日々の臨床 6月12日 月曜日<熱中症>

中毒・物理的原因による疾患、救急医学

 

テーマ:熱中症

 

熱中症対策のため、梅雨明けの猛暑を迎える前に、水氣道に参加して、対処法を体験しましょう!

 

<とくに高齢者の熱中症にご注意!>

 

熱中症とは、諸熱環境による諸症状を呈するもののうち、

 

他の原因疾患を除いたものとされます。

 

 

対処の遅れにより簡単に重症化するため、予防や、異変に早期に気づき、

 

適切な対処を行うことが大切です。水氣道は、心身の異常への気付きを促します。

 

 

近年、高齢者の日常生活中の発症(非労作性熱中症)が増加していますが、

 

高齢者では体温調節機能が低く、重症化率、死亡率が共に高いので問題になっています。

 

 

熱中症は梅雨明け前後の気温上昇時に発症リスクが最大になり、

 

暑さが続くにつれて高齢者患者の割合が増えていきます。

 

梅雨明けの猛暑などの暑さに身体が慣れてしまうと、

 

かえって発症数や死亡数が増えてきます。水氣道は、体温調節機能を向上させます。

 

 

熱中症は屋内でも発症します。

 

特に高齢者では非労作性熱中症が多く、

 

発症予防のためにはエアコンなど空調設備による適切な室内温度調節が重要です。

 

 

高齢者は、口渇中枢の機能低下のため、脱水症になりやすく、

 

腎機能障害もきたしやすいので、口渇がなくても水分補給が必要です。

 

 

水分補給には電解質(ミネラル)も含まれる経口補水液が最も適しています。

 

ただし、スポーツドリンクはお勧めいたしません。

 

たしかに、熱中症発症予防には有効ですが、糖質が過剰であり、

 

大量摂取によるケトーシスが発生しやすくなります。

 

ケトーシスとは、糖質および脂質の代謝障害により、

 

体内のケトン体が異常に増量し、臨床症状を示す状態でケトン症とも呼ばれます。

 

 

 

《 熱中症の重症度分類と対処法 》

 

 

Ⅰ度(熱痙攣、日射病、熱失神):

 

めまい、立ちくらみ、生あくび、大量発汗、筋肉痛、

 

こむら返り<意識障害は生じない段階>

 

 

対処法:

 

①現場から冷所に移動・体表冷却、②水分、ナトリウム経口摂取

 

全身に微温湯または室温水を噴霧し、扇風機で蒸発させて気化熱を奪う。

 

 

 

Ⅱ度(熱疲労):

 

頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力・判断力低下

 

 

対処法:速やかに医療機関を受診する

 

 

 

Ⅲ度(熱射病):

 

中枢神経障害、肝・腎機能障害、血液凝固障害(DICは最重症)

 

高体温(≧38.5℃)、頻脈、意識障害、けいれん発作

 

 

対処法:

 

緊急に医療機関へ搬送(場合によっては、入院・集中治療)

 

深部体温(鼓膜温、直腸温など)39℃となれば冷却をゆるめ、

 

38℃まで低下したら停止する。細胞外液輸液を行う。

 

深部体温>42℃で組織細胞の崩壊が始まり、臓器障害も併発してくる。