血液・造血器の病気

 

テーマ:多発性骨髄腫

 

 

医学の進歩と共に、外来診療の重要性が増すにつれて、

 

高円寺南診療所をはじめて受診される患者さんの病気も、

 

いっそう多様性と複雑性を増す傾向にあります。

 

大学病院をはじめとする基幹病院の外来と大きく変わらない状況になりつつあります。

 

高円寺南診療所はチーム医療を実施しておりますので、高度に専門的な病気についても、

 

専門職員が無関心かつ無知であってはならない、と気持ちを新たに引き締めて取り組んでいます。

 

 

さて骨髄は血液を作る器官なので造血器です。多発性骨髄腫は血液・造血器の病気です。

 

とはいっても、症状が全身に及ぶので、全身の病気として扱われています。

 

多発性骨髄腫の特徴は骨髄で形質脂肪が腫瘍性に増殖すること、

 

その産物であるM蛋白という免疫グロブリンが過剰に生産されること、

 

その腫瘍が全身に及ぶことの3点にあります。

 

 

50歳以後、特に60歳以上に多いです。発症は緩徐で、骨痛や腰痛を初発症状とすることが多く、

 

腰椎圧迫骨折、長管骨の圧迫骨折、貧血で診断されることも多いです。

 

 

 

診断:①骨髄穿刺(異型形質細胞の増殖)、②血清・尿検査(M蛋白の検出、形質細胞の単クローン性増殖)にて診断確定

 

その他、頭蓋骨のX線所見で骨打ち抜き像、血中β2ミクログロブリン上昇

 

血清免疫電気泳動にてM-bow形成など

 

 

 

病態:多発性骨髄腫ではNF-kBが活性化しています。

 

   ⇒NF-kBの活性を阻害できるプロテアソーム阻害薬の可能性

 

   ALアミロイドーシスの合併

 

 

 

治療:一般的には65歳以上または移植適応のないものには化学療法、

 

   アルキル化剤(メルファランなど)により二次性悪性腫瘍が報告されています。

 

   シクロフォスファミドの副作用で出血性膀胱、骨髄抑制、肝・腎機能障害、脱毛などがあります。

 

 

   65歳以下で移植適応のあるものには導入化学療法に引き続いて移植療法(自家移植)を行います。

 

 

ただし、近年ボルテゾミブ(プロテアソーム阻害薬)が第一選択薬として用いられつつあります。

 

また、難治・再発例では、ボルテゾミブに加え、サリドマイド、レナリドミド(サリドマイド誘導体)、

 

ポマリドマイド、パノビノスタット(HDAC阻害剤)、エロツズマブ(SLAMF7抗体)、

 

カルフィルゾミブ(第2世代プロテアーム阻害剤)などの最近承認された新薬の使用も可能になってきました。

 

 

対症療法としては、高カルシウム血症に対して輸液およびループ利尿剤、骨病変や骨痛に対して

 

ビスホスフォネート製剤またはデノスマブが投与されることがあります。

 

 

 

予後:病期と治療効果によって異なります。生存期間は数か月から10年以上と様々ですが、

 

   新薬の登場により改善してきています。

 

   劇症型(LDL1,000IU / L以上、高カルシウム血症併発)では1年とされます。

 

   BJP(ベンス・ジョーンズ蛋白)骨髄腫は腎障害を起こしやすく予後不良であり、

 

   IgG骨髄腫は最も予後が良いです。

 

   血中アルブミンが低値で、β2ミクログロブリンが高値であるほど予後不良です。

 

 

注意:乏尿などを機に腎不全が進むので、水分補給を指導します。

 

   また易骨折性がみられるため、日常生活上、転倒したり、

 

   重いものを持ったり、無理な姿勢を摂ったりしないように指導します。

 

中毒・物理的原因による疾患、救急医学

 

テーマ:改正臓器移植法

 

 

1997年10月16日「臓器移植法」が施行されたことにより、

 

脳死後の心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸などの提供が可能になりました。

 

しかし、脳死後の臓器提供には、本人の書面による意思表示と家族の承諾を必要としており、

 

この意思表示は民法上の遺言可能年齢に準じて15歳以上を有効としていたため、

 

15歳未満の脳死臓器提供はできませんでした。

 

