呼吸器・感染症内科 Vol.4

今月のテーマ「感染症の最新医療」

 

 

<HIV感染症>

 

 

高額な医療費がかかる治療の医学的適応と患者の経済状況の間で

 

患者と共に悩みながら治療開始・継続を探るのが

 

現代保険医療特有の実情になりつつあります。

 

 

日本でのHIV感染者数は2010年頃からの新規登録患者数はほぼ横ばいです。

 

ただし、未診断の患者は登録患者数の数倍に上ると推定されています。

 

そのためエイズ感染拡大防止のための対策の重要性は増しています。

 

HIV感染患者では心血管疾患・慢性腎臓病の発症率が非感染者より高いことがわかっています。

 

 

近年、レトロウイルス療法の開始基準が早期化しています。

 

CD4陽性リンパ球数が350/μL以下であれば直ちに治療開始しますが、

 

それ以上でも治療開始を推奨されています。

 

 

こうした抗レトロウイルス療法の進歩により、患者の余命が延び、高齢化が進み、

 

そのため慢性疾患(心血管疾患・骨粗しょう症・慢性心疾患・慢性腎臓病など)

 

の増加への対応の必要性も増しています。

 

 

日本のAIDS指標疾患で最も多いのはニューモシスティス肺炎です。

 

感染してから数週間の潜伏期間の後、

 

急性期の症状として発熱・皮疹・咽頭痛・全身性リンパ節腫脹など

 

伝染性単核症様症状を起こすことがあり、HIV感染症を疑う1つのきっかけになります。

 

 

HIV感染症患者と疾患の進行度にしたがって、免疫機能障害の身体障害者手帳が取得可能です。

 

抗レトロウイルス療法の開始基準は早期化しているものの、実際は高額の医療費を賄うため、

 

より等級の高い身体障害者手帳を取得できるまで

 

疾患の進行を待たざるを得ないこともあるそうです。