消化器系の病気

 

テーマ:薬剤性肝障害

 

 

日本人の薬剤性肝障害は特異体質によるものが多く、大部分はアレルギー性です。

 

ですから、アレルギー専門医としては、薬剤の処方に関して、

 

他の医師より慎重になりがちなのではないかと思います。

 

 

 

ところで日本人は薬好きだといわれます。

 

実際に、診察して処方箋を出さないと、とたんに不機嫌になる方もいらっしゃいます。

 

そうした方に、別の機会に、慎重にお薬を処方すると、

 

「副作用のないお薬をお願いします。」と強要されたりします。

 

こうした方々の中には、御自分で山ほど健康食品やサプリメントを購入していて、

 

「ビタミンや漢方なら要りません。」と仰ることがあります。

 

こうしたタイプの方々のなかで、薬剤性肝障害を発見したことは何度もあります。

 

 

ここで、まず申し上げておきたいことは、副作用のない薬は存在しない、ということです。

 

 

つぎに、健康食品やサプリメントによって健康障害がもたらされることがあるということです。

 

現在ではOTCといって、医師の処方が無くても自費で購入できる医薬品が増えてきましたが、

 

たとえば抗生物質の飲み薬は、市販薬にはありません。個人輸入等で薬を使う人もおられますが、

 

個人輸入などで薬を使った場合、もし大きな副作用が起こっても

 

「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となり、一切の補償を受けることができません。

 

 

原因としては抗菌薬、消炎鎮痛剤、健康食品などが多いことが知られています。

 

 

薬剤性肝障害は自覚症状に乏しく、倦怠感、発熱、関節痛、発疹、掻痒などで発見されることは限られています。

 

健診などの血液検査での肝機能異常で発見されることが大半です。

 

 

治療方法は、原因薬剤の中止、安静、低脂肪食療法などで改善が認められることが多いです。

 

血液・造血器の病気

 

テーマ:急性リンパ性白血病

 

 

 

高円寺南診療所は小児科を標榜していないので、いわゆる小児疾患の経験は乏しいです。

 

しかし、小児疾患といっても、小児のみの病気であるとは限らないため、内科医も無関心、不勉強では済みません。

 

小児の悪性腫瘍の中で最多である急性リンパ性白血病は、造血前駆細胞に生じた遺伝子異常が原因となります。

 

小児(2~5歳)と高齢者に二峰性のピークがあります。

 

成人でも年間10万人あたり約1人、東京の人口を1000万人とすると100人発生します。

 

これは無視できる数ではありません。

 

 

 

急性リンパ性白血病の症状は、頭痛や嘔吐、精神症状などに限られます。

 

精神症状は白血病細胞が中枢神経浸潤をきたしたためであり、

 

頭痛専門医資格にもチャレンジ中の心療内科専門医としては、

 

今後、遭遇の機会も少なくないと考えています。

 

 

 

よく対比される急性骨髄性白血病と違い、

 

それまでに血液の病気に罹ったことのないケースがほとんどであり、

 

血液の病気を疑うまでに至るのが大変だと思われます。

 

 

外来の診察室で、腫大したリンパ節を触診できれば重要な手掛りになりますが、

 

そのチャンスは少ないと思います。

 

 

 

診断の手掛かりは、まず疑うこと、疑うとは疑えること、つまり、知識が勝負となります。

 

しかし、幸い医師に知識があっても、患者さんの御理解とご協力がなければ、正しい診断に辿り着けません。

 

「頭痛と吐き気の症状だけ治してほしい、余分な検査は希望しない。」

 

などとおっしゃる患者様も最近では少なくありませんが、

 

私が必要だと判断する検査を余分な検査であると決めて掛るような御仁には、

 

そもそも信頼関係が成立していないのですから、

 

何を申し上げても無駄であることは30年におよぶ臨床経験からして確かだと思います。

 

 

 

さて、この病気ですが、小児の5年生存率が約80%なのに対して、

 

成人では30~50%で予後成績が悪いことが問題です。

 

予後成績を悪くする因子は、

 

① 完全寛解までの期間が長い,

 

② 白血球数が多い(30,000~50,000 / μL以上)、

 

③ 高年齢(30歳以上)、④Ph染色体【t(9:22)】の核型をもつ、とされています。

 

 

外来診療にて、患者さんの年齢はすぐに確認でき、

 

また血液検査をすれば、少なくとも白血球数は確認でき、

 

そこから適切かつ迅速な診断・治療手続きに入ることを申し上げておこうと思います。

 

ドイツ心身医学会2017(報告)その2

 

 

昨年のドイツ心身医学会2016は、3月16~18日にポツダム大学で行われました。

 