したがって、小さな臓器を必要とする体の小さな子供たちへの心臓や肺の移植は不可能で、

 

多額の募金を集めて海外に渡航移植をする子供が後を絶ちませんでした。

 

 

2010年7月17日に改正臓器移植法が全面施行され、

 

本人の意思が不明な場合には、本人の書面による意思表示が無くとも、

 

家族の承諾で臓器が提供できることとなりました。

 

これにより、15歳未満の方からの脳死での臓器提供も可能となりました。

 

つまり、年齢制限が撤廃されたため、

 

全ての年齢で臓器を提供することができるようになりました。

 

 

また、本人が書面上の許可をしていても、

 

家族が拒否すれば臓器移植は行うことはできません。

 

 

また、死後に臓器を提供する意思に併せて

 

親族に優先的に提供できる意思を書面により表示できるとした

 

親族優先提供」も2010年1月17日に施行されています。

 

 

私が問題とするのは、臓器は誰のものか、ということです。

 

自分の臓器の扱われかたが、自分の遺志ではなく、

 

家族とはいえ自分以外の他人に決定されてしまう、

 

ということについて疑問を抱かざるを得ません。

 

 

また、現代社会において家族とは何か、

 

ということも真剣に議論すべき課題ではないかと思います。

 

私は懺悔します。

 

懺悔が懺悔になっていなかったことを、懺悔します。

 

懺悔録は、2016年5月23日にドクトル飯嶋の配慮で、

 

やらかした事を振り返り、反省して次に活かすことをしないNogucciに

 

日々の行いを懺悔という形で振り返り、

 

しかも過度に重くならないようユーモアを交えて反省し、

 

記録を公開して次に活かせるようにとスタートしました。

 

しかしながら、Nogucciは初心を忘れ、惰性に陥っていました。

 

 

懺悔の機会があったにも関わらず、無自覚にやらかしてしまうことを繰り返し、

 

無自覚ゆえに反省することをせず、

 

指摘していただいた事にも耳を傾けず過ごしていました。

 

 

日々の振り返りと反省の場所を与えられていたことも忘れ、

 

「ネタが無いな~」としか考えていませんでした。

 

 

今まで怠慢やミスで、皆様にたくさんの迷惑をかけてきました。

 

Nogucciは生まれ変わって、1日1日を真剣に生き、

 

「あれ?今までと違う、変わったね。」と喜んでもらえるよう

 

努力、工夫を重ね、精進してまいります。

 

 

神経・精神・運動器

 

テーマ:骨粗しょう症の部分症状

 

<手指のへバーデン結節でお悩みの方に>

 

へバーデン結節についての相談が増えています!

 

 

質問1:どんな病気ですか?

 

指の第1関節(DIP関節)が変形し曲がってしまう病気です。

 

一般に40歳代以降の女性に多く発生します。手を良く使う人にはなりやすい傾向があります。

 

第1関節の背側の中央の伸筋腱付着部を挟んで2つのコブ(結節)ができるのが特徴です。

 

この疾患の報告者へバーデンの名にちなんでヘバーデン結節と呼ばれています。

 

注:ここでは、一般的な呼び名としてDIP関節(遠位指節間関節)を第1関節と呼んでいます。

 

 

診察で第1関節の変形、突出、疼痛があり、

 

X線写真で関節の隙間が狭く(関節間隙狭少化)なったり、

 

関節が壊れ(関節破壊)たり、変形した骨のとげである骨棘(こつきょく)があれば、

 

へバーデン結節と診断できます。

 

 

質問2:症状は?

 

示指から小指にかけて第1関節が赤く腫れたり、曲がったりします。

 

痛みを伴うこともあります。母指(親指)にもみられることもあります。

 

第1関節の動きも悪くなります。また、痛みのために強く握ることが困難になります。

 

第1関節の近くに水ぶくれのような透き通ったでっぱりができることがあります。

 

これをミューカスシスト(粘液嚢腫)と呼びます。

 

1

3 2-3

 

 

左)K.S 75歳女の右手中指第1関節  右)N.H 67歳女の左手母指第1関節

  関節裂隙狭小あり、          関節裂隙狭小あり、

  骨棘は軽度               骨棘(⇐)は右側で顕著

  関節変形軽度              関節変形中等度

  →へバーデン結節(軽症)      →へバーデン結節(中等症)

 

 

質問3:原因は?

