日々の臨床 6月21日水曜日<胆嚢(たんのう)ポリープ>

消化器系の病気

 

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胆嚢ポリープの大部分はコレステロールポリープです。

 

通常は無症状で経過します。

 

コレステロールポリープは多発する傾向があります。

 

胆嚢ポリープを見つけたら、まずは超音波検査(腹部エコー)で経過観察をします。

 

以下は、高円寺南診療所で今週撮影した29歳女性のデータです。

 

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<図1>腹部超音波画像

左)肝臓と右腎臓     

 脂肪肝はありません。

 

右)胆嚢(たんのう)とポリープ

 

 

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<図2>腹部超音波画像

(パワードプラー法 併用)

左)通常の画像           

胆嚢ポリープの大きさ10.1×6.2mm            。

1㎝を超えるポリープです。

 

右)パワードプラー法

パワードプラーで、ポリープとその周辺に異常血流は見られません

 

 

ポリープの大きさは1㎝を超えますが、異常血流を認めないため、

 

胆のう癌である可能性はそれほど高くありません。

 

しかし、数か月前より大きくなっているため、最寄りの大学病院へ紹介した症例です。

 

 

直径1㎝以上では胆のう癌の可能性もあるため胆嚢摘出術を考慮します。

 

また広基性病変では胆のう癌を考え、肝床部を含めた胆のう摘出術を考慮します。

 

胆のう癌の可能性が高い場合は、開腹下胆のう摘出術(開腹しての手術)を選択します。

 

必要に応じて肝葉切除+リンパ節廓清を加えます。

 

ただし、ラパロスコープ(腹腔鏡下)つまり、腹壁に穴を開けての遠隔手術は、行うべきではないとされています。

 

 

日本では、胆のう癌の60~70%に胆石を合併しています。

 

とくに胆嚢進行癌では結石を伴うことが多いです。

 

ただし、胆石症患者における胆のう癌合併率は約1%です。

 

また胆のう癌の9~15%に胆管癌を合併します。

 

胆のう癌の発生と関連する疾患には膵・胆管合流異常症があります。