<聖楽院>設立および<聖楽院週例コンサート>について

ご挨拶

 

平成29年3月22日は、『音海』聖楽コンサートの第50回目です。初回コンサートは、

 

昨年の3月23日でしたので丁度、1年を迎えました。

 

この間、多くの皆様のご理解とご支援、それからご期待を賜り、

 

少しずつですが、確かな成長を遂げることができました。

 

 

何よりも皆様に御礼申し上げます。

 

 

この際、とても良い機会ですので、医師である私が、診療の傍ら、なぜクラシック音楽のコンサートを主宰し、

 

自らも毎週続けているのか、その目的と意義について、お話をさせていただきます。

 

 

それを一言でいえば、心身医学の創造的実践ということです。

 

その第一号は水氣道®であり、水氣道の実践により、人間の楽器性に覚醒したことが、

 

クラシック音楽、特に言語を用いて自らの心身を操り、表現する芸術である声楽は、

 

病者の病を治すだけでなく病者として悩み多き人間を癒す」ことが可能な生きた心身医学療法

 

それに向けてのもう一つのモデルになりうることに思い至ったからです。

 

 

私は個人医療機関(ただし、チーム医療を重視しています)である高円寺南診療所の

 

あるべき姿勢について参考にできるメッセージを、かつて発見しました。

 

それは国公立病院ではなく、私学である東京慈恵会医科大学付属病院の理念でした。

 

 

創立者の高木兼寛(たかき かねひろ:1849 - 1920)は研究至上主義のドイツ医学を批判し、

 

病者を病に悩む人間とみる医風」があるイギリス医学へと転換することを主張しました。

 

実際に、彼の大学にはわが国独自の精神療法(心身医学療法の一つともされる)

 

である森田療法【1919】の創始者、森田正馬(もりたまさたけ:1874 – 1938)教授が有名です。

 

現在の公式HPでは以下のように宣言されています。

 

http://www.jikei.ac.jp/hospital/rinen.html

 

「病気を診ずして病人を診よ」の教えに基づき、質の高い医療を実践し、

 

医療人を育成することにより、社会に貢献し、

 

患者さんや家族から信頼される病院をめざす。

 

 

私は、この理念を尊重しますが、19世紀に宣言された立派な理念を掲げて事足れり、とするのではなく、

 

創造的な実践を自らが重ねる> このことこそ21世紀の現代医療の急務であると考えています。

 

 

現在の彼の大学が、真に創立者の哲学を継続的に実践していたとすれば、

 

彼の大学病院には、それを実践することのできる核としての専門部門である心療内科が設置され、

 

そこから排出されるべきパイオニアでありエキスパートである心療内科専門医を多数輩出し、

 

日本の第一線の医療をリードしてしかるべきではないのか、と残念に思う次第です。

 

 

そう考える理由は、全人的医療なり、心身医療なり、

 

心療内科こそが、とりわけ「病者を病に悩む人間とみる医風」を育むと考えるからです。

 

また、高木の時代とは異なり、現代ドイツの医学・医療は研究至上主義ではなく、

 

むしろ全人医療である心身医学・心身医療を国際的にリードしています。

 

 

心療内科専門医は、常に時代の要請に応え、将来を見据えて、

 

精神療法や心理療法を尊重しつつも、それとは一線を画する

 

本来の心身医学療法を創造し、弛まず実践し、検証を続けていくべき責務を自覚しております。

 

 

 

ご案内

 

来週の水曜日、3月29日に、新たに、<聖楽院週例コンサート>が発足します。

 

『音海』聖楽コンサートの協力アーティスト有志が声楽科、ピアノ科、器楽科の3科の講師として、

 

音楽愛好家のための音楽塾である<聖楽院>が発足することに伴い、

 

<聖楽院週例コンサート>と改称いたしました。

 

 

すでに10名ほどの塾生がレッスンに参加しています。

 

彼らのための独自の発表会の企画も整備していく予定です。

 

また協力アーティストの応募者が増え、そのためのオーディションとして、

 

新年度第1回試演会が、4月19日の第4回<聖楽院週例コンサート>のプログラムの中で開催されるほか、

 

第2回試演会の日程も今月中には決定する予定です。

 

 

引き続き、<聖楽院週例コンサート>のご支援をお願いいたしますと同時に、

 

<聖楽院>塾生(レッスン生)としてのご参加、協力アーティスト(聖楽院講師)へのご応募、

 

など、皆様との間に、より親しい繋がりや、より多くの分かち合いの機会が得られますことを、大いに期待しております。

 

 

ウィーン・ベルリンへの出立を控えて 平成29年3月16日

 

高円寺南診療所院長、

 

聖楽院および聖楽院週例コンサート主宰 

 

飯嶋正広