 

不明です。遺伝性は証明されてはいませんが、母や祖母がヘバーデン結節ニなっている人は、

 

体質が似ていることを考慮して、指先に負担をかけないように注意する必要があります。

 

 

質問4:治療方法は?

 

第1関節が痛むときは安静にしましょう。

 

痛くても使わなくてはならないときは、テーピングがお勧めです。

 

普段でも指先に過度な負担が生じることを避けましょう。

 

 

保存的療法としては、局所の安静(固定も含む)投薬、局所のテーピングなどがあります。

 

急性期では少量の関節内ステロイド注射(特にトリアムシノロンは有効)なども有効です。

 

 

しかし、関節をまったく動かさないのは、かえってよくありません。

 

水氣道®などの水刺激(水温、水の粘性、水の抵抗など)は

 

関節に優しく保護的に働きかけますので是非、継続して参加してください。

 

 

保存的療法で痛みが改善しないときや

 

変形がひどくなり日常生活に支障をきたす場合は、手術を考慮します。

 

手術法にはコブ結節を切除するものや関節を固定してしまう方法が行われます。

 

 

第1関節の所見はX線(レントゲン)所見や手術所見から見ても変形性関節症です。

 

第2関節(PIP関節)に生じる類似疾患にブシャール結節があります。

 

関節リウマチとは異なります。

4

 

 

 

 ピアニストの皆様にお勧めの新刊

 

「点と魂と‐スイートスポットを探して」

 

小山美稚枝、梶山寿子・編著

 

KADOKAWA 2017年5月2日 初版発行 1,500円

 

 

この本は、新聞の書評を読んで閃(ひらめ)き、すぐに購入しました。

 

どう閃いたか、というと水氣道®の本質に触れるものを感じ、

 

また、聖楽院で実現しようとしていることの貴重な参考資料となるのではないか、と考えたからです。

 

 

率直な感想としては、著者ご本人というより、編著者の加工の匂いがやや強く感じられることと、

 

医学的な立場から言えば不適切な表現があり、少々気になる所ではあります。

 

しかし、それは近々出版社の編集部へ問い合わせることとして、

 

全体の内容の流れは、随所で十分納得のいくものでありました。

 

 

この本の序章に紹介されていますが、スイートスポットとは

 

球技で使われる最適打球点で<芯>のことだそうです。

 

これを使いこなすには「脱力」が不可欠です。

 

これがわからないと「脱力と集中」の秘訣をつかむことは難しいでしょう。

 

「感覚」の磨き方、からだの芯である「体幹」を鍛えることなどに触れていて、

 

ピアニストをはじめすべての演奏家の皆様にお勧めの一冊です。

 

なぜ、これが水氣道®に通じるのかは、

 

水氣道の初等修錬生(水氣道3級)以上の方であれば、簡単に直観できる内容だと思います。

今回から、聖楽院週例コンサート <行く週、来る週>というタイトルで

 

聖楽院週例コンサートについて、その週に開催したコンサートのご報告と、

 

次週のコンサートのご案内の記事を掲載することにいたしました。

 

近いうちに、出演者のコメントや近況報告を載せることができれば、

 

さらに充実したコラムになることでしょう。

 

 

行く週コンサート(6月14日)第11回は、

 

齋藤亜矢子さんを先任ピアニストとして基本プログラム(60分)で行いました。

 

観客として、ご近所にお住いの母娘のお二人が初めてご来場くださり、

 

男性のジャズ・ボーカリストお一方のみではありましたが、

 

聖楽院のコンセプトに沿った落ち着いた時間が流れでありました。

 

ドビュッシーは聖楽院のピアニストに好んで演奏されていますが、

 

亜矢子さんのアラベスク第1番、月の光は必聴です。

 

いずれお客様を集めて、あらためて演奏していただきたいと思いました。

 

 

 

来る週コンサート(6月21日)第12回は、

 

佐々木理之さんを先任ピアニストとする特別プログラム(90分)で行う予定です。

 

出演者はクラリネット小嶋慶子、チェロ藤岳音など充実しています。

 

 

とくに、ピアノ・クラリネット・チェロのトリオ・アンサンブルは、

 

