予約待ちの皆様が急増し、ご迷惑をおかけしました。

 

少しでもスムーズに予約いただけるように、

 

以下の時間に治療枠を増設します。

 

火曜日

午前10時~

午前11時~

今回は臨床で使っているツボ「⑩ 天枢(てんすう)」を見ていきましょう。

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臍から指3本分外側にあります。

 

 

 

腸の動きを調整して、便秘を解消し体の調子を整えます。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

内分泌・代謝・栄養の病気

 

テーマ:糖尿病治療薬の併用療法

 

 

症例:90歳の男性。最近、3ヶ月で体重が6㎏減少し、夜間頻尿もあり来院。

 

30年前から2型糖尿病があり、糖尿病専門医からグリクラジト(SU類)と

 

ボグリボース(α-GI)の長期処方を継続してきた。

 

 

この患者さんの服薬情報は、『お薬手帳』によるものです。

 

高齢で耳が遠く、足腰が不安定であるにもかかわらず、一人暮らしで頑張ってきた方です。

 

それが、やむを得ず近所に住む縁者の協力の下、近所の内科医に転医し、

 

インスリングラルギン(インスリンアナログ持続型溶解)1日1回皮下注射と

 

経口血糖降下薬の併用療法を導入することになったとのことでした。

 

 

ご相談は、インスリンは続けているが、

 

内服薬は気分が悪くなるため中止したところ、

 

空腹時血糖が230mg/dL,HbA1c11.8%と悪化してしまったので、

 

何とかしてほしい、ということでした。

 

 

この方の身長は162㎝、体重48㎏とのことで、体格係数BMIを算出すると18.3で、

 

肥満傾向はおろか、むしろ痩せが明らかでした。

 

また、空腹時血糖が140mg/Lであることから、

 

SU類、DDP-4阻害薬、GLP-1アナログといった経口血糖降下薬がラインアップされます。

 

糖尿病専門医から処方されていたグリクラジト(SU類)はこれに一致しますが、

 

ボグリボース(α-GI)は肥満傾向にあるか、

 

肥満傾向が無い場合で空腹時血糖が140mg/L未満の場合に選択するので一致しません。

 

 

そこで、グリクラジト(SU類)に、DDP-4阻害薬もしくはGLP-1アナログを

 

併用していただくことを検討します。

 

SU類は、速効性インスリン分泌促進薬と共に血糖非依存性インスリン分泌薬に分類されるのに対し、

 

DDP-4阻害薬およびGLP-1アナログは、いずれもインクレチン関連薬であり、

 

血糖依存性インスリン分泌増幅薬に分類されます。

 

作用機序の異なるものを組み合わせることにより、

 

治療効果を高めることが期待できるからです。

 

 

ただし、ここで難問があります。

 

インクレチン関連薬はSU類と併用する場合には低血糖に注意し、

 

可能な限り血糖自己測定を行うことが望まれるからです。

 

 

そこで、SU類は選択せずに、同じく血糖非依存性インスリン分泌薬である

 

速効性インスリン分泌促進薬を選択することを提案し、

 

近医での処方をお勧めしたところ、血糖コントロールが改善した模様です。

 

 

このように、今日の糖尿病治療薬の併用療法薬の選択は、あたかもパズルを解くような、

 

あるいは連立方程式を解いているときのような感覚があります。

心臓・脈管 / ・泌尿器の病気

 

テーマ:腎機能低下で糖尿病の治療薬が効かない!

