日々の臨床:4月5日 水曜日

消化器系の病気

 

テーマ:薬剤性肝障害

 

 

日本人の薬剤性肝障害は特異体質によるものが多く、大部分はアレルギー性です。

 

ですから、アレルギー専門医としては、薬剤の処方に関して、

 

他の医師より慎重になりがちなのではないかと思います。

 

 

 

ところで日本人は薬好きだといわれます。

 

実際に、診察して処方箋を出さないと、とたんに不機嫌になる方もいらっしゃいます。

 

そうした方に、別の機会に、慎重にお薬を処方すると、

 

「副作用のないお薬をお願いします。」と強要されたりします。

 

こうした方々の中には、御自分で山ほど健康食品やサプリメントを購入していて、

 

「ビタミンや漢方なら要りません。」と仰ることがあります。

 

こうしたタイプの方々のなかで、薬剤性肝障害を発見したことは何度もあります。

 

 

ここで、まず申し上げておきたいことは、副作用のない薬は存在しない、ということです。

 

 

つぎに、健康食品やサプリメントによって健康障害がもたらされることがあるということです。

 

現在ではOTCといって、医師の処方が無くても自費で購入できる医薬品が増えてきましたが、

 

たとえば抗生物質の飲み薬は、市販薬にはありません。個人輸入等で薬を使う人もおられますが、

 

個人輸入などで薬を使った場合、もし大きな副作用が起こっても

 

「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となり、一切の補償を受けることができません。

 

 

原因としては抗菌薬、消炎鎮痛剤、健康食品などが多いことが知られています。

 

 

薬剤性肝障害は自覚症状に乏しく、倦怠感、発熱、関節痛、発疹、掻痒などで発見されることは限られています。

 

健診などの血液検査での肝機能異常で発見されることが大半です。

 

 

治療方法は、原因薬剤の中止、安静、低脂肪食療法などで改善が認められることが多いです。