どうぞ、お聴き逃しのないようお知らせ申し上げます。

 

演奏曲は、ベートーヴェン作曲、ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調作品11 「街の歌」です。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「三陰交(さんいんこう)」です。IMG_1690

場所は内踝から指4本上です。

 

 

このツボの効果は、まず「足の冷え」が取れることでしょう。

 

 

また、「生理痛」、「生理不順」、「子宮内膜炎」、「更年期障害」等の婦人科疾患に効果があります。「逆子」を治すつぼとして有名です。

 

 

お灸がよく効きます。

 

 

女性のためのツボといえます。

 

 

その他に「前立腺炎」、「前立腺肥大症」にも効果があります。

 

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

内分泌・代謝・栄養の病気

 

テーマ:糖尿病の薬物治療

 

糖尿病治療の目的は、糖尿病特有の合併症(網膜症、腎症、神経障害)と

 

動脈硬化性疾患の糖尿病の薬物療法は、まず食事療法と運動療法を2~3か月しっかりと続けても、

 

なお血糖コントロールの目標が達成できないときに始めるのが原則です。

 

 

高円寺南診療所では水氣道®を積極的に推奨し、

 

肥満症や糖尿病の方にも効果を挙げてきました。

 

薬物療法をはじめた方でも、水氣道®や食事療法により、

 

薬剤を徐々に減量することに成功している方はたくさんいらっしゃいます。

 

 

日本糖尿病学会では、第一選択薬は特定せずに

 

主治医の判断に任せるという立場をとっているので、

 

主治医の責任は極めて大きいことになります。

 

 

適応範囲が広いのは、1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬です。

 

これにはDPP-4阻害薬、GLP-1アナログがありますが、

 

高円寺南診療所では、GLP-1アナログが注射薬であるため、

 

経口剤であるDPP-4阻害薬を処方しています。

 

この薬は食欲を抑制し、体重増加を来さないというメリットがあります。

 

胃排出時間を延長させるため、食後の腹持ちが良くなります。

 

またインスリンの作用を妨げるグルカゴンの分泌を抑制するなどの好ましい特性があります。

 

 

しかし、その際にも、患者に肥満傾向があるか否かが、治療薬選択のカギになります。

 

多くは肥満傾向なので、その場合は空腹時血糖を測定します。

 

 

<肥満傾向がない場合>

 

空腹時血糖値がおよそ140mg/dL未満の場合

 

1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬(DPP-4阻害薬など)以外に、

 

2)インスリン非分泌薬や

 

3)血糖非依存性インスリン分泌促進薬を選択します。

 

 

2)のなかでαGI(αグルコシダーゼ阻害薬)は、糖質の吸収を遅延させます。

 

3)のなかで速効型インスリン分泌促進薬は、空腹時ではなく食後血糖を改善させます。

 

空腹時血糖値がおよそ140mg/dL以上の場合

 

日本人に多いインスリンの分泌不全が主たる病態であると考えます。

 

そこで、インスリン分泌を促進・増幅する作用のある薬剤を第1選択にしています。

 

1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬(DPP-4阻害薬など)以外に、

 

3)血糖非依存性インスリン分泌促進薬を選択しています。

 

3)はSU(スルフォニル尿素)類で、食後血糖ばかりでなく空腹時血糖を改善します。

 

 

<肥満傾向がある場合>

 

1)血糖依存性インスリン分泌増幅薬(DPP-4阻害薬など)以外に、

 

2)インスリン非分泌薬を用います。

 

肥満はインスリン抵抗性を高めるため2)の中で

 

チアゾリジンジオンなどインスリン抵抗性を改善する薬剤が有用です。

 

BG(ビグアナイド)類は、肝臓での糖放出を抑制し

 

インスリン抵抗性を改善します。また、SGLT2阻害薬は尿からの糖の排泄を促進します。

<第3ステップ (続き)

 

第3ステップは、「自力で解決できるか」「自分にどれだけの解決能力があるか」を検討する段階です。

 

この段階で問題になるのは、自分の解決能力を過大評価あるいは過小評価することです。

 

過大評価した場合は、問題解決に失敗したり、自力で頑張り過ぎて疲弊してダウンしたりする恐れがあります。

 

その結果、問題がもっと大きくなってしまうかもしれません。

 