今年のドイツ心身医学会2017は、3月23~25日にベルリン自由大学でした。

 

来年もベルリンで開催され、3月21~23日に決まり、3回目の参加を予定しています。

 

 

日本心療内科学会とドイツ心身医学会は2011年に姉妹関係を締結して以来、

 

毎年、相互の往来があるため、年に2回の国際交流が続き、

 

徐々にその内容が深くなってきていることは頼もしい限りです。

 

 

この臨床領域でも、英語が基幹言語ですが、英語に変換されていない、

 

あるいは変換しづらいドイツ語ならでは活かされている研究業績も少なからずあることに気づきました。

 

 

より良い医療を求めて、日本語や英語だけでは気づけない、

 

さまざまな発想や考え方が、日本の医療の発展と充実のためには必要だと感じました。

 

 

来年も、引き続きドイツ語での発表を継続し、日独学術会議の交流にとどまらず、

 

共通テーマを見出して、共同研究開始の準備をしたいと考えています。

 

 

そして、ドイツとの連携を基に、ヨーロッパ心身医学会会議(EAPM)への参加を検討しています。

 

今年は、スペインのバルセロナで開催されますが、準備不足のため見送ります。

 

 

2018年はイタリアのヴェローナ、

 

2019年はオランダのアムステルダムが開催地として決定しているので、

 

徐々に準備を進めていきたいと思います。

 

 

 

 

中毒・物理的原因による疾患、救急医学

 

テーマ:ベリリウム中毒

 

 

小さな診療所の医者をやっていると、ふだんは必要な検査ですら受けようとしない患者さんに限って、

 

ひとたび健康不安が高まると精密検査をしたいから、大病院に紹介状を書いてほしいという希望を出されます。

 

そのようなときは、私は、患者さんの要望に応じることにしていますが、

 

ここでよく考えていただきたいと思い、ベリリウム中毒の例を挙げました。

 

 

私は、虎の門病院で初期研修を終えた直後に東大の衛生学教室(故和田攻教授)のもとで、

 

予防医学をはじめ微量元素や毒物学、環境医学の勉強をしてから、内科医となりました。

 

和田教授ご自身が優れた内科医でした。私が労働衛生コンサルタントをはじめ、

 

第一種作業環境測定士、放射線取扱主任者の国家資格をもっているのも、

 

この時期に学んだことが後の臨床に役立つことに気づいたからでもあります。

 

 

私はアレルギー専門医となってから、喘息ばかりではなく、

 

接触皮膚炎、結膜炎、気管支炎などの患者さんと日常的に接しています。

 

今回のテーマとしたベリリウム中毒には、決め手となる治療法がありません。

 

ですから、予防こそが肝要になります。

 

いきなり精密検査をしても、解決には繋がりません。

 

なぜなら、職場環境について詳細に聴取したうえで診察しないと正しい診断や予防に結び付かないからです。

 

 

ベリリウムというのは元素記号Be、周期表では4番目の元素です。

 

工業用品による中毒の原因として重要です。

 

中毒症状としては、

 

急性期には:皮膚では接触皮膚炎から潰瘍、目には結膜炎や角膜潰瘍、

 

呼吸器には気管支炎、肺炎、肺水腫を来します。

 

 

慢性期には:ベリリウム吸入後数年から十数年後に、肺に生じた肉芽腫性病変から肺線維症となるベリリウム肺を生じます。

 

その結果、肺性心といって心不全を生じます。

 

発生場所は、宇宙航空材料、原子炉材、原子工業用品を扱う施設です。

 

侵入経路は、口・気道・皮膚・粘膜で、特に皮膚で感作され、炎症反応を引き起こします。

 

検査は、胸部レントゲン検査の他、ベリリウム肺では、気管支鏡検査で、

 

生理食塩水を注入して気管支肺胞液を回収すると、リンパ球が著明に増加していることが確認されます。

 

ただし、同様の結果は、過敏性肺炎、サルコイドーシス、特発性間質性肺炎などでも認められるので鑑別が必要となります。

 

 

なお、以下が、上記の臨床に有益と思われた私の保持資格リストです。

 

労働衛生コンサルタント登録証

登録年月日平成19年6月15日(登録番号:保―第3021号)

事務所の名称;高円寺南労働衛生コンサルタント事務所

合格した区分:保健衛生 合格年月日:平成19年3月23日

 

第一種作業環境測定士電離放射線

作業環境測定士講習修了証:第日測 第原機五八四号(平成二十年一月十八日)

 

第一種作業環境測定士鉱物性粉じん

作業環境測定士講習修了証:第日測 粉〇八〇四五号(平成二十年八月一日)

 

第三種放射線取扱主任者免状 第1398号、平成21年9月8日

 

衛生工学衛生管理者:終了証 東 第09761号(平成21年9月25日)

 

第一種作業環境測定士金属

作業環境測定士講習修了証:第日測 金〇九〇三三号(平成二十一年十月二十三日)

 

 

前回は穀物(ごはん、めん)でした。

 

今回は果物です。

 

1単位(80キロカロリー)がどの程度?