 

 

糖尿病は初期のうちから腎障害を引き起こすことは良く知られています。

 

事実、糖尿病の三大合併症の一つが、糖尿病性腎症です。

 

そこで、実に悩ましいことには、腎機能が低下するにつれて、

 

次第に効かなくなく糖尿病の治療薬(血糖降下薬)があるということです。

 

 

その代表はSGLT2阻害薬です。

 

この薬は比較的最近の経口薬(のみぐすり)で、

 

いわゆる糖尿病専門医が積極的に使いたがる薬のようです。

 

75歳以上では慎重投与すべきことが、

 

「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2016年5月)

 

で改訂されています。ちなみに高円寺南診療所ではこの薬を処方していません。

 

 

SGLT2阻害薬は、インスリン非分泌系の血糖降下薬の一つで、

 

尿糖排泄を促進することで血糖を下げるものです。

 

尿糖増加に伴い体重減少が期待されます。

 

しかし、尿糖が増えると尿路および性器感染症のリスクが高まります。

 

また、この薬を使うと、外来での尿糖チェックは無意味となります。

 

また、1,5⁻AGなどの血糖コントロールの指標が使えなくなります。

 

 

生活習慣病としての糖尿病(2型糖尿病)における

 

初期治療の基本は食事療法と運動療法です。

 

高円寺南診療所で開発し継続して活動している水氣道®を定期的に続けていると、

 

肥満の軽減(減肥)および持続的かつ安定した血糖降下が期待できます。

 

これを3ヶ月継続しても血糖コントロールが不十分な場合に、経口血糖降下剤を併用します。

 

 

使い分けの第一は、患者さんに肥満傾向があるか無いか、ということです。

 

 

SGLT2阻害薬は肥満傾向のある糖尿病患者に用います。

 

なぜかというと、

 

低体重の患者では体内のエネルギーバランスがマイナスに傾くことによって、

 

脂肪分解が亢進するのですが、

 

血中ケトン体も増加して尿ケトン体が陽性になることがあるので、

 

病態把握が容易でなくなります。

 

 

なぜ、ガイドラインで高齢者への投与に注意を喚起したのかというと、

 

この薬は、浸透圧利尿によって脱水を来しやすいのですが、

 

高齢者では口渇感を感じにくいため脱水による脳梗塞が生じやすくなるからです。

 

また、脱水は高血糖高浸透圧性非ケトン性症候群のリスクにもなります。

 

 

SGLT2阻害薬の最大の問題点は、腎機能低下により効果が減弱することです。

 

肥満傾向の糖尿病患者は腎機能低下が進行しやすいので、

 

長期処方の傾向がある中核病院の糖尿病専門医が

 

SGLT2阻害薬を安易に処方することには賛成しかねます。

 

今月のテーマ:水氣道の、いつ・どこで・誰と・どのように

 

 

水氣道の<いつ>について。

 

 

まず、水氣道は<>から始めることができるのでしょうか?

 

水氣道は、集団行動がとれる年齢になったら、始めることができます。

 

集団行動とは一定の組織・集団が、同一の目標の下に、規律のある行動を取ることです。

 

統制(集団行動は、一般的には児童とくに学童が、

 

学校体育等の初期の授業で実施されることが多いです。

 

これは<気をつけ>の姿勢、<前へ習え>の整列などのから始まり、

 

人員点呼等もあります。集団を目的地にまで円滑に進めるには必要な行動とされます。

 

ですから、水氣道入門の年齢の下限も、将来的には、

 

集団行動をとれる、おおよそ学童期を想定しています。

 

しかし、現時点での受け入れは、18歳以上としています。

 

それは、水氣道の稽古施設の使用条件に年齢制限が設定されているためです。

 

たとえば、新宿の東京都健康プラザ<ハイジア>会場の室内温水プールを使用するには、

 

年齢が18歳以上という条件が付されています。

 

 

つぎに、水氣道は<いつ>から始めたら良いでしょうか?