過小評価した場合は、人に頼り過ぎて、自分の解決能力を伸ばすチャンスを失ったり、

 

人に依存し過ぎて迷惑をかけたりしてしまいます。

 

 

いずれの場合も、気づきと対応が遅れれば、人間関係にヒビが入ったりするかもしれません。

 

 

臨床心理士は、来談者の皆様の気づきを促し、

 

大切なサポート資源である人間関係を損なわずに活用できるよう、

 

また遅くとも、なるべく修正可能な段階で、

 

「自分で対応できること」や「人の助けが必要か」

 

といったことに気づけるようにサポートしていきます。

 

 

また言うまでもなく、臨床心理士は情緒的サポートをはじめ、

 

必要に応じて直接的にもサポートを提供していきます。

 

* 参考文献: 太田仁,2005,「たすけを求める心と行動」,金子書房

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 

 

心臓・脈管 / ・泌尿器の病気

 

テーマ:急性腎障害(AKI

 

<病気の定義が不明確だと救命できないわけ>

 

 

近年の高齢化や糖尿病患者の増加により、

 

手術後や造影剤検査後などの急性腎不全が増加しています。

 

さらに、集中治療室などの救急医療の現場において、

 

急性腎不全は発生頻度の高い病態です。かつ、生命予後を増悪させる危険因子です。

 

 

しかし、1990年代から最近に至るまで救命率は改善されていません。

 

その一因として問題になっていたのは、

 

従来の急性腎不全(ARF)の定義や分類が統一されていないために

 

質の高い研究が困難であったためであることが指摘されています。

 

つまり、早期に診断できる確かな基準がないと手当が始められない、というわけです。

 

 

そこで、急性腎障害(AKI)の診断基準の作成により、

 

急性腎障害に対して早期に治療介入できるようになりました。

 

しかし、何事も予防に勝る治療はありません。

 

 

急性腎障害の診断:

超音波検査では腎サイズは正常あるいはやや腫大を認めるのみです。

 

KDIGOのAKI定義

 

以下のうち、いずれかに該当すればAKI

 

1)48時間以内に、血清Cr値が0.3mg/dL上昇した場合

 

2)血清Cr値が、それ以前7日以内に判っていたか予想される基準値より1.5倍の増加があった場合

 

3)尿量が6時間にわたって<0.5mL/kg/時に減少した場合

 

 

AKIN病期(KDIGO分類)

   病期2は、血清Crが基礎値の2.0~2.9倍、尿量は12時間以上で<0.5mL/kg/時

 

 

RIFLE分類:

AKIを「Risk, Injury, Failure, Loss, ESRD」に分類し、AKIN分類ではステージ1~3に分類します。

 

 

尿中L-FABP:

腎疾患のバイオマーカー。AKIの早期診断・腎障害の重症リスク評価に有用ですが、

 

原因(腎前性・腎性・腎後性)を鑑別することはできません。

 

 

最も確実なAKIの予防法は、

 

2012年に急性腎障害(AKI)の診断基準が標準化されて次第に明らかになってきたことで、

 

1)腎毒性薬剤を可能な限り使用しないこと、

 

2)造影剤腎症の予防についてはガイドラインを活用する

 

3)血行動態を適正に管理して十分な腎血流を確保すること

 

なお、虚血によるAKIの予防に関しては、等張性晶質液の投与が推奨されています。

 

 

腎代替療法(RRT):

我が国では約8割が持続的血液濾過透析(CHDF)が行われています。

 

ただし、治療導入開始基準は未確立で、早期介入が予後改善をもたらすかどうかは不明です。

 

心腎症候群(CRS)type3:急性腎障害によって引き起こされた心機能障害です。

 

 

肝腎症候群:

重症肝疾患が原因となる腎前性腎障害で経過とともに急性尿細管壊死、

 

尿中Na排泄は低下を認めます。

 

 

運動後AKI(ALPE

運動後に生じる急性腎障害で、背部痛の頻度が高いです。

 

腎性低尿酸血症患者や無酸素運動で発症しやすいが、尿の色などには変化がありません。

 

また尿量が減少しない非乏尿性の急性腎障害なので発見が困難です。

 

血清尿酸値が低い方は、水氣道®などの有酸素運動がおすすめです。