日々の臨床 6月8日 木曜日 <スギ花粉症の減感作療法(アレルゲン免疫療法)>

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:スギ花粉症の減感作療法(アレルゲン免疫療法)

 

<高円寺南診療所の自然志向の視点から>

 

 

6月に入り、さすがのスギ花粉症も今年は終焉を迎えました。

 

それにもかかわらず、スギ花粉症の減感作療法

 

(アレルゲン免疫療法)をテーマにしたのには理由があります。

 

 

スギ花粉症のアレルゲン免疫療法(特異的減感作療法)は

 

スギ花粉飛散時期には新たに治療を開始できないからです。

 

逆に言えば、初回治療のタイミングは、スギ花粉飛散時期を過ぎた今頃の季節からだからです。

 

 

アレルゲン免疫療法(特異的減感作療法)は

 

原因抗原エキスを少量から投与していき、次第に増量して適応させていく治療法です。

 

 

さて、高円寺南診療所は、ホームページで、「自然志向の医療が原点です。」

 

とアピールしていますが、本質を伝え、正しく理解していただくことは容易でないようです。

 

そこで、折に触れて、具体的な事例に基づいて、

 

根気よく繰り返し説明させていただくことにしております。

 

実は、アレルゲン免疫療法も高円寺南診療所の自然志向の医療の一環なのです。

 

 

これまでスギ花粉症の治療法といえば、わが国では対症療法が主流でした。

 

その理由は、従来型のアレルゲン免疫療法は、皮下投与によるため、

 

頻度は少ないもののアナフィラキシー等の重篤な副作用を発現する可能性があり、

 

長期間にわたる注射による痛みなど、患者への負担が大きいことから、

 

限られた医療機関でのみ実施されるにすぎませんでした。

 

高円寺南診療所の「自然志向」の第一は、安全性です。

 

有効性が高くても、安全性が保障できないものは、

 

高円寺南診療所の「自然志向」に反するために導入が困難でした。

 

 

これに対して、アレルゲン免疫療法とは、対症療法とは異なり、

 

病因アレルゲン(病気の原因となるアレルギー誘発物)を投与していくことにより、

 

アレルギー疾患の自然経過を改善させることが可能な方法です。

 

ここで、高円寺南診療所の「自然志向」の第二である、疾患の自然経過を改善させる

 

ことに通じるのです。

 

 

いずれにしても、アレルゲン免疫療法は、

 

アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法です。

 

有効性、安全性、使用性等の点で舌下投与であるアレルゲン免疫療法は

 

高円寺南診療所の「自然志向の医療」に叶った方法であると考えています。

 

 

本邦初のスギ花粉症に対する舌下投与によるアレルゲン免疫療法薬はシダトレン®です。

 

この薬剤は、<本剤に関する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち、

 

本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師のもとで処方・使用すること>とされています。

 

 

私はアレルギー専門医としての資格と、

 

本剤に関する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち、

 

本剤のリスク等について十分に管理・説明でき経験を持っていますが、

 

それだけでは処方が認められません。

 

講習会受講と修了試験に合格して専用の資格を、

 

以下の通り登録してはじめて、処方が可能となるのです。

 

スギ花粉舌下液 / シダトレン®受講修了医師番号:1055244

 

シダトレン®処方医資格取得日(2015年1月29日)

 

 

注意点を一つ述べます。重症の気管支喘息の方には、

 

本剤投与により喘息発作を誘発するおそれがあるため、禁忌となります。