日々の臨床 6月14日水曜日 <自己免疫性膵炎(改訂版)>

消化器系の病気

 

テーマ:自己免疫性膵炎(改訂版)

 

<IgG4関連疾患について>

 

自己免疫性膵炎とは、発症に自己免疫機序の関与が疑われる膵炎です。

 

一般の膵炎による腹痛よりも、膵腫大による閉塞性黄疸や糖尿病症状など

 

随伴する膵臓外の病変が特徴的です。

 

 

近年、全身性疾患(IgG4関連疾患)の膵病変であると考えられるようになってきました。

 

IgG4とは、血液中の免疫グロブリンの一種で、この病気では血液中のIgG、

 

とりわけIgG4という成分濃度が上昇します。

 

 

このように近年の日本人医師の先駆性には、目を見張るものがあります。

 

主に日本が情報を発信してきた新しい疾患概念で、

 

全身性疾患としての考え方が国際的にも確立されつつあり、

 

注目されている疾患の一つにIgG4関連疾患があります。

 

 

疾患分類では、免疫・アレルギー性疾患・膠原病・膠原病類縁疾患などの括りですが、

 

なにしろ全身性疾患であるため、なかなか全貌が明らかにならず、

 

各科でバラバラに対応されているのが現状です。

 

 

高円寺南診療所はアレルギーやリウマチを専門としていますが、

 

最近の医学の先端領域での発見は、ほとんどがこのカタカナ専門領域なので、

 

守備範囲は広がる一方です。

 

 

この病気の説明は少し難しいです。一言でいえば、全身諸臓器の慢性炎症です。

 

少し詳しく言えば、リンパ球やIgG4陽性形質細胞が全身諸臓器に著しく浸潤し線維化を推し進め、

 

臓器腫大や結節・肥厚性病変などを認める病態です。

 

 

病変は、膵臓、胆管など消化管付属臓器、消化管、肺、肝臓、腎臓などの重要臓器、

 

涙腺・唾液腺、甲状腺、前立腺、乳腺、中枢神経系の他、後腹膜、リンパ節、皮膚など

 

多臓器にわたりますが、単一臓器の場合もあります。

 

 

IgG4関連自己免疫性膵炎、IgG4関連Mikulicz病、IgG4関連腎症、IgG4関連硬化性胆管炎、

 

IgG4関連眼疾患、IgG4関連呼吸器疾患などの臓器別の診断基準があり、

 

 

高度な専門性を要します。

 

 

現代医学は、臓器別専門医療では対応できなくなりつつあります。

 

全体を診る、全身を把握することができる、しかも薄っぺらくない高水準の総合医が、

 

必要とされていることの一端をお伝えできたかと思います。

 

 

<高円寺南診療所方式>が全面稼働する時代になったのを実感しております。