日々の臨床 6月28日水曜日<口内炎>

消化器系の病気

 

テーマ:口内炎

 

口内炎(こうないえん)とは、口の中や舌の粘膜に起きる炎症症候の一つです。

 

見た目からは「カタル性口内炎」、「アフタ性口内炎」、「潰瘍性口内炎」に分類される。

 

また痛みの有無から有痛性口内炎無痛性口内炎に分類されます。

 

 

症状:代表的な「アフタ性口内炎」は口内粘膜に直径5ミリ程度の灰白色斑(アフタ)をつくり痛みを伴います。

 

通常は一週間程度で自然に完治するが、複数箇所に口内炎が発症する重度のものでは

 

痛みのため摂食不能になりやすいです。

 

また、口の中が清潔でない場合は口内炎の発症時に口臭を伴うことがあり、

 

悪化すると滲み出るように出血します。

 

 

診断:鑑別診断が必要です。基礎疾患が疑われる場合はその検査が必要です。

 

アレルギー内科やリウマチ(膠原病)内科の専門医のように、

 

全身を診る内科医であれば、無痛性口内炎は全身性エリテマトーデスを疑います。

 

有痛性口内炎ではベーチェット病の可能性があり、

 

専門医でなければ、アフタ性口内炎等との区別は難しいです。

 

 

原因

① アラキドン酸代謝作用亢進・・・再発性アフタ性口内炎(最も多い)

 

② 細菌・ウイルス感染・・・感染性口内炎

 

現在のところメカニズムについては正確には分かっていない。

 

免疫学的異常が関わっているのではないかという有力説もあります。

 

免疫が関与するということは、自律神経やホルモンバランスも

 

重要な因子であることが示唆されます。

 

高円寺南診療所では、再発性の口内炎に対しては、

 

栄養食事管理、運動指導、ストレスマネジメントが必要だと考えています。

 

〇偏食による鉄分やビタミンの不足

 

〇ストレスや睡眠不足

 

〇不正咬合や、歯ブラシなどによる粘膜への物理的刺激(口内を噛むなど)

 

〇唾液の不足、口腔の乾燥

 

〇口腔内の不衛生、プラーク(入れ歯かす)の付着した入れ歯の装着

 

歯磨き粉成分による粘膜の損傷(ラウリル硫酸ナトリウムなど)

 

また、口内炎になりやすい体質の人(食物アレルギーの人や粘膜の薄い人)もいる。

 

さらに、ビタミン欠乏症の症状として口内炎が現れることもある。

 

 

 

治療:歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科・皮膚科の他に一般内科を受診する方が多いものと思われます。

 

ただし、口内炎は、全身的疾患に起因することがあるので、

 

アレルギー内科・リウマチ膠原病内科などの専門科による治療が必要です。

 

 

高円寺南診療所では、まず生活リズムや生活習慣を確認することからはじめます。

 

ストレスに過敏に反応する方、アレルギー体質の方、食生活に偏りがある方に多く見出されます。

 

 

高円寺南診療所では、再発性の口内炎の相談が多いので、

 

生活・食事指導のあと、①ビタミン剤、②漢方薬、③その他の局所治療(軟膏・パッチ)の順に治療を重ねていきます。

 

全身管理をアドバイスしないと、再発しがちだからです。

 

 

ビタミン剤:ビタミンBの不足が原因の口内炎を治療するときに用いられます。

 

主に内服薬として処方するが、注射や点滴などを用いて投与する場合もあります。

 

アフタ性口内炎の場合、ビタミンB12療法がシンプルで安価で低リスクであるというエビデンスがあります。

 

 

漢方薬:安中散、半夏瀉心湯、立効酸、黄連湯などが用いられます。

 

 

軟膏:ステロイド、もしくは抗炎症薬を含む軟膏を患部に塗布する方法。

 

アフタの部分を物理的刺激から軟膏の基剤で保護する意味もあります。

 

 

パッチ(貼り薬):患部に、軟膏と同じく抗炎症薬を含んだパッチを貼る方法。

 

軟膏と同様、アフタの保護も期待できます。

 

 

その他:上記にあげた治療法以外にも患部の洗浄やトローチなどを用いた治療法