プライマリケア・救急・心療内科Vol.2

今月のテーマ<心療内科の周辺② 脳とこころ>

 

 

脳はヒトが人として生きる「こころ」の源です。

 

 

「こころ」は、認知、行動、記憶、思考、情動、意志などの全ての高次脳機能を担っています。

 

 

さらに、脳・脊髄・末梢神経・筋は、運動機能、感覚機能、自律神経機能など

 

人の持つあらゆる機能を全てコントロールしています。

 

 

ですから、これらの神経系と骨格筋のどこがどのような疾患に冒されても、

 

その機能障害は、ヒトが人らしく生きるために必要な認知機能、

 

芸術を鑑賞する、喋るといった社会文化的機能から、立ち、歩き、走るといった運動機能まで、

 

また生物として極めて重要な、

 

食べる、呼吸する、といった生命維持機能までが冒されることになります。

 

 

そうなると、その人のADL(日常生活動作)QOL(生活の質) の大幅な低下に直結する。

 

脳の研究は、20 世紀の終わり頃から現在に至るまで、米国の

 

「Decade of Brain」や我が国の「脳の世紀」等、様々な努力がなされ、多くの成果が上がっている。

 

 

ADLとは食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指します。

 

 

QOLとは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、

 

つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、

 

人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。