循環器・腎臓・血液内科 Vol.1

今月のテーマ「血液病の最新医療」

 

 

<再生不良性貧血>

 

 

再生不良性貧血は、血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。

 

 

この状態を「汎血球減少症」と呼びます。

 

 

重症度が低い場合には、貧血と血小板減少だけが異常であることもあります。

 

 

また白血球には好中球、リンパ球、単球などがあり、

 

再生不良性貧血で減少するのは主に好中球です。

 

 

そもそも好中球は私達の体を細菌感染から守る重要な働きをしています。

 

これらの血球は骨髄で作られます。

 

 

そこで本症の骨髄を調べると骨髄組織は多くの場合脂肪に置き換わっており、

 

血球が作られていません。

 

 

そのために貧血症状、感染による発熱、出血などが起こります。

 

 

再生不良性貧血のうち免疫病態が関与した非重症再生不良性貧血は、

 

血小板減少期が先行し、それを代償しようと

 

血漿トロンボポイエチンが高値(≧320ng/mL)となります。

 

 

汎血球減少症に至らず血小板が5万/μL以下の場合は、

 

まだ輸血依存性に至らず輸血を必要としない場合であっても、

 

免疫病態を疑わせる所見があれば、

 

造血回復を図るために早期に免疫抑制療法(シクロスポリンなど)を始めます。

 

 

発症後間もない再生不良性貧血の一部では、

 

特発性夜間血色素尿症(PNH)形質血球を平均0.1~0.2%程度認めます。

 

 

PNH形質血球は、CD55やCD59などのGPIアンカー蛋白を欠いています。

 

 

PNH形質血球陽性例では、免疫抑制療法が奏功しやすいです。

 

 

免疫抑制療法を開始する場合は、7番染色体の異常クローンの有無を調べます。

 

 

この異常がある場合、<骨髄異形成症候群(MDS)>や

 

<急性骨髄性白血病(AML)>に移行しやすいことが知られています。