 

水氣道の初参加は、フィットネス・チェック(体組成・体力検査)の結果、

 

一定の条件に叶っていれば、年間を通して、どの季節からでも始められます。

 

まれに、<基礎体力不十分>と判定される場合は、

 

春季(概ね4月以降)に開始できるように、メンテナンスを開始します。

 

水氣道では年末の12月から翌年の2月までの3か月間の稽古を《寒稽古》と呼んでいます。

 

9月までに稽古を始め最低週1回以上の稽古を続けられた方は、

 

初年度の《寒稽古》を立派にこなしています。

 

寒稽古》を立派に成し遂げた参加者は、翌年の4月に昇級できる有力候補になります。

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:ジフテリア

 

 

予防接種で予防できる病気

 

 

ジフテリアは、患者の咳などにより、人から人に感染します。

 

日本では1999年以来、患者報告はありません。

 

しかし、ロシア、東ヨーロッパに長期間行く人におすすめするワクチンです。

 

ジフテリアワクチンは1968年(昭和43年)から始まった

 

3種混合ワクチン(ジフテリア、百日せき、破傷風)に含まれています。

 

 

定期の予防接種で2種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)を12歳の時に受けていれば、

 

20代前半くらいまでは免疫がありますので、それまでは接種は不要です。

 

 

その後は、1回の追加接種で10年間有効な免疫がつきます。

  

消化器系の病気

 

テーマ:S状結腸軸捻転症

 

 

<キリキリとお腹が痛く、吐き気を伴う、あるいは吐いてしまった>という、

 

だれでも経験したことがあるような症状は、初診の患者さんに多く見受けられます。

 

 

このような場合に大切なのは、患者さんのお腹が張っているかどうか、

 

脱水していないかどうか、腸管が閉塞していないかどうか、がポイントになります。

 

 

急患の患者さんは、自分の症状について嘘はおっしゃらないものですが、

 

より大切な症状に気づかない、あるいは、そこまで気が回らないことがしばしばです。

 

 

まず、表情を拝見し、それから診察ベッドに寝ていただき、お腹を丁寧に診させていただきます。

 

腹壁に冷えがあるかどうかも大切です。

 

このとき、すでに腹部が膨満していれば、

 

そのことをご指摘させていただくのですが、それでもピンと来ない方がいらっしゃいます。

 

たいていは腸管のガス、場合によっては水、まれに血液ということさえあります。

 

 

次に聴診し、腸管の動きの有無をチェックしてから、

 

立位と横臥位の単純エックス線検査をします。

 

 

腸管のガス像により、小腸のガスなのか大腸のガスなのか、

 

はたまた胃にもガスがたまっているのかどうかも簡単に確認できます。

 

 

ほとんどが癒着性イレウスと呼ばれるもので、内科的な治療で治癒します。

 

しかし、<痛みがあるので痛み止めを!>と考えるのは無理もありませんが、

 

診断が確定するまでは原則として用いないことが鉄則です。

 

 

絶飲食を指示することがありますが、腸管ガスが顕著であれば、

 

消化管ガス駆除剤が役に立つことが多いです。

 

何よりも大切なのは、症状の原因を理解していただくことです。

 

心身医学では、腸脳相関の研究が進んでいますが、

 

<根拠のない疑問や不安>から<根拠のある納得や安心>に転換できるだけで、

 

お腹の痛みが楽になることがあります。

 

 

イレウスの中でも複雑性(絞扼性)イレウスには特段の注意を喚起しなければなりません。

 

これは、腸間膜を走行する血管の血流障害により、腸管壊死に至り、腸管閉塞を来せば、

 

急激に病状が悪化して緊急手術を要することがあるからです。

 

 

高円寺南診療所では、腹部単純エックス線で、拡張したS状結腸を発見することがあります。

 

 

S状結腸軸捻転症を疑うコーヒー豆徴候が出現しているからです。そのような場合は、

 

消化管ガス駆除剤を処方し、自宅でこれを内服していただき、

 

入浴(シャワーではありません!)していただいた後、

 

温かくしたまま休んでいただきます。

 

もちろん、軽快しない場合は、救急車を呼ぶように、予めお伝えしています。

 

しかし、30年近く、緊急手術はおろか、救急搬送に至ったことは全くありません。

 

 

むしろ<痛みがあるので、早く痛み止めの注射を!>

 

と感情的に医師に迫るようなタイプの方は

 

<根拠のない疑問や不安>から脱却できないままですので、

 

緊急手術となる可能性が高まるのではないかと心配しています。

 

血液・造血器の病気

 

テーマ:多発性骨髄腫

 

 

腰が痛む場合、皆様は日頃どうなさっていますか?

