日々の臨床 4月18日火曜日

血液・造血器の病気

 

テーマ:巨赤芽球性貧血

 

 

アレルギー専門医は、アレルギー全般の他、免疫異常を対象とします。

 

自己抗体といって、みずからの身体の一部の組織を攻撃する抗体が作られてしまう

 

自己免疫疾患もその代表の一つです。

 

胃の壁の粘膜を攻撃する抗胃壁抗体、

 

ビタミンB12と結合する内因子の働きを損ねてしまう抗内因子抗体は、

 

巨赤芽球性貧血をもたらします。

 

 

巨赤芽球性貧血は、日常診療でよく見かける代表的な貧血の一つです。

 

これは骨髄に巨赤芽球が出現するのが特徴です。

 

 

症状は動悸息切れなどふつうの貧血と同様です。

 

ただし、舌炎や萎縮性胃炎など胃腸症状による痛みのために経口摂取困難になることがあり、

 

そのような場合に舌を診ると、舌乳頭萎縮を伴っていることがあります。

 

 

また、位置や振動の感覚が失われ、認知症感情不安定などの精神症状、若白髪を生じます。

 

胃がんの発生率は一般人の2~3倍、他に慢性甲状腺炎やアジソン病など

 

内分泌(ホルモン)異常を伴うことがあります。

 

 

原因の大部分はビタミンB12欠乏で、悪性貧血もしくは胃全摘によるものです。

 

診断の決め手は、血液検査です。骨髄に巨赤芽球が出現するのが特徴ですが、

 

たいていの場合、骨髄の検査は不要です。

 

貧血の種類や程度ばかりでなく、赤芽球が骨髄内で早期に崩壊するために、

 

新生赤血球(網状赤血球)の生産が低下し、

 

こうした現象に伴う特徴的な血液データの所見も得られます。

 

 

その他、葉酸欠乏が原因となることがあります。

 

葉酸欠乏はアルコール多飲で起こりやすくなります。