片頭痛(その1)>

神経・精神・運動器

 

テーマ:片頭痛(その1)

 

 

片頭痛という名称の由来は頭の片側が痛むこととされています。

 

しかし、実際には4割近くの片頭痛患者さんが両側性の頭痛を経験しておられます。

 

ただし、高円寺南診療所を受診される片頭痛患者さんの7割以上は、

 

片側ですが、左右のいずれが痛むかは、発作のたびごとに異なります。

 

 

片頭痛は前兆の有無により「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」などに分けます。

 

前兆は、頭痛の前におこる症状でキラキラした光、

 

ギザギザの光(閃輝暗点)といった視覚性の症状が多くみられます。

 

その他、半身の脱力や感覚障害(しびれ感)、言語障害などの前兆もあります。

 

通常は60分以内に前兆が終わり、その後頭痛が始まります。

 

漠然とした頭痛の予感や、眠気、気分の変調などは前兆と区別して予兆といいます。

 

 

高円寺南診療所では、前兆・予兆について詳しく問診しています。

 

すると頭痛が起こる前に、首のあたりが凝ってくる、という訴えをしばしば確認します。

 

これは前兆というより予兆に近く、片頭痛特有ではなく、

 

筋緊張性頭痛の要素も加わっているのではないか、と考えています。

 

 

片頭痛発作は通常4~72時間続き、片側の拍動性頭痛が特徴です。

 

ただし非拍動性の片頭痛、両側性の片頭痛もあります。

 

頭痛のために日常生活に支障をきたします。

 

また、階段の昇降など日常的な動作によって頭痛が増強することも特徴です。

 

吐き気や嘔吐を伴うことが多く、頭痛発作中は感覚過敏となって、

 

ふだんは気にならないような光、音、臭いを不快と感じる方が多いようです。

 

 

片頭痛の診断は国際頭痛学会の診断基準を確認して行います。

 

日本では成人の8.4%、約840万人が片頭痛にかかっていると報告されています。

 

 

前兆のない片頭痛の診断基準(国際頭痛分類第2版、2004年)

 

A. B~D を満たす頭痛発作が5 回以上ある

 

B. 頭痛の持続時間は4~72 時間(未治療もしくは治療が無効の場合)

 

C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも2 項目を満たす

1.片側性

2.拍動性

3.中等度~重度の頭痛

4.日常的な動作(歩行や階段昇降などの)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける

 

D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1 項目を満たす

1.悪心または嘔吐(あるいはその両方)

2.光過敏および音過敏

 

E. その他の疾患によらない

 

 

高円寺南診療所では、E.その他の疾患によらない、という条件を重視しています。

 

頭痛診療に当たっては重大疾患の見落としを避けるように努めるのは、言うまでもありません。

 

心身両面にわたる丁寧な系統的診療が必要ですが、

 

血圧をはじめとするバイタルサインのチェックや、簡単な尿検査、

 

さらに頸椎のエックス線検査などは必ず実施するようにしています。

 

 

来週は、治療のお話をいたします。