神経・アレルギー・膠原病内科 Vol.1

今月のテーマ「神経疾患の最新医療」

 

 

<神経系疾患の発症と経過>

 

 

日常の外来診療で、さまざまな神経系の病気を鑑別することは、

 

とても難しい技術を要します。

 

 

ただし、平成元年の開院以来、最も役に立ってきたのは、

 

病気の始まり方と経過を整理することでした。

 

それによって、その病気の大まかな性質と鑑別がある程度可能でした。

 

 

タイプ1:症状固定のまま経過

 

 

1)発症時期不明…奇形 

 

2)発症は外傷受傷後…外傷後遺症

 

 

タイプ2:症状の寛解と増悪を繰り返す(再発性あるいは発作性)

 

1)日内変動型:朝は軽快、次第に増悪…重症筋無力症

 

2)再発の回数は年に3~4回から数年に1回…多発性硬化症

 

3)発作回数は一生に数回からほぼ連日まで…低カリウム性周期性四肢麻痺

 

 

タイプ3:徐々に進行する

 

1)緩徐進行型:アルツハイマー病、 

 

2)多くの変性性神経疾患(パーキンソン病脊髄小脳変性症など)

 

3)急速進行致死型:クロイツフェルト-ヤコブ病進行性多巣性白質脳症

 

4)浸潤型の脳腫瘍筋委縮性側索硬化症

 

 

タイプ4:劇症型:脳血管性障害中枢性感染症ギラン‐バレ症候群

 

以上のように分類したうえで、高円寺南診療所で経験した疾患

 

未経験の疾患を分けてみると、すべてのタイプを経験してきたことがわかります。

 

 

特にタイプ4の劇症型の典型例を経験してきたことを振り返ってみると、感慨ひとしおです。

 

これらの疾患の中にはCTスキャンやMRIその他の高額医療機器を活用しても

 

診断がつかない疾患が多数含まれていることも新たな発見です。