 

 

整形外科(医師)をはじめ接骨院(柔道整復師)、

 

鍼灸マッサージ院(鍼師・灸師・あん摩マッサージ師)、

 

整体院(整体師は俗称、無資格)など腰痛を扱う窓口は様々です。

 

 

腰痛ばかりでなく骨折が初発症状であれば、整形外科を受診することでしょう。

 

とりわけ腰痛圧迫骨折、長管骨の病的骨折があればなおさらでしょう。

 

 

ただし、貧血や点状出血、腎障害、高カルシウム血症を伴う場合があります。

 

発症がゆっくりしているので、早期には発見されにくいため内科受診も大切です。

 

エックス線で骨折の他に溶骨性変化(骨の融解現象:骨打ち抜き像)を認めることがあります。

 

 

骨髄で形質細胞が腫瘍性に増殖し、それがM蛋白という物質を生産する

 

全身性腫瘍性疾患があり、これが多発性骨髄腫です。

 

そのため、正常な免疫グロブリンの産生が抑制されてしまいます。

 

診断のためには血清・尿検査でM蛋白を証明したり、

 

骨髄穿刺をしたりして異型形質細胞の増殖を確認します。

 

 

この病気の重症度(病期)は、血中の2種のタンパク質

 

(アルブミン、β2ミクログロブリン)のみで3期に分類されます。

 

 

生存可能期間は、数か月から10年以上と様々ですが、

 

これは病期と治療効果、合併症の程度などによります。

 

最近では、新薬(ボルテゾミブ、レナリドミドなど)の登場により改善しています。

 

ですから早期発見が決め手になります。

 

 

多発性骨髄腫は50歳以後、特に60歳以上に多く、

 

日本での死亡者数は年間4000人前後で、特に高齢者で増加しています。

 

最近、ちまたで<腰痛の治し方教えます>などという表示を見かけます。

 

こうした無責任な看板は、無知な人にとっては、とても魅力的なことでしょう。

 

しかし、安易に信じてしまうのは、このように、とても危険なことです。

 

第114回日本内科学会総会に参加して(その2)

 

 

医師という職業は、弁護士等とは違い社会的に確立した

 

Specialty(専門家)ではないと考える理由について述べてみようと思います。

 

 

まず、私の日常の一端をご紹介いたしましょう。

 

私は、自分の職業を尋ねられた際に<医師です>というのは、少しぎこちない気分になります。なぜなら、ほぼ100%近く、<何科がご専門ですか>と尋ね返されるからです。

これは、すなわち医師という職業が社会的に承認されたSpecialtyに至っていないことに他なりません。それが現実だから、たとえば最初から<内科医です>と答えることになるのでしょう。

 

このあたりは眼科医や耳鼻科医あるいは皮膚科などの専門医とは異なるところです。

しかし、世間様は、内科医というだけでは、まだ納得してくれません。

逆に、納得したつもりになった方は<風邪をひいたら伺います>などとお答えになります。

《風邪は万病の元》であり、他の病気に劣らず、高度な専門的知識と広汎な臨床経験とが要求されますが、素人の方は軽い病気の括りとして考えていることは否めません。

内科専門医という呼称が、一般の方にピンと来ない理由は、そのあたりにあるのではないでしょうか。これは、実に大きな誤解というものです。内科医とりわけ一般内科医は、軽い病気のみを診療する医師ではありません。

 

その他、大半の方は<内科の何がご専門ですか>とさらにお尋ねになります。

この質問は実際にはSpecialty(専門)ではなく、Subspecialty(特殊専門)に関するものです。医師の間のみならず内科医も世間的にはSpecialty(専門家)と認めてくださっていないようです。

 

どうやら内科医はSubspecialty(特殊専門)をもってようやく世間様のお尋ねに応えることができるようです。その現実を、次回ご紹介いたします。