 

ごはん:50g(茶碗軽く半分)

 

 

みかん:200g(小さい物2個9

 

もも:200g(1個)

 

リンゴ:150g(半分)

 

なし:200g(半分)

 

イチゴ:250g

 

バナナ:100g(1本)

 

 

意外にもカロリーが高いのが分かりました。

 

「果物は体に良い」と食べ過ぎるカロリーオーバーに…

 

 

バナナがカロリーが高いのが印象的ですね。

 

その昔、トライアスロンの選手が試合中の食事に

 

オニギリとバナナを入れていたのを思い出しました。

 

激しいスポーツ競技中ならともかく、普段の生活でカロリー摂りすぎると…

 

「気を付けよう果物食べ過ぎカロリーオーバー

 

気づいた時には 体重に代わる(字余り)」

ウィーン滞在中には、仕事の合間に、

 

人気テノール歌手のパブロ・カメセッレ氏による3回の集中個人レッスンを受けました。

 

パブロさんはアルゼンチン出身で、母親はイタリア人。

 

だから、彼の母国語はスペイン語とイタリア語。

 

そして彼は現在ウィーン在住で、ふだんの生活はドイツ語を使っているが、

 

地元の国立歌劇場をはじめ、欧州全土で活躍しているので、

 

声楽指導はわかりやすい英語で行ってくれました。

 

 

パブロさんの声はyoutubeで聴くことができます。

 

その一部を紹介します。

 

ドニゼッティのオペラ「連隊の娘」より、

 

<ああ友よ・・・僕にとっては何という幸運>

 

https://www.youtube.com/watch?v=HvoXV_6Lmjc

 

 

ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」より、<何と美しい女>

 

https://www.youtube.com/watch?v=pcHhySOzdvU

 

 

モーツアルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」より、<彼女の安らぎこそ>

 

https://www.youtube.com/watch?v=5zqMx_olqA8

 

 

 

<英語による個人指導の要点>

 

イタリアの声楽家は、しばしばマスケラ(顔半分だけを覆った「仮面」に覆われる部位)

 

を響かせるように指導するが、あなたは自然にそれができている。

 

むしろそれを意識しないで、喉から直接歌ってほしい。

 

 

あなたの折角の良い声は、高音部で鼻に抜けてしまう癖で台無しになってしまう。

 

マスケラを意識することによって息や響きが鼻に抜けてしまってはせっかくの美声が曇ってしまい何にもならない。

 

それから、響きが横に拡がり声が平べったくなるので、高音ほど縦に集めて歌うことが大切だ。

 

 

イタリアの歌曲やアリアは純正なイタリア語の母音で歌うこと。

 

子音はドイツ語の発音のように強めてはならない。

 

 

あなたの声量は歌劇場で歌うとしてもすでに十分である。

 

むしろ声の大きさのメリハリに工夫が欲しい。

 

十分に音量を抑えて歌うべきところを丁寧に扱いさえすれば、

 

フォルテ部分も無理せずに十分表現できている。

 

今日できたことを、今後も忘れないで稽古して欲しい。

 

 

あなたの声はリリック・テノールだ。

 

しかし、今回はモーツアルトやベルカント・オペラよりも、

 

たとえばプッチーニのオペラ「トスカ」、それも<妙なる調和>ではなく、

 

<星は光りぬ>、それからビゼーのオペラ「カルメン」の<花の歌>もお勧めだ。

 

(この2曲は、実際にレッスンを受けました)。

 

 

帰国の翌日(3月28日)に、パブロ・カメセッレ氏にメールを送りました。

 

次回送ったメール掲載します。

今回は臨床で使っているツボの第5弾「⑤ 仙腸(せんちょう)」を見ていきましょう。

 

 

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(クリックしてご覧ください)

 

 

 

図の⑤のツボです。

 

 

 

仙腸関節の部位にあります。

 

 

 

このツボは、経絡上にない奇穴という種類のツボになります。

 

 

 

下腹部の血流が良くなると言われ、生理痛等の婦人科系の疾患によく効くので常用しています。

 

 

 

又、腰痛患者が圧痛を訴える部位でもあり、腰痛にもよく使われます。

 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