日々の臨床:4月9日 日曜日 

神経・精神・運動器

 

テーマ:意識障害閉じ込め症候群

 

 

ある日、突然、体を自らの意思でほとんど動かせないが、感覚系は正常で意識ははっきりしている状態に陥ったとしたら、

 

どのようなショックを受けることでしょうか。

 

動かせるのは目の開閉、したがって瞬きなどによって意思疎通をはかることは可能ではあります。

 

眼球の垂直運動も可能です。

 

 

これは、脳幹の橋(キョウ)という部分の底部の障害で、

 

四肢および下位の脳神経が麻痺する病気で、閉じ込め症候群といいます。

 

圧倒的に多い原因は、底動脈の閉塞による橋の脳梗塞です。

 

動脈硬化症の恐ろしさの一つの例証です。

 

高円寺南診療所では、動脈硬化症の疑いのある患者さんには、

 

頚動脈超音波検査(エコー検査)を受けていただいております。

 

 

頚動脈の動脈硬化は、脳動脈硬化を反映すると考えてよいでしょう。

 

早期の適切な検査によって脳梗塞を予防することは、とても大切なことだと考えております。

 

 

意識には『覚醒』『自分自身と外界の正確な認識』という二つの要素があります。

 

このどちらかが障害され場合、つまり、覚醒レベルの低下、または意識内容の病的変化、を意識障害といいます。

 

 

意識障害の原因は、脳幹部、視床、視床下部、両側大脳皮質の広範な障害などにより生じます。

 

 

急性期の意識障害の程度を評価するにはJCS(日本昏睡尺度)、

 

GCS(グラスゴー昏睡尺度)などが適しています。

 

 

JCSは覚醒レベルを数字で評価します。

 

刺激なしで覚醒していればⅠ、刺激で覚醒すればⅡ、刺激しても覚醒しなければⅢ

これを細かく評価するならば、

 

例として、<普通の呼びかけで開眼する場合>・・・とりあえず刺激を与えての覚醒ですからⅡに分類されます。

 

ただし、Ⅱの中でも意識障害のレベルが最も軽いと判断されるのでⅡ-10と表記されます。

 

大きな声または体をゆさぶるなどの刺激が必要であればⅡ-20、

 

痛み刺激と反復呼びかけなど強い刺激を要すればⅡ-30です。

 

 

GCSは意識に関する3つの機能のそれぞれを点数化し、合計点で評価します。

 

開眼機能(E4~1)、言語機能(V5~1)、運動機能(M6~1)

 

例として、<呼びかけに開眼し、会話の内容はつかめないが、指示には従える場合>・・・

 

<呼びかけに開眼する>E3、<会話の内容はつかめない>V4、<指示には従える>M6

 

これによってGCS得点は13